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マンション売却にかかる費用はいくら?3,000万円売却の手取り額を実例で解説

売却ブログ

橋本 侑弥

筆者 橋本 侑弥

不動産キャリア15年

宅地建物取引士  不動産業界キャリア15年。賃貸仲介を中心に、市場データ分析と広告戦略を強みとしてきました。名古屋市内の複数エリアで現場経験があり、地域の生活情報にも精通。最新のマーケティング手法を活かした客付け・売却提案を得意とします。名古屋市東区出身、昭和区在住。

3,000万円で売れても、3,000万円が手元に残るわけではありません

「マンションが3,000万円で売れたら、手元にはいくら残るのでしょうか。」
売却のご相談で、必ずと言っていいほど話題になる質問です。

結論から申し上げると、売却価格と手取り額はイコールではありません。仲介手数料や印紙税などの費用が差し引かれ、住宅ローンが残っていれば決済時に完済することになります。利益が出れば税金もかかります。

そしてここで重要なのが、「売却費用」と「住宅ローン残債」はまったく別物だということです。
この2つを混同したまま計算すると、手取り額の見通しを大きく間違えます。ローン残債は「経費」ではありませんが、決済時に一括返済するため手取り額には直接影響します。
本記事では、この違いを最初に整理したうえで、実際に3,000万円で売れた場合に手元にいくら残るのかを具体的な数字で見ていきます。

マンションのリビング


この記事でわかること

  • マンション売却で差し引かれるお金は3種類という整理
  • 売却費用とローン残債は別物という考え方
  • 最も大きい仲介手数料の上限と計算方法(売却価格別の早見表つき)
  • 3,000万円で売れた場合の手取り額を具体的に計算
  • 譲渡所得税と3,000万円特別控除のしくみ
  • 費用のうち節約できるもの・できないものの区別

結論|売却で差し引かれるお金は3種類

まず全体像を整理します。マンション売却で売却価格から差し引かれるお金は、性質の違う3つに分けられます。

①売却するために必要な費用

仲介手数料、印紙税、抵当権抹消の登録免許税、司法書士報酬など。売却時に発生しやすい基本的な費用です。ただし、契約方法や抵当権の有無などによって発生しないものもあります。

②物件や状況によって発生する費用

ハウスクリーニング、残置物撤去、引越し費用、リフォーム、住宅ローンの繰上返済手数料など。やるかどうかを選べる、あるいは状況次第で発生する費用です。

③利益が出た場合に発生する税金

譲渡所得税、住民税、復興特別所得税。売却によって利益(譲渡所得)が出た場合のみかかります。売却価格そのものに税金がかかるわけではありません。

そして、住宅ローン残債は「費用」ではありません

住宅ローンが残っている場合、決済時に売却代金から一括返済して抵当権を抹消します。これは経費ではなく「借りていたお金を返す」だけです。
ただし手取り額には最も大きく影響します。3,000万円で売れてもローンが1,500万円残っていれば、手元に残るのは費用を引いた残りからさらに1,500万円を引いた額になります。
「費用」と「返済」を分けて考える——これが手取り額を正しく把握する第一歩です。

マンション売却にかかる主な費用一覧

実際にどんな費用が、いつ発生するのかを一覧にしました。

費用 発生タイミング 発生の条件
仲介手数料 売買契約時・決済時 仲介で売却する場合に発生
印紙税 売買契約時 紙の契約書を作成する場合
抵当権抹消の登録免許税 決済時 抵当権が設定されている場合
司法書士報酬 決済時 登記手続きを依頼する場合
ローン一括返済手数料 完済時 金融機関の規定による
ハウスクリーニング 売出前・引渡前 任意
残置物撤去・引越し 引渡前 状況次第
リフォーム 売出前 任意
譲渡所得税・住民税 売却の翌年 利益が出て特例が使えない場合

これらすべてが必ずかかるわけではありません。電子契約なら印紙税はかかりませんし、利益が出なければ譲渡所得税も発生しません。
ただし抵当権については注意が必要です。ローンを完済しても、登記簿上の抵当権は自動的には消えません。すでに抹消登記まで完了している場合は不要ですが、完済済みでも抵当権が登記簿に残っている場合は、売却時までに抹消手続きが必要になります。
ご自身のケースでどれが該当するかを整理することが、正確な手取り額の把握につながります。

一番大きいのは仲介手数料

売却費用の中で、金額が最も大きくなるのが仲介手数料です。ここは正確に理解しておく価値があります。

仲介手数料には法律で「上限」が定められています

宅地建物取引業法により、不動産会社が依頼者の一方から受け取れる報酬額には上限が定められています。国土交通省の告示に基づく計算方法は次のとおりです。

売買価格の区分 上限の料率(税抜)
200万円以下の部分 5%
200万円超〜400万円以下の部分 4%
400万円を超える部分 3%

実務では、この段階計算を1つの式にまとめた速算式がよく使われます。

売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

※売買価格が400万円を超える場合に使えます

「+6万円」という数字は、200万円以下の部分(5%と3%の差額4万円)と200万〜400万円の部分(4%と3%の差額2万円)を調整するためのものです。全体を一律3%で計算したときの不足分を足している、というわけです。

3,000万円で売却した場合の計算例

実際に計算してみます。

3,000万円 × 3% = 90万円
90万円 + 6万円 = 96万円(税抜)
96万円 × 1.1 = 105万6,000円(税込)

3,000万円のマンションなら、仲介手数料の上限は約105.6万円ということになります。

重要な注意点です。この金額は「法律で必ず支払う」と決められた額ではなく、あくまで上限です。法律は上限のみを定めており、下限はありません。
不動産会社によっては、これより低い手数料を設定している場合もあります。ただし後述するとおり、手数料の安さだけで判断するのが必ずしも得とは限りません。

2024年7月の改正|800万円以下では仲介手数料の特例が使われる場合も

近年の重要な改正として、2024年7月1日から一定の条件を満たす800万円以下の宅地・建物については、依頼者とあらかじめ合意したうえで、税込33万円(30万円+消費税)を上限とする特例を適用できる場合があります。

従来は400万円以下・売主のみが対象だった「低廉な空家等の媒介特例」が、800万円以下・売主買主双方に拡大されたものです。背景には全国で900万戸を超えた空き家問題があり、低価格帯の物件でも不動産会社が十分な調査・仲介を行えるようにする狙いがあります。空き家に限らず、居住中の低価格物件も対象になり得ます。

たとえば600万円のマンションの場合、速算式では(600万円×3%+6万円)×1.1=26.4万円ですが、この特例が適用されれば最大33万円となります。
国土交通省は、この特例を適用する場合は媒介契約の締結時にあらかじめ上限の範囲で合意しておくことを求めています。低価格帯の物件を売却する際は、媒介契約時に手数料の説明があるかを確認してください。

売却価格別|仲介手数料の早見表

ご自身の物件価格に近い金額をご確認ください。いずれも上限額(税込)です。

売却価格 税抜(3%+6万円) 税込(上限額)
1,000万円 36万円 39万6,000円
1,500万円 51万円 56万1,000円
2,000万円 66万円 72万6,000円
2,500万円 81万円 89万1,000円
3,000万円 96万円 105万6,000円
3,500万円 111万円 122万1,000円
4,000万円 126万円 138万6,000円
5,000万円 156万円 171万6,000円

※消費税10%で計算した上限額です。実際の手数料は不動産会社との媒介契約によります。売買価格に建物の消費税が含まれている場合は、税抜の本体価格で計算します。

表を見ていただくと分かるとおり、売却価格が500万円上がると、手数料は約16.5万円増えます。逆に言えば、手数料は売却価格に連動するため、高く売れれば手数料も上がる構造になっています。この点は後の章で詳しく触れます。

印紙税はいくらかかる?

売買契約書を紙で作成する場合、契約書に収入印紙を貼って納めるのが印紙税です。

不動産の譲渡に関する契約書には軽減措置が設けられており、2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書が対象です。

契約金額 本則税額 軽減後の税額
500万円超〜1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超〜1億円以下 6万円 3万円

つまり3,000万円のマンション売買契約なら、印紙税は1万円です。仲介手数料と比べれば少額ですが、契約時に現金で必要になります。

電子契約なら印紙税はかかりません

印紙税は「紙の課税文書」に対してかかる税金です。電子契約で締結した場合、課税文書に該当しないため印紙税は非課税となります。
近年は不動産取引でも電子契約が広がっています。対応可否は不動産会社によって異なるため、気になる方は確認してみてください。

なお契約書を売主・買主それぞれ1通ずつ作成する場合、各通に印紙税がかかります。1通のみ作成して片方はコピーを保管する、という方法を取るケースもあります。

住宅ローンが残っている場合の費用と注意点

住宅ローンが残っている状態でも、マンションは売却できます。ただし押さえておくべき点がいくつかあります。

売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消する

住宅ローンを借りている場合、金融機関が物件に抵当権を設定しています。買主に引き渡すには、この抵当権を抹消する必要があります。
一般的には、決済日に買主から受け取った売却代金でローンを一括返済し、その場で抵当権抹消の手続きを行います。

たとえば売却価格3,000万円・ローン残債1,500万円なら、「1,500万円の費用がかかる」のではなく「売却代金からローンを返す」ということです。返済後の1,500万円から諸費用を引いた額が手取りになります。

ローン完済時に発生する費用

費用 目安 内容
抵当権抹消の登録免許税 不動産1個につき1,000円 区分マンションは建物+敷地権の対象となる土地の筆数により異なる
司法書士報酬 1〜2万円程度 依頼先により異なる
一括返済手数料 0〜3万円程度 金融機関・手続き方法により異なる

登録免許税は不動産1個につき1,000円です。区分マンションの場合、建物1個に加えて敷地権の対象となる土地の筆数分が加算されます。建物1個+土地1筆なら2,000円ですが、敷地が複数筆にわたる場合はその分増えます。
金額としては大きくありませんが、一括返済手数料は金融機関によって差があります。ネット手続きなら無料、窓口だと数万円というケースもあるため、事前に借入先へ確認しておくと安心です。

注意|売却価格よりローン残債が多い「オーバーローン」

売却代金でローンを返しきれないケース

たとえば、こういう状況です。

・売却価格 3,000万円
・ローン残債 3,100万円
・売却諸費用 約120万円

この場合、売却代金だけではローンを完済できず、不足分を自己資金で補わなければ抵当権を抹消できません。抵当権が残ったままでは引き渡しができないため、売却そのものが成立しなくなります。

オーバーローンの可能性がある場合、まず正確な残債額と、現実的な売却見込み額の両方を把握することが出発点です。そのうえで、自己資金を用意する、住み替えローンを検討する、売却時期を見直すといった選択肢を考えることになります。
早い段階で相談いただければ、取りうる選択肢も多くなります。

残債額は「返済予定表の数字」と一致しないことがあります

見落とされがちな点をひとつ。手元の返済予定表に載っている残高と、実際に完済に必要な金額は一致しないことがあります。

理由は、返済予定表は「約定返済日時点の残高」を示しているためです。決済日が返済日と異なれば、その間の経過利息が加算されます。また一括返済手数料も上乗せされます。

正確な金額は、金融機関に「◯月◯日に一括返済したい」と日付を指定して残高証明を取得することで分かります。数万円の差ではありますが、決済当日に資金が足りないという事態は避けたいところです。決済日が決まったら、早めに金融機関へ連絡してください。

住み替えの場合、売却と購入の順番で必要資金が変わります

住み替えを予定している方は、「売り先行」か「買い先行」かで資金計画が変わります。

進め方 資金面の特徴 注意点
売り先行 手取り額が確定してから購入できる 仮住まいが必要になる場合がある
買い先行 引越しが1回で済む 売却前に購入資金が必要。二重ローンのリスク

資金に余裕がない場合は売り先行の方が安全です。手取り額が確定してから次の物件を探せるため、資金計画が崩れにくくなります。
本記事で計算方法をお伝えしているのは、この判断のためでもあります。手取り額の見通しがあれば、どちらの進め方が現実的かを判断できます。

固定資産税・管理費・修繕積立金の精算

これらは厳密には「売却費用」ではありませんが、決済時にお金のやり取りが発生するため、手取り額の計算に関わってきます。

固定資産税・都市計画税

固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日時点の所有者です。年の途中で売却しても、その年の納税通知書は売主に届きます。

そのため実務では、引渡日を基準に売主と買主で日割り精算するのが一般的です。
たとえば7月1日に引き渡すなら、1月1日〜6月30日分を売主負担、7月1日〜12月31日分を買主負担として、買主負担分を決済時に受け取ります。
※起算日を1月1日とするか4月1日とするかは地域慣行によって異なります。名古屋を含む中部圏では1月1日起算が一般的です。

管理費・修繕積立金

こちらも同様に、引渡日を境に売主負担・買主負担を分けて精算するのが通例です。多くの場合は月単位・日割りで計算します。

なおこれまで積み立ててきた修繕積立金は、売却時に返還されません。修繕積立金はマンション全体の資産として管理組合に帰属するものだからです。「10年間積み立てた分が戻ってくるのでは」と思われる方がいらっしゃいますが、この点は誤解のないようご注意ください。

精算金は「費用」とは性質が違います。売主が支払うものではなく、買主から受け取るお金です(引渡し以降の期間分)。手取り額の計算では、プラス要素として扱われます。

譲渡所得税をできるだけ簡単に説明します

売却の費用で最も分かりにくいのが税金です。難しい言葉を避けて整理します。

売却価格に税金がかかるわけではありません

税金の対象になるのは「利益」です。
3,000万円で売れたから3,000万円に税率をかける、ということではありません。

利益(譲渡所得)の計算式

譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除

項目 内容
取得費 購入代金+購入時の諸費用。建物は減価償却費相当額を差し引く
譲渡費用 売るために直接かかった費用。仲介手数料・印紙税など
特別控除 マイホームの3,000万円特別控除など、要件を満たす場合

「買値より安く売れたら税金はかからない」とは限りません

よくある誤解です。マンションの取得費を計算する際、建物部分については減価償却費相当額を差し引く必要があります。
そのため、購入価格より安く売却した場合でも、減価償却を考慮した結果、譲渡所得が発生することがあります。「買値より安いから税金はかからない」と自己判断せず、実際の計算で確認することをおすすめします。

税率は所有期間で変わります

区分 所有期間 税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
短期譲渡所得 5年以下 39.63%
長期譲渡所得 5年超 20.315%

所有期間の判定には注意が必要です。「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判断されます。実際の所有期間が5年を過ぎていても、1月1日時点で5年以下なら短期扱いになる場合があります。
税率が倍近く違うため、所有期間が5年前後の方は売却時期の検討材料になります。

購入価格が分からないと税金が高くなることがある

実務でよく直面するのが、購入したときの売買契約書が見つからないというケースです。相続で取得した物件や、購入から長い年月が経った物件で起こりやすい問題です。

取得費が分からない場合の扱い

購入時の契約書などを確認しても取得費の実額が分からない場合には、売却価格の5%を概算取得費として計算する方法があります。
契約書が見つからなくても、購入時の領収書・住宅ローンの金銭消費貸借契約書・通帳の記録など、他の資料から実額を確認できる可能性はあります。「契約書がない=必ず5%」ではありません。まずは資料を探すことが大切です。

それでも実額が分からない場合に何が起きるかを、3,000万円で売却したケースで見てみます。

実額が分かる場合 実額が分からない場合
売却価格 3,000万円 3,000万円
取得費 2,500万円
(建物の減価償却後の金額と仮定)
150万円
(3,000万円×5%)
譲渡費用 約120万円 約120万円
譲渡所得 380万円 2,730万円

同じ物件を同じ価格で売っても、譲渡所得が7倍以上変わります。特別控除が使えない場合、税額の差は数百万円規模になり得ます。

売却を考え始めたら、まず購入時の資料を探してください。売買契約書、領収書、購入時の諸費用の明細、住宅ローンの金銭消費貸借契約書など。
これらが見つかるかどうかで、最終的な手取り額が大きく変わる可能性があります。

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マイホームなら3,000万円特別控除が使えることも

マイホーム(居住用財産)を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

よくある誤解を先に解いておきます。
これは「3,000万円で売ったら税金ゼロ」という制度ではありません。利益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引ける制度です。

計算例

売却益 1,000万円
- 特別控除 3,000万円
= 課税譲渡所得 0円(税金はかかりません)

マイホームの売却で要件を満たし、特別控除前の譲渡所得が3,000万円以下であれば、この特例によって課税譲渡所得が0円になる場合があります。

主な適用要件

  • 自分が住んでいた家屋であること(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却)
  • 売手と買手が親子や夫婦など特別な関係でないこと
  • 売った年の前年・前々年にこの特例やマイホームの譲渡損失の特例を受けていないこと
  • 売却前に一時的な入居や別荘としての利用をしていないこと

この特例を使う場合は、税額がゼロでも確定申告が必要です。申告しなければ特例は適用されません。売却した翌年の2月16日〜3月15日が申告期間になります。

なお所有期間が10年を超えるマイホームの場合、3,000万円特別控除と軽減税率の特例を併用できるケースもあります。控除後の課税譲渡所得6,000万円以下の部分について、税率が14.21%に軽減されます。
個別の適用可否は状況によって異なりますので、詳細は税務署または税理士にご相談ください。

実例|3,000万円で売ったら手元にいくら残る?

ここまでの内容をもとに、具体的な数字で計算してみます。

前提条件

・売却価格 3,000万円
・住宅ローン残債 1,500万円
・仲介での売却、紙の売買契約書
・抵当権あり(決済時に抹消)
・マイホームのため3,000万円特別控除を適用、譲渡所得税は0円と仮定

項目 金額
売却価格 3,000万円
- 仲介手数料 △105万6,000円
- 印紙税 △1万円
- 抵当権抹消・司法書士報酬 △約2万円
- ローン一括返済手数料 △約1万円
- 譲渡所得税 0円(特別控除適用)
諸費用差引後 約2,890万円
- 住宅ローン残債の返済 △1,500万円
手取り額 約1,390万円

注記。表では見やすさのために並べていますが、ローン残債1,500万円は「売却経費」ではありません。借りていたお金を返済しただけです。
売却経費の合計は約110万円で、これは売却価格の約3.7%にあたります。一般的な仲介売却で、譲渡所得税や大規模なリフォーム・残置物撤去などを除けば、売却時の基本的な諸費用は売却価格の3〜4%前後が一つの目安になります。

このケースでは引越し費用やハウスクリーニング代は含めていません。実際にはこれらも考慮する必要があります。また譲渡所得税が発生する場合は、翌年の納税分も見込んでおく必要があります。

住み替えを検討している方は、この手取り額が次の物件の資金計画に直結します。「3,000万円で売れるから3,000万円使える」と考えていると、資金計画が狂います。早い段階で概算を把握しておくことをおすすめします。

条件が変わるとどうなるか

同じ3,000万円の売却でも、条件によって手取りは大きく変わります。3つのパターンで比較します。

条件 ローン残債 譲渡所得税 手取り額の目安
①ローン完済済み・抵当権抹消済み・特別控除あり 0円 0円 約2,890万円台
②ローン1,500万円・特別控除あり 1,500万円 0円 約1,390万円
③ローン完済済み・抵当権抹消済み・購入時の資料なし 0円 発生の可能性あり 状況により変動

③のケースは注意が必要です。前章で触れたとおり、購入時の契約書がなく概算取得費(売却価格の5%)で計算せざるを得ない場合、マイホームの3,000万円特別控除が使えなければ、税額が数百万円規模になる可能性があります。
逆に言えば、マイホームとして住んでいた物件で特別控除の要件を満たせば、この心配は大きく減ります。ご自身がどのケースに当てはまるかを把握しておくことが重要です。

計上を忘れやすい費用

実際の売却では、以下のような費用も発生します。金額は状況次第ですが、資金計画には入れておいてください。

  • 引越し費用——時期と距離により変動。3〜4月は繁忙期で高額になりやすい
  • 残置物の処分費用——家具・家電の量によっては数万円〜十数万円
  • ハウスクリーニング——実施する場合、3LDKで5〜10万円程度が目安
  • 仮住まい費用——売り先行で住み替える場合の家賃・敷金など
  • 確定申告の税理士報酬——依頼する場合

これらを含めると、実際の手取りは前の表よりさらに数十万円下がるのが現実です。少し余裕をみた資金計画を立てておくと安心です。

節約できる費用・できない費用

売却費用は、性質によって「動かせるもの」と「動かせないもの」に分かれます。

区分 該当する費用 考え方
基本的に動かせない 印紙税、登録免許税、譲渡所得税 法律で定められた税金
方法により変わる 印紙税(電子契約なら不要) 契約方法の選択で変わる
比較・検討できる 仲介手数料、司法書士報酬 依頼先により差がある
やるかどうか選べる リフォーム、ハウスクリーニング、残置物撤去 費用対効果で判断

仲介手数料の安さだけで選ぶと損をすることがあります

ここは不動産会社の立場として、あえて正直に書きます。

仲介手数料の値引きは、たしかに分かりやすい節約です。3,000万円の物件なら、半額になれば約52万円の差になります。
ただし、比べるべきは「手数料の差」ではなく「最終的な手取り額の差」です。

たとえば、こういう比較になります

A社:手数料半額(約52.8万円)で2,900万円で成約
→ 手取り 2,900万円 - 52.8万円 = 約2,847万円

B社:手数料上限(105.6万円)で3,000万円で成約
→ 手取り 3,000万円 - 105.6万円 = 約2,894万円

手数料は約53万円高いのに、手取りはB社の方が約47万円多い——こういうことが起こり得ます。

※その他の売却費用は両社同額として省略しています。

もちろん、手数料が安くて高く売れる会社が理想です。申し上げたいのは、手数料の数字だけを見て判断すると、本来得られたはずの成約価格を逃す可能性があるということです。
販売活動の内容、掲載の質、購入検討者への提案力——これらを含めて比較していただくのが結果的に得だと考えています。

現実的に費用を抑えられる3つの方法

そのうえで、実際に効果のある費用の抑え方をお伝えします。

①電子契約を利用する
印紙税が非課税になります。3,000万円の物件なら1万円、5,000万円超なら3万円の削減です。金額としては大きくありませんが、確実に効く方法です。対応可否は不動産会社によって異なります。

②抵当権抹消を自分で行う
司法書士に依頼せず自分で法務局に申請すれば、報酬分(1〜2万円程度)を削減できます。ただし決済当日は所有権移転登記と同時進行になるため、実務上は司法書士に一括で依頼するのが一般的です。売却の決済とは別のタイミングでローンを完済する場合には検討の余地があります。

③リフォームを「やらない」判断をする
実は最も金額インパクトが大きいのがこれです。100万円のリフォームを見送れば、それだけで100万円の支出が減ります。前述のとおり、費用が価格に反映されるとは限らないため、実施前に必ず「やった場合」と「やらない場合」の想定価格を比較してください。

逆に、削るべきでない費用もあります。清掃や残置物の撤去は、費用対効果が高い部分です。数万円の節約のために内覧時の印象を損ねると、数十万円〜数百万円の価格差につながることがあります。「削る費用」と「かけるべき費用」を分けて考えてください。

売却前のリフォームは「費用」ではなく投資として判断

「売る前にリフォームした方がいいですか」というご質問も多くいただきます。

考え方はシンプルで、かけた費用以上に売却価格が上がるかどうかです。

ケース 判断
300万円かけて350万円高く売れる 実施する意味がある
300万円かけて100万円しか上がらない 200万円の持ち出しになる

実務上、フルリフォームの費用がそのまま販売価格に上乗せできるケースは多くありません。特に築年数の経ったマンションでは、「安く買って自分でリノベーションしたい」という買主層が一定数存在するためです。

一方で、清掃・残置物の撤去・部分的なクロス補修など「マイナスを消す作業」は費用対効果が高い傾向があります。数万円〜十数万円で内覧時の印象が大きく変わるためです。

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査定額ではなく「手取り額」で比較する

複数の不動産会社に査定を依頼される方は多いと思います。そのとき、査定額の数字だけを比べていないでしょうか。

A社の査定 3,200万円
B社の査定 3,050万円

この2つを見て「A社の方が高く売ってくれそう」と考えるのは自然です。ただ、査定額はあくまで「これくらいで売れるだろう」という見込みであり、その金額での売却を約束するものではありません。

実際に知りたいのは、最終的にいくら手元に残るかのはずです。

査定時に整理しておきたい項目

  • 想定される成約価格(査定額ではなく、実際に決まりそうな価格)
  • 仲介手数料の金額
  • 住宅ローン残債の正確な額
  • 譲渡所得税が発生する可能性の有無
  • 抵当権抹消・司法書士報酬などその他の費用
  • 引越し・クリーニングなど付随して必要になる費用

これらを差し引いた手取り額の見込みを、査定の段階で提示してもらうのが確実です。
特に住み替えを予定している場合、この数字が次の物件の頭金や資金計画に直結します。査定額だけを見て資金計画を立てると、後から大きくずれることになります。

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まとめ|売却価格より「手取り額」を把握してから動く

マンション売却の手取り額


本記事の要点を整理します。

  • 売却で差し引かれるお金は①必要費用 ②任意・状況次第の費用 ③利益が出た場合の税金の3種類
  • 住宅ローン残債は「費用」ではないが、手取り額には最も大きく影響する
  • 最大の費用は仲介手数料。3,000万円なら上限約105.6万円(あくまで上限で、下限規定はない)
  • 2024年7月から一定条件の800万円以下の物件は、事前合意により税込33万円を上限とする特例が適用できる場合がある
  • 印紙税は3,000万円の契約で1万円(軽減措置は2027年3月31日まで)。電子契約なら非課税
  • 税金がかかるのは売却価格ではなく利益。マイホームなら3,000万円特別控除が使える場合がある
  • 建物の減価償却があるため、買値より安く売っても譲渡所得が出ることがある
  • 購入時の資料が見つからないと譲渡所得が大きく計算される可能性がある
  • 売却諸費用の目安は売却価格の3〜4%前後(税金・リフォーム等を除く)
  • 比べるべきは手数料の安さではなく最終的な手取り額

売却の判断で本当に必要な数字

「いくらで売れるか」だけでは、売却の判断はできません。
売った後にいくら残るのか。住み替えなら次の物件にいくら充てられるのか。ローンを完済できるのか。
この数字を把握してから動くことで、資金計画のずれや想定外の出費を避けられます。

当社では、想定売却価格だけでなく、仲介手数料・住宅ローン残債・税金の可能性まで含めた売却後の手取り額を一緒に整理しています。「まだ売ると決めたわけではないが、いくら残るのか知っておきたい」という段階のご相談も歓迎です。

マンションを売ったら、実際いくら手元に残る?

想定売却価格・仲介手数料・住宅ローン残債・税金の可能性まで含めて、
売却後の手取り額を一緒に整理します。

「マンション名とローン残高の概算」だけでも、おおよその見通しをお伝えできます。

※本記事は2026年8月時点の制度に基づいて作成しています。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法および国土交通省告示、印紙税の軽減措置および譲渡所得の取扱いは国税庁の公表情報に基づきます。税制は改正される場合があり、個別の適用可否は状況により異なります。具体的な税額の判断については、税務署または税理士にご相談ください。

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