
帰省したら実家の何を確認する?相続登記・空き家・売却の備え
季節の暮らし 冬支度と年末前の住まい確認|11月の4日間 第3回
帰省で確認したい実家のこと
相続登記の期限と、空き家にしない備え
年末年始は、離れて暮らす家族が実家に集まる数少ない時期です。久しぶりに帰ると、「庭木が伸びている」「使っていない部屋が増えた」と、家の変化に気づくこともあります。
実家のこと、とくに相続の話は切り出しにくいものです。ただ、相続した不動産の登記には期限のある手続きがあり、住む人がいなくなった家は空き家になってからでは選べる道が狭まることもあります。この記事では、帰省を「家族で確認できる機会」として使うためのポイントを、親が住んでいる家と、すでに相続した家に分けてまとめました。
愛知中央不動産株式会社 | 季節の暮らし 冬支度と年末前の住まい確認 第3回(全4回)
まず、この3つから(30秒まとめ)
□ 帰省では、名義・書類の保管場所・建物の状態・今後誰が管理するかの4つを家族で確認
□ 相続した不動産の登記は、相続で取得したことを知った日から3年以内。2024年4月1日より前に知っていて未登記のものは、原則2027年3月31日まで
□ 住み継がない家は、空き家になる前に、管理・活用・売却の方向性を話し合う
※チェック項目は折りたたんであります。「+」の見出しをタップすると開きます。制度の説明は一般的な内容です。個別の手続きは、法務局・司法書士・税理士などの専門家にご確認ください。
この記事の内容
1. 帰省は「家族で確認できる機会」
2. 親が住んでいる実家で確認したい4つのこと
3. すでに相続した家がある場合の手続き
4. 空き家にしない備えと、売却を考えるとき
5. よくあるご質問
6. まとめ
1. 帰省は「家族で確認できる機会」
総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最高です。このうち、賃貸用・売却用や別荘などの二次的住宅を除く空き家は385万6千戸にのぼります。名古屋市の空き家率も約13.2%です。
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(統計局資料)/名古屋市「令和5年住宅・土地統計調査結果(名古屋の住宅・土地)」(2026年10月25日確認)
空き家の多くは、ある日突然生まれるわけではありません。親が施設に入った、子どもはそれぞれ持ち家がある、誰が管理するか決まらないまま時間がたった──そうした積み重ねで生まれます。家族がそろう帰省は、「まだ先の話」のうちに、事実だけでも確認しておくちょうどよい機会です。
2. 親が住んでいる実家で確認したい4つのこと
親が元気に暮らしている家なら、相続の話から入る必要はありません。「家の手入れ」や「書類の置き場所」の話から始めると、自然に確認できます。

① 名義:土地と建物は、誰の名義になっている?
実家の土地や建物が、すでに亡くなった祖父母の名義のままになっていることは珍しくありません。名義は、法務局で登記事項証明書を取ると確認できます。
親名義の不動産がほかにもあるか分からない場合は、所有不動産を一覧で確認できる制度もあります。
+ 所有不動産記録証明制度について詳しく見る
2026年2月2日から始まった制度です。登記簿上の所有者本人や、亡くなった所有者の相続人などが請求すると、その人が所有者として登記されている不動産を一覧にした証明書を受け取れます。法務局の窓口のほか、オンラインでも請求できます。
ただし、請求書に書いた氏名・住所と登記簿上の氏名・住所が一致しない不動産は抽出されないため、昔の住所で登記されたままの不動産には注意が必要です。
② 書類の保管場所:大事な書類は、どこにある?
+ 確認しておきたい書類を見る(6項目)
□ 登記識別情報通知(以前の権利証)
□ 固定資産税の納税通知書(毎年春ごろに届く)
□ 購入したときの売買契約書・重要事項説明書・建物の図面
□ 土地の測量図や、隣の土地との境界に関する書類
□ 増改築・リフォーム・設備交換の契約書や保証書
□ 住宅ローンが残っている場合は、その返済状況がわかる書類
「どこにしまったか分からない」という場合も、慌てなくて大丈夫です。権利証や登記識別情報をなくしてしまった場合の売却の進め方は、登記識別情報を紛失した不動産売却は可能?で紹介しています。まずは「どこにあるか」を家族のうち誰か1人が知っている状態をつくることが大切です。
③ 建物の状態:気になる傷みはない?
+ 帰省したときに見ておきたい場所を見る(6項目)
□ 天井や壁の雨じみ、押し入れの湿気やカビ
□ 給湯器の設置年(本体のシールで確認できることがある)
□ 雨どいの詰まりや外れ、屋根や外壁の目立つひび割れ(高い所には上らず、地上から見える範囲で)
□ 庭木の伸び具合や、隣の敷地・道路へのはみ出し
□ 使っていない部屋の窓の結露や、閉め切りによるにおい
□ 手すりがない階段や段差など、親の暮らしで危なそうな場所
冬に家を空ける期間がある場合は、水道管や給湯器の凍結にも注意したいところです。対策は給湯器と水道管の凍結対策でまとめています。
④ 今後誰が管理する?:「住み継ぐ・貸す・売る」の大まかな方向性
いま結論を出す必要はありません。ただ、「誰も住む予定がない」ことが分かっているなら、家族のなかで管理の窓口になる人を決めておくだけでも、その後の話が進めやすくなります。
※親の判断能力が低下すると、本人の意思で売買などの契約を結ぶことが難しくなり、成年後見制度などの利用が必要になる場合があります。気になることがあれば、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
3. すでに相続した家がある場合の手続き
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務になりました。相続した実家の名義を親のままにしている場合は、期限を確認しておきましょう。
相続登記の期限は「知った時期」で決まる
期限の起点は、亡くなった日ではなく、相続で不動産を取得したことを知った日です。法務省のQ&Aをもとに整理すると、次のとおりです。

2024年4月1日以降に取得を知った場合は知った日から3年以内、それより前に知っていてまだ登記をしていない場合は、原則2027年3月31日までです。遺産分割で不動産を取得した場合は、遺産分割の日から3年以内に、その結果にもとづく登記が必要です。
※遺産分割の話し合いが終わっていなくても、最初の申請期限が延びるわけではありません。期限内に相続登記や相続人申告登記で対応し、その後に遺産分割が成立した場合は、その内容に応じた登記が必要です。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」・「相続登記の申請義務化について(対応チャート)」(2026年10月25日確認)
正当な理由なく登記をしない場合は、10万円以下の過料の対象になることがあります。ただし、すぐに過料となるわけではなく、法務局(登記官)から催告を受けても登記をしない場合に、裁判所へ通知される流れです。
話し合いがまとまらないときは「相続人申告登記」
遺産分割の話し合いに時間がかかる場合は、相続人申告登記という簡易な方法があります。期限内に、登記簿上の所有者の相続人であることを法務局に申し出ると、申し出た人は相続登記の義務を果たしたとみなされます。
ただし、相続人申告登記は不動産の権利関係を示すものではありません。売却する場合には、あらためて相続登記が必要です。売却を考えているなら、早めに相続登記まで済ませておくと、その後の手続きが進めやすくなります。
+ 住所や氏名が変わったときの登記も義務に(2026年4月から)
2026年4月1日からは、住所や氏名が変わった日から2年以内に変更の登記をすることも義務になりました。2026年4月1日より前の変更で、まだ登記をしていないものも対象で、期限は2028年3月31日です。正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象になることがあります。実家の名義人が引っ越した、結婚で姓が変わった、といった場合は確認しておきましょう。
※相続登記は自分で申請することもできますが、相続人が多い、戸籍の収集が難しいといった場合は、司法書士への依頼も検討してください。法務局では手続きの案内も行っています。
4. 空き家にしない備えと、売却を考えるとき
空き家の管理は、所有者の責任
空家等対策の推進に関する特別措置法と名古屋市の条例では、空き家の適切な管理は所有者の責務とされています。2023年12月の法改正では、放置すると危険な状態になるおそれのある空き家が「管理不全空家」として新たに位置づけられました。市町村の指導に従わず勧告を受けると、土地の固定資産税・都市計画税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が上がることがあります。
出典:名古屋市「空き家の気になる話を聞いてみました」/静岡市「管理不全空家等について」(2026年10月25日確認)
+ 誰も住んでいない実家の管理チェックリストを見る(6項目)
□ 月に1回程度は窓を開けて換気し、水まわりの水を流す
□ 郵便物やチラシがたまらないようにする(転送届・ポストの封鎖など)
□ 庭木や雑草が、隣の敷地や道路にはみ出していないか見る
□ 雨漏り・外壁のはがれ・屋根材のずれなど、台風や強風のあとは外まわりを確認
□ 冬は水道管の凍結に備える(水抜きなど)
□ 近所の方に、管理している家族の連絡先を伝えておく
相続した実家を売却する前に、整理しておきたいこと
住み継ぐ人がいない場合、貸す・売るも選択肢になります。売るかどうか決めていなくても、次の点を整理しておくと、家族で話し合いやすくなります。
+ 売却を考える前に整理しておきたいことを見る(5項目)
□ 相続登記が済んでいるか(売却には相続登記が必要)
□ 相続人が何人いて、誰が窓口になるか
□ 第2章の書類(権利証・測量図・リフォーム記録など)がそろっているか
□ 建物の状態(雨漏り・設備の故障など)と、修理した記録
□ 家財(家具・荷物)をどうするか
相続した空き家を売るときは、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります(対象の家屋・敷地等を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上の場合は、最高2,000万円)。
適用には、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家であること、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、2027年12月31日までの売却であることなど、要件が細かく決められています。また、相続後に貸したり、住んだりすると、この特例の対象外になることがあります。使えるかどうかは、税務署や税理士にご確認ください(国税庁 No.3306)。
建物の状態や家財が気になっても、売却前にすべて片づけ・修理をする必要があるとは限りません。売却の方法には、仲介のほか、不動産会社が直接買い取る方法もあります。まずは現状のまま、売却の進め方を知るところから始めてみてください。
空き家バンクへの登録を検討している方は、空き家バンク登録で売却は変わる?もあわせてご覧ください。
5. よくあるご質問
Q. 実家が、亡くなった祖父母の名義のままでした。どうすればいいですか?
A. まずは、誰がその不動産を相続したのかを確認しましょう。相続登記の期限は、相続でその不動産を取得したことを知った時期によって異なります。2024年4月1日より前に取得したことを知っていて未登記の場合は、原則2027年3月31日までです。相続が重なっていることもあるため、法務局や司法書士に相談してください。
Q. 相続登記は、自分でもできますか?
A. 自分で申請することもできます。法務局では手続きの案内も行っています。ただ、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成など手間がかかるため、相続人が多い場合や、不動産が複数ある場合は、司法書士への依頼も検討してください。
Q. 相続した実家を売るかどうか、まだ決めていません。相談してもいいですか?
A. もちろんです。売るか決める前に、価格の目安や、売る場合の進め方を知っておくと、家族で話し合うときの材料になります。相続登記の状況や建物の状態がわからない段階でも、お気軽にご相談ください。
6. まとめ
この記事のまとめ
・帰省では、名義・書類の保管場所・建物の状態・今後誰が管理するかの4つを家族で共有する
・相続登記は相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内。2024年4月1日より前に知っていた未登記の不動産は、原則2027年3月31日まで
・遺産分割に時間がかかるときは相続人申告登記も。ただし売却には相続登記が必要
・住み継がない家は、空き家になる前に管理・活用・売却の方向性を話し合う
今度の帰省では、「大事な書類はどこにある?」とひと言聞いてみるところから。それだけでも、家族の安心につながります。

相続した実家、これからどうするか相談しませんか?
「誰も住まない実家、売るといくらになる?」「片づけや修理をしてから売るべき?」
愛知中央不動産では、ご家族の状況や住まいの状態を伺いながら、売却方法や査定についてご案内します。
まだ売却を決めていない段階でも、お気軽にご相談ください。
そのほかのご相談はお問い合わせフォームから
愛知中央不動産株式会社
次回予告 第4回(最終回)
家を売るなら年末?年明け?「1月1日」で変わる所有期間と譲渡所得税
家を売ったときの税金は、所有期間が「売った年の1月1日」時点で5年を超えるかどうかで変わります。取得日からの判定方法を、具体例と図でまとめます。公開しだい、この記事からもリンクします。
あわせて読みたい
+ 冬支度と年末前の住まい確認|11月の4日間 シリーズ一覧を見る
・第1回 冬の部屋、加湿しすぎていませんか?湿度の目安と結露を防ぐ調整法
・第2回 名古屋の冬の風に備える|伊吹おろしとベランダ・窓・内見のチェック
▶ 第3回 帰省で確認したい実家のこと|相続登記の期限と、空き家にしない備え(この記事)
・第4回 家を売るなら年末?年明け?「1月1日」で変わる所有期間と譲渡所得税
本記事は公表資料をもとに、一般的な考え方を整理したものです。掲載している数値や制度は2026年10月25日時点で確認できる情報であり、今後変更される場合があります。相続登記・税金・成年後見などの個別の判断は、法務局・司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
出典・参考:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」・「住所等変更登記の義務化について」/法務局「所有不動産記録証明制度について」/総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」/名古屋市「令和5年住宅・土地統計調査結果」・「空き家の気になる話を聞いてみました」/静岡市「管理不全空家等について」/国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
愛知中央不動産株式会社
