
名古屋の冬、風への備えはできていますか?伊吹おろしと住まい対策
季節の暮らし 冬支度と年末前の住まい確認|11月の4日間 第2回
名古屋の冬の風に備える
伊吹おろしとベランダ・窓・内見のチェック
駐輪場の自転車がまとめて倒れている。干していたタオルが、気づけば隣のベランダに。玄関のドアが、手を離した瞬間に「バン!」と閉まる──名古屋の冬に、心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
名古屋では、冬に北西から吹く冷たい風を「伊吹おろし」と呼んできました。この記事では、名古屋の風のデータを確認したうえで、ベランダ・窓・玄関・共用廊下で冬の風に備えるポイントと、家を売る・買うときに見ておきたい「風」のことをまとめました。
前回の第1回「冬の部屋、加湿しすぎていませんか?」では、部屋の中の湿度を扱いました。今回は、窓の外とその周りの話です。
愛知中央不動産株式会社 | 季節の暮らし 冬支度と年末前の住まい確認 第2回(全4回)
まず、この3つから(30秒まとめ)
□ ベランダの植木鉢・物干し竿・軽い物は、風が強まる前に取り込めるようにしておく
□ 玄関や窓は、ドアノブに手を添えて開け閉めする。子どもの指はさみに注意
□ 内見では、部屋の中だけでなく共用廊下・駐輪場・ベランダの風当たりも見る
※チェック項目は折りたたんであります。「+」の見出しをタップすると開きます。
この記事の内容
1. 伊吹おろしとは:名古屋の冬の風を知る
2. ベランダ:飛ばされやすい物と、置いてはいけない場所
3. 窓・玄関・共用廊下:風の通り道を確認
4. 売却・購入で確認したい「風」のこと
5. よくあるご質問
6. まとめ
1. 伊吹おろしとは:名古屋の冬の風を知る
伊吹おろしは、滋賀県と岐阜県の境にある伊吹山の方角から吹き下ろしてくる冬の冷たい風を指す呼び名です。名古屋市図書館の調査報告では、西高東低の冬型の気圧配置のときに起こり、名古屋の市内ではビル風などの影響で、場所によって風の強さに大きな差があると紹介されています(名古屋市図書館「調査報告No.26」)。
冬の月平均風速は約3m/s。最多風向は「北北西」
気象庁の平年値で、名古屋の月ごとの風を見てみます。意外なことに、冬の平均風速は毎秒3m前後で、ほかの季節と大きくは変わりません。目立つのは風の向きです。9月から5月までは、最も多い風向きが「北北西」でそろっています。
冬の平均風速は3m/s前後。強い風は毎日ではなく、冬型の気圧配置が強まった日に吹きます。
+ データ表(数値で見る)
| 月 | 平均風速(m/s) | 最多風向 |
|---|---|---|
| 1月 | 3.1 | 北北西 |
| 2月 | 3.4 | 北北西 |
| 3月 | 3.5 | 北北西 |
| 4月 | 3.3 | 北北西 |
| 5月 | 3.1 | 北北西 |
| 6月 | 2.7 | 南南東 |
| 7月 | 2.8 | 南南東 |
| 8月 | 2.9 | 南南東 |
| 9月 | 2.8 | 北北西 |
| 10月 | 2.7 | 北北西 |
| 11月 | 2.6 | 北北西 |
| 12月 | 2.9 | 北北西 |
※スマートフォンでは、表を左右にスクロールできます。
出典:気象庁「名古屋 平年値(年・月ごとの値)」1991〜2020年の平年値をもとに作成(2026年10月25日確認)。名古屋地方気象台(千種区)での観測値で、市内の場所によって風の強さや向きは異なります。
平均はあくまで平均です。ふだんは穏やかでも、冬型が強まった日にまとまって強い風が吹く。だから風が強まる前に、すぐ片づけられる状態にしておくのが、冬の風への現実的な備え方です。
+ 参考:風の強さと、暮らしへの影響(気象庁の目安)を見る
| 平均風速 | 予報用語 | 人への影響 | 建物まわり |
|---|---|---|---|
| 10〜15m/s | やや強い風 | 風に向かって歩きにくい。傘がさせない | 雨どいが揺れ始める |
| 15〜20m/s | 強い風 | 風に向かって歩けず、転倒する人も出る。高い所の作業はきわめて危険 | 屋根材がはがれるものがある。看板やトタン板が外れ始める。雨戸やシャッターが揺れる |
| 20〜25m/s | 非常に強い風 | 何かにつかまらないと立っていられない。飛んできた物でけがをするおそれ | 屋根材が飛ぶものがある。固定していない物置が動いたり倒れたりする |
※スマートフォンでは、表を左右にスクロールできます。
出典:気象庁「雨と風の階級表」をもとに一部を抜粋して作成。この表の平均風速は10分間の平均です。月別の平年値とは集計する時間が異なり、瞬間的にはさらに強い風が吹くことがあります。
2. ベランダ:飛ばされやすい物と、置いてはいけない場所
東京消防庁は、強風時の事故の例として、強風で倒れたパラソルが子どもの頭に当たった事例や、飛ばされた板が歩行者に当たった事例を紹介しています。そのうえで、風が強くなる前に、ベランダの植木鉢や物干し竿を室内に取り込む(とくに高層階)よう呼びかけています(東京消防庁「強風・暴風にご注意ください」)。

+ ベランダの冬支度チェックリストを見る(8項目)
□ 植木鉢・プランターなど飛ばされるおそれのある物は、強風が予想されるときは事前に室内へ取り込む
□ 物干し竿は、使わないときは下ろしておく。竿受けの留め具も確認
□ サンダル・ほうき・バケツ・空のペットボトルなど、軽い物を出しっぱなしにしない
□ ごみ袋や段ボールを、収集日まで置いておかない
□ 物置や自転車などのカバーは、ひもやベルトで留めておく
□ エアコンの室外機は、吸込口・吹出口を物やカバーでふさがない
□ 洗濯物は、強風が予想される日は室内干しも検討する
□ 排水口に落ち葉やごみがたまっていないか見る
避難はしご・隔て板のまわりには、物を置かない
マンションのベランダには、火災などのときに使う避難はしご(避難ハッチ)や、隣の住戸との境にある隔て板(破って通れる仕切り)が設けられていることがあります。強風対策で物を寄せるときも、これらの上や前には置かないでください。消防局の案内でも、避難はしごの上や降りる場所に物を置くと、緊急時に使えなくなると注意が呼びかけられています(堺市消防局「避難訓練III(避難はしご編)」)。
※マンションのベランダ(バルコニー)は、多くの場合、各住戸が専用で使える共用部分として扱われ、使い方は管理規約や使用細則で決められています。物置の設置や物の固定方法は、管理規約を確認するか管理会社にご相談ください。
3. 窓・玄関・共用廊下:風の通り道を確認
玄関ドアは「手を添えて」開け閉め
強い風の日は、ドアが思わぬ勢いで開いたり閉まったりします。東京消防庁の事例には、強風で勢いよく閉まった扉に指を挟んで大けがをしたものもあります。ドアを開け閉めするときは、ドアノブをしっかり持つこと。小さなお子さんがドアのそばにいるときは、とくに注意してください。
+ 窓・玄関まわりのチェックリストを見る(6項目)
□ 玄関ドアや勝手口が、閉まるときに勢いよくぶつかっていないか(ドアクローザーの調整で改善することがある)
□ 窓の鍵(クレセント)を閉めたとき、窓がガタつかないか
□ 窓やドアのすき間風がないか(すき間テープなどの対策は季節のブログ11月号で紹介)
□ 雨戸・シャッターがある家は、閉めたときに大きくあおられないか
□ 玄関前の傘立て・植木鉢・自転車が、風で倒れない位置にあるか
□ 網戸が外れかけていないか(強風で外れて落ちることがある)
※ドアクローザーや建具の調整は、取扱説明書の範囲で行ってください。賃貸住宅では、自分で調整する前に管理会社やオーナーへご相談ください。
共用廊下・駐輪場は「住んでから」気づきやすい
マンションの外に面した共用廊下や、建物の角にある出入口、屋根のない駐輪場は、冬の風を受けやすい場所です。毎日通る場所だからこそ、風の強い日に「自転車が倒れる」「傘が差せない」「玄関前が吹きさらし」と感じると、住み心地への影響は小さくありません。部屋の中だけでなく、部屋にたどり着くまでの道のりも、冬の暮らしやすさの一部です。
4. 売却・購入で確認したい「風」のこと
ここからは、不動産会社としてお伝えしたいことです。風の当たり方は、図面や写真だけでは伝わりにくく、住んでいる人がいちばんよく知っている住まいの特徴です。

家を売る前に:冬の住み心地を、言葉にしておく
売却を考えているなら、冬の住み心地を、事実として整理しておくと役立ちます。たとえば「北側の窓は風の強い日にすき間風がある」「玄関は風よけの位置にあり、冬もドアがあおられにくい」といった点です。良い面も気になる面も、住んでいる方の具体的な情報は、購入を検討する方にとって判断の材料になります。
+ 売却前に整理しておきたいことを見る(5項目)
□ 風の強い日に気になる場所(すき間風・窓のガタつき・ドアのあおられ方など)
□ 内窓の設置、サッシや網戸の交換、ドアクローザーの調整など、修理や改修の時期と内容
□ 風を和らげている工夫や設備(風除室、植栽、フェンス、物置の固定など)
□ 強風で傷んだことがある箇所と、その修理の記録(雨どい・屋根・フェンスなど)
□ ベランダや庭で、風の強い日にしている工夫
窓のすき間風や建具の傷みが気になっても、売却前にすべて直すべきとは限りません。修理履歴や現在の状態を整理し、工事を始める前にご相談ください。
家を買う前に:風当たりは、部屋の外で確かめる
風の強さは、同じ区や同じ町内でも、周りの建物の並び方や高さ、建物の向き、階数によって大きく変わります。「この区だから」「この方角だから」と決めつけず、実際に現地で確かめるのがいちばんです。
+ 内見で風当たりを確認するポイントを見る(7項目)
□ 安全に確認できる日に、天気予報の風向・風速も参考にしながら、もう一度建物の周りを見てみる
□ エントランス・共用廊下・駐輪場が、吹きさらしになっていないか
□ ベランダの向きと、手すりの形(壁のような手すりか、すき間の多い手すりか)
□ 物干し金具の位置や、洗濯物を干せるスペース
□ 窓を閉めたときのガタつき、窓やドアのまわりのすき間
□ 玄関ドアを開け閉めしたときの重さや、閉まる勢い
□ 高い建物の間や角に建っていないか(ビル風の影響を受けやすいことがある)
日差しの入り方とあわせて確認すると、冬の住み心地がイメージしやすくなります。秋冬の内見のポイントは秋の内見は「日当たり」をチェック、角部屋と中住戸の違いはマンション角部屋と中住戸どちらを選ぶ?で紹介しています。
風の当たり方が気になる物件があれば、ご内見の際に担当者へお気軽にお尋ねください。わかる範囲で一緒に確認します。
5. よくあるご質問
Q. 伊吹おろしは、いつごろ吹きますか?
A. 伊吹おろしは、西高東低の冬型の気圧配置のときに吹く冷たい風の呼び名です。名古屋の平年値では9月から5月にかけて最も多い風向きが北北西ですが、これは季節全体の傾向で、伊吹おろしが吹いた日数を表すものではありません。強い風が予想される日は、天気予報の強風注意報や風の予報で確認できます。
Q. 物干し竿は、ベランダに出しっぱなしでも大丈夫ですか?
A. ふだんは問題ないことも多いですが、強風が予想されるときは、事前に室内へ取り込むのが安心です。竿受けから外れて落ちると、下を歩く人や車に当たるおそれがあります。とくに高層階では注意してください。
Q. 名古屋で風が強い地域はどこですか?
A. 市内でも、周りの建物の並び方や高さ、建物の向きによって、風の強さは大きく変わります。区や地域でひとくくりにはできないため、気になる物件は、安全に確認できる日に、風向・風速も参考にしながら現地で確認しましょう。
6. まとめ
この記事のまとめ
・伊吹おろしは冬型の日に吹く北寄りの風。名古屋の冬の平均風速は3m/s前後で、強い日にまとまって吹く
・ベランダの植木鉢・物干し竿・軽い物は、強風が予想されるときは事前に室内へ。避難はしごや隔て板の前には置かない
・玄関や窓は手を添えて開け閉め。ガタつきやすき間風も確認する
・売却前は冬の住み心地と修理の記録を整理し、購入時は共用部や建物の周りの風当たりも確かめる
今週末は、ベランダに出しっぱなしの物を一度見直すところから。風が強まる前に、取り込む物と置き場所を決めておくだけでも安心です。
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本記事は公表資料をもとに、一般的な考え方を整理したものです。掲載している数値は2026年10月25日時点で確認できる情報であり、今後変更される場合があります。風の強さや向きは、場所・建物の配置・階数などによって大きく異なります。強風の際は、気象庁や自治体の情報を確認し、無理に屋外やベランダで作業をしないでください。マンションのベランダの使い方は管理規約・使用細則に、賃貸物件の場合は管理会社・オーナーの規定に従ってください。
出典・参考:気象庁「名古屋 平年値」(1991〜2020年)・「雨と風の階級表」/名古屋市図書館「調査報告No.26」/東京消防庁「強風・暴風にご注意ください」/堺市消防局「避難訓練III(避難はしご編)」
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