
ヒートショック対策は入浴前の3つから 脱衣所と浴室の暖め方
季節の暮らし 冬支度編 第1回
ヒートショック対策は冬の前に 脱衣所とお風呂の寒さを見直す
お風呂は暖かいのに、服を脱ぐ場所はひんやり。 冬になると、そんな寒さを感じませんか。 本格的に冷え込む前の10月は、脱衣所や浴室の暖房を確かめておきたい時期です。 この記事では、今夜からできる入浴の工夫と、賃貸でも取り入れやすい寒さ対策を紹介します。 離れて暮らすご家族のお風呂まわりを確認するときにも役立ててください。
愛知中央不動産株式会社 2026年10月 | 季節の暮らし 冬支度編(全4回)
この記事で紹介する、今夜からできること
□ 入浴の前に、脱衣所と浴室を暖めておく
□ 湯温41℃以下・湯につかる時間10分までを目安にする
□ 同居している人に一声かけ、入浴中も様子を確認してもらう
※本記事は公表資料をもとに一般的な情報を整理したものです。体調や持病については、かかりつけの医師にご相談ください。
今夜からできる3つのこと

理由は後ほど説明しますので、まずやることだけを先にお伝えします。 特別な道具がなくても、今夜から始められます。
1 入浴の前に、脱衣所と浴室を暖めておく
脱衣所に小型の暖房器具があれば、入浴の前から運転しておきます。 浴室は、浴室暖房乾燥機があれば先に運転。なければ、 シャワーの湯気を使って温める方法があります(くわしくは第4章)。
暖める時間は、設備や浴室の広さ、もとの室温によって変わります。 時間だけで判断せず、入浴の前に実際の暖まり具合を確かめてください。
2 湯温41℃以下・10分までを目安にする
消費者庁は、 湯温41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安として示しています。 熱いお湯に長くつかることは、体温が上がりすぎる原因にもなります。
とはいえ、脱衣所が寒いと、どうしても熱いお湯に入りたくなるものです。 室内を暖めることと、湯温・入浴時間の見直しを組み合わせましょう。
3 同居している人に、一声かける
「お風呂に入るね」と伝えておく。入浴中であることを知ってもらうと、 異変に気づいてもらいやすくなります。 入浴する側だけでなく、家族の側にもできることがあります。
・入浴中はこまめに声をかけて様子を確認する
・「時間が長い」「音が全くしない」「突然大きな音がした」と感じたら、ためらわずに声をかける
・食後すぐ・飲酒後・医薬品の服用後の入浴は避けてもらう
・入浴の前に水分をとってもらう
まず今夜は 入浴前に脱衣所と浴室を暖め、湯温と入浴時間を確認し、 同居者に一声かける。この3つから始めましょう。湯温41℃以下、湯につかる時間10分までが目安です。
なぜ冬に増えるのか 温度差と、熱いお湯・長湯
ここからは、なぜこの3つなのかという話です。
高齢者の浴槽での溺水事故は、どれくらい多い?
消費者庁が公表している資料によると、厚生労働省の人口動態統計(令和6年)では、 浴槽内での溺死・溺水および浴槽への転落による溺死・溺水で亡くなった方は7,776人。 そのうち65歳以上が7,363人で、約95%を占めています。
データ表(数値で見る)
| 区分(65歳以上) | 死亡者数(人) |
|---|---|
| 浴槽内での溺死・溺水 | 7,363 |
| 交通事故 | 2,103 |
出典:消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(令和7年12月23日公表)に掲載の厚生労働省「人口動態統計」(令和6年)をもとに作成
同じ65歳以上で見ると、交通事故による死亡者は2,103人。 浴槽内での溺死・溺水は、その3倍を超えています。
※この死亡者数は浴槽内などでの溺死・溺水を集計したもので、 すべてがヒートショックによる死亡と確認された数字ではありません。 消費者庁は、温度差による血圧の変動に加えて、 熱いお湯での長湯による体温の上がりすぎや意識障害なども要因として挙げています。
また同じ資料では、東京消防庁のデータとして、令和5年中に溺れる事故で救急搬送された高齢者は460人、 12月が85人、1月が78人と冬に多く、6月から9月は少ない傾向が示されています。 年間を通じて均等に起きているのではなく、これから数か月に集中するできごとです。
家の中の温度差は、思っているより大きい
暖かい居間から、寒い脱衣所へ出て服を脱ぐ。冷えた浴室で体を洗い、熱いお湯につかる。 一般に、人の体は寒いところでは熱を逃がさないように血管を縮め、 暖かいところでは熱を逃がすために血管を広げると説明されています。 血管が縮めば血圧は上がり、広がれば下がる方向に働きます。 入浴の場面では、この切り替えが短時間に続けて起こります。
では、家の中は実際どれくらい寒いのでしょうか。 国土交通省の事業として行われた全国調査に、冬の住宅内の室温を測った結果があります。
データ表(数値で見る)
| 場所 | 最低室温の平均(℃) | 平均室温(℃) |
|---|---|---|
| 居間 | 12.3 | 16.7 |
| 寝室 | 11.0 | 12.6 |
| 脱衣所 | 10.2 | 12.8 |
出典:国土交通省/一般社団法人日本サステナブル建築協会「住宅の温熱環境と健康の関連」(スマートウェルネス住宅等推進事業・断熱改修等による居住者の健康への影響調査、2014〜2018年度実施)の公表資料をもとに作成。調査に参加した住宅の測定値であり、日本の住宅全体の平均ではありません。
居間の在宅中の平均室温は16.7℃。 それに対して脱衣所は12.8℃で、その差は約4℃です。 さらに脱衣所の在宅中の最低室温の平均は10.2℃まで下がっています。
参考までに、WHO(世界保健機関)が2018年に公表した 住宅と健康に関するガイドラインでは、 寒冷期の室温を18℃以上に保つことが強く勧告されています。 グラフの色がついた範囲がその18℃以上にあたりますが、 調査に参加した住宅の居間・寝室・脱衣所の平均室温は、いずれもそこに届いていませんでした。
※18℃は、寒冷期の健康保護について一般的に示されている目安です。 この室温であれば入浴中の事故を防げる、という性質のものではありません。 高齢の方や小さなお子さんには、より暖かい室温が望ましいとされています。
つまり暖かい部屋にいるつもりでも、一歩出た先は10℃台前半。そのうえで熱いお湯に長くつかれば、体にかかる負担は重なります。
名古屋でも、冬の朝は十分に冷える
名古屋の1月の日最低気温の平均は1.1℃。12月は3.4℃、2月は1.4℃です。 「名古屋はそこまで寒くない」という感覚を持っている方も多いのですが、 明け方の気温は1℃前後まで下がるのが平年の姿です。
+ 参考:名古屋の冬の外気温
データ表(数値で見る)
| 月 | 日最低気温の平均(℃) | 日最高気温の平均(℃) |
|---|---|---|
| 12月 | 3.4 | 11.7 |
| 1月 | 1.1 | 9.3 |
| 2月 | 1.4 | 10.5 |
出典:気象庁「過去の気象データ・平年値(名古屋)」1991〜2020年の平年値をもとに作成(2026年10月時点)
脱衣所と浴室の寒さをチェックする

ここからは、ご自宅の状態を確かめる話です。 最初にやっていただきたいのは、温度計を置くことです。
まず、温度計を2つ置く
居間と脱衣所に1つずつ。同じ時刻に見くらべるだけで、 自分の家の温度差が何℃なのかがわかります。
・床から1mくらいの高さに置く(足元と天井付近では数字が変わります)
・暖房の風が直接当たらない場所を選ぶ(本当の室温より高く出てしまいます)
・見るのは温度差と、それぞれの部屋の寒さの両方(差が小さくても、どちらも寒ければ対策は必要です)
① 脱衣所
服を脱ぐ場所ですから、室温がそのまま体に伝わります。 優先して寒さを確認したい場所です。
+ 脱衣所のチェックリストを見る(6項目)
□ 入浴の前から小型の暖房器具を運転しておく(必要な時間は部屋の条件によります)
□ 暖房器具を置くためのコンセントが近くにあるか確かめる
□ 床にマットを敷き、足裏から奪われる熱を減らす
□ 窓に厚手のカーテンや断熱シートを足す
□ ドアや窓のすき間風が入っていないか手をかざして確かめる
□ 温度計を置いて、居間との差を数字で見る
※すき間をふさぐ場合は、換気のための給気口や、換気経路として設けられているドア下のすき間はふさがないようご注意ください。住宅には24時間換気の経路が設計されています。
② 浴室
+ 浴室のチェックリストを見る(5項目)
□ 浴室暖房乾燥機があれば、入浴前に運転しておく
□ ない場合は、高い位置からシャワーでお湯を張る
□ 浴槽のふたを開けて、湯気で室内を温めてから入る
□ かけ湯をしてから湯船に入る(心臓から遠い足先から)
□ 浴槽から急に立ち上がらない。意識がもうろうとしたら、気を失う前に湯を抜く
暖房器具の置き場所にご注意ください
脱衣所は狭く、タオルや衣類、洗濯物が近くにあります。 可燃物との距離は、必ず製品の取扱説明書に書かれた距離を守ってください。 浴室の近くで電気製品を使う場合は、防水や設置条件の表示もあわせてご確認ください。 コンセントが遠いからと延長コードでつなぐ使い方も、避けたいところです。
この点は、次回(冬支度編 第2回)の住宅用火災警報器の話にもつながります。
浴室暖房がない家・賃貸での工夫
「浴室暖房乾燥機がない」「賃貸なので工事はできない」。 そういう住まいでも、できることはあります。
浴室暖房がない場合の温め方
・高い位置からシャワーでお湯を張る(給湯のお湯張り機能より、湯気が立ちます)
・お湯を張ったあと、浴槽のふたを開けてしばらく置く
・入る直前に、壁や床にシャワーのお湯をかける
※暖まり方は浴室の条件によって異なります。 壁や床の感触だけで判断せず、浴室で使える温度計などで室温も確認しましょう。

賃貸でもできる寒さ対策
+ 賃貸でもできることを見る(6項目)
□ 窓に貼ってはがせる断熱シートを使う
□ 厚手のカーテンを床まで届く長さにする(丈が足りないと冷気が落ちてきます)
□ カーテンレールの上を布でふさぎ、上からの冷気の流れを抑える
□ つっぱり式のパーテーションで、廊下との間を区切る
□ 玄関ドアや窓の建具のすき間にすき間テープを貼る(給気口はふさがない)
□ 結露がひどい、窓から明らかな冷気があるといった場合は、管理会社に相談する
※壁や建具へのネジ留め・強い粘着テープは、退去時の原状回復で借主の負担になることがあります。判断に迷う場合は、作業の前に管理会社やオーナーへご確認ください。
トイレ・廊下・寝室も、ひと通り確認
温度差が生まれるのは浴室まわりだけではありません。 こちらは確認だけでもしておきたい場所です。
トイレ
・夜間や早朝に使うため、1日のうち寒い時間に入ることになります。
・まず試したいこと 暖房便座や小型の暖房器具を使う。足元灯をつけて、暗い中での移動を減らす。
廊下・階段
・暖房していない通り道なので、暖かい部屋との差が生まれます。
・まず試したいこと 朝の移動経路がどれくらい寒いか、実際に温度を測ってみる。
寝室
・調査では就寝中の平均室温は12.6℃でした。布団から出たときの差が大きくなります。
・まず試したいこと 起床の少し前にタイマーで暖房が入るようにする。カーテンを床まで届く長さにする。
※暖房している部屋のドアを閉めると、その部屋は暖まりやすくなりますが、 廊下との温度差はかえって大きくなることがあります。 省エネのための工夫と、温度差を小さくする工夫は、必ずしも同じではありません。 朝の移動経路が寒いと感じる場合は、その経路をどう暖めるかを別に考える必要があります。
住まいそのものを変えるという選択
ここからは、不動産会社として少し違う角度からお伝えしたいことです。
ここまでの対策は、いずれも「寒い家を、その都度暖める」という発想でした。 もうひとつの方向として、家そのものを寒くなくするという考え方があります。
断熱改修の前後で報告されている変化
| 項目 | 断熱改修 前 | 断熱改修 後 |
|---|---|---|
| 居間(在宅中の平均室温) | 14.3℃ | 17.4℃ |
| 脱衣所(在宅中の平均室温) | 10.5℃ | 13.6℃ |
| 熱め入浴をする人の割合 | — | 6.6ポイント 減少 |
| 長め入浴をする人の割合 | — | 5.3ポイント 減少 |
出典:国土交通省/一般社団法人日本サステナブル建築協会「住宅の温熱環境と健康の関連」(スマートウェルネス住宅等推進事業・断熱改修等による居住者の健康への影響調査、2014〜2018年度実施)の公表資料をもとに作成。調査に参加した住宅の測定値であり、日本の住宅全体の平均ではありません。
居間が14.3℃から17.4℃、脱衣所が10.5℃から13.6℃へ。 この分析では、断熱改修後に居間と脱衣所の室温が上がった住宅で、 熱めのお湯につかる人と、長くつかる人の割合が、それぞれ減ったと 報告されています。
※これは断熱改修を行った住宅の居住者を対象とした調査で報告されている変化であり、 すべての住宅・すべての方に同じ変化が生じることを示すものではありません。 改修の内容やもとの住宅の状況によって結果は異なります。
つまり住まいの性能は、光熱費だけの話ではないということです。室温が変われば、入浴のしかたまで変わる可能性があります。
住み替えを考えるなら、内見で「寒さ」を見る
内見は日中に行うことがほとんどですので、冬の朝の寒さは体感できません。 それでも、見ればわかることはあります。
+ 内見で寒さをチェックする項目を見る(7項目)
□ 浴室・脱衣所の位置(北側か、外壁に面しているか)
□ 浴室暖房乾燥機があるか
□ 脱衣所に暖房用のコンセントがあるか
□ 窓のサッシとガラスの種類(単板か複層か、樹脂か金属か)
□ 建築時期と、断熱に関する等級や性能表示の有無
□ 過去に断熱改修・内窓の設置をしていないか(売主・管理会社に確認)
□ 窓まわりや北側の壁に、結露やカビの跡がないか
とくに脱衣所に暖房用のコンセントがあるかは、見落とされやすいところです。 あとから小型の暖房器具を置きたくても、コンセントが遠いと延長コードに頼ることになります。
内見では、設備に加えて冬の日差しも確認しておきたいところです。 秋の内見で確認したい日当たりと冬の日差しの見方も、 住まい選びの参考にしてください。
離れて暮らすご家族の家も、確認を
さきほどの統計では、2024年の浴槽内および浴槽への転落による溺死・溺水の死亡者のうち、 約95%が65歳以上でした。 そして一般に、古い住宅ほど断熱の仕様は現在の基準から離れています。 ご本人は寒さに慣れてしまっていて、寒いと感じていないことも少なくありません。
+ 帰省のときに見ておきたいことを見る(5項目)
□ 脱衣所・トイレに暖房があるか、実際に使われているか
□ 浴室に手すりがあるか、浴槽をまたぐ高さに無理がないか
□ 窓や玄関に、目に見えるすき間がないか
□ 暖房器具が古いまま使われていないか(次回の火災の回でも触れます)
□ 温度計を1つ置いてくる
※ご実家の設備を変える場合は、持ち家か賃貸か、名義はどなたかによって手続きが変わります。将来の住まい方とあわせて考えたいときは、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 浴室暖房がない場合は、どう暖めればいいですか?
A. 高い位置からシャワーでお湯を張る方法が手軽です。湯気で浴室全体が温まります。ほかの方法とあわせて、「浴室暖房がない家・賃貸での工夫」でくわしく紹介しています。
Q. 脱衣所の温度は、何を目安にすればいいですか?
A. WHOは寒冷期の室温として18℃以上を強く勧告しており、ひとつの目安になります。ただしこれは健康保護の一般的な目安で、入浴事故を防げる温度という意味ではありません。実務的には、居間と脱衣所に温度計を置いて、差とそれぞれの寒さを見るところから始めるのが現実的です。
Q. 賃貸でもできる寒さ対策はありますか?
A. 貼ってはがせる断熱シート、床まで届く厚手のカーテン、すき間テープ、つっぱり式の間仕切りなどは取り入れやすい方法です。一方で壁や建具へのネジ留めは、退去時の原状回復で借主の負担と判断されることがあります。窓の結露がひどい、明らかな冷気があるといった場合は、まず管理会社にご相談ください。
Q. 一人暮らしでは、何に気をつければいいですか?
A. 声をかけてもらえる相手がいない分、入浴前に脱衣所と浴室を暖めておく、湯温と時間の目安を守ることが基本になります。一人暮らしでも取り入れやすい対策です。あわせて、入浴の時間帯をだいたい決めてご家族と共有しておく、寒い日に電話を一本もらう約束をしておくといった方法もあります。
Q. ヒートショックは高齢者だけの問題ですか?
A. 2024年の浴槽内および浴槽への転落による溺死・溺水の死亡者のうち、約95%が65歳以上でした。ただし、温度差によって血圧が変動すること自体は年齢を問わず起こります。高齢の方ほど影響が大きい、というのが正確な理解です。
まとめ
覚えておきたい4つ
・入浴の前に、脱衣所と浴室を暖めておく
・湯温41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にする
・同居している人に一声かけ、入浴中も様子を確認してもらう
・温度計を置いて、部屋ごとの寒さと温度差を数字で確かめる
全部やろうとしなくて大丈夫です。 まずは家にある温度計を脱衣所に置くところから。 2つあれば、居間と同じ時刻に見くらべられます。 数字で見えるようになると、次にやることが自然に決まります。
次回予告
冬支度編 第2回 暖房器具を出す前に 住宅用火災警報器は10年で交換
脱衣所やトイレで暖房器具を使い始める前に、確認しておきたいことがあります。次回は住宅火災の出火原因と、住宅用火災警報器の交換の目安、賃貸の場合は誰が設置・交換するのかまでをまとめます。
公開しだい、この記事からもリンクします。

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季節の暮らし 冬支度編(全4回)
▶ 第1回 ヒートショック対策は冬の前に 脱衣所とお風呂の寒さを見直す
・第2回 暖房器具を出す前に 住宅用火災警報器は10年で交換
・第3回 名古屋でも凍る朝はある 給湯器と水まわりの冬支度
・第4回 年末調整で住宅ローン控除 10月から11月にやること