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築20年以上のマンションは売れない?築30年・40年でも売却できる条件を実務目線で解説

売却ブログ

橋本 侑弥

筆者 橋本 侑弥

不動産キャリア15年

宅地建物取引士  不動産業界キャリア15年。賃貸仲介を中心に、市場データ分析と広告戦略を強みとしてきました。名古屋市内の複数エリアで現場経験があり、地域の生活情報にも精通。最新のマーケティング手法を活かした客付け・売却提案を得意とします。名古屋市東区出身、昭和区在住。

築20年を超えると「売れない」のではなく「選ばれ方が変わる」だけです

「築20年を超えたマンションは、もう売れにくいのでしょうか。」
売却のご相談でよくいただく質問です。結論から申し上げると、築20年という数字だけで「売れない」と判断する必要はありません。

東日本不動産流通機構(REINS)が公表した2025年のデータでは、中古マンションの成約物件の平均築年数は26.58年。さらに、築20年を超えるマンションが成約物件全体の60.3%を占めています。
首都圏のデータではありますが、この数字が示す事実は明確です。今の中古マンション市場において、築20年以上の物件は「例外」ではなく、むしろ売買の主流だということです。

ただし、築年数が進むほど買主が見るポイントは確実に変わります。築20年なら「築浅との価格差」、築30年なら「管理・修繕状況」、築40年を超えると「耐震性・融資・将来の維持管理」まで確認されるようになります。
本記事では、「築20年以上でも売れます」で終わらせず、どういう条件なら売れやすく、何が原因で売れにくくなるのかを、名古屋市の実際の相場データと実務の視点から整理します。

築年数の古いマンション


この記事でわかること

  • 成約マンションの6割超が築20年以上という市場の実態
  • 名古屋市の築年数別・エリア別の価格相場
  • 築20年・30年・40年で買主が見るポイントがどう変わるか
  • 売却価格を左右する7つのポイント
  • 修繕積立金は「安い=良い」ではないという買主目線
  • 売却前のリフォームは費用対効果を要検討という理由
  • 査定前に準備しておきたい資料一覧

データで見る|成約マンションの6割超が築20年超

まず、市場の実態を数字で確認します。

2025年 中古マンション成約物件の実態(REINS)

  • 成約物件の平均築年数 26.58年(前年24.53年)
  • 築20年超の物件が成約全体の60.3%

平均築年数が26.58年ということは、成約物件の平均築年数が26年台まで伸びているということです。しかも前年の24.53年から2年以上も上がっています。市場全体が「築古を受け入れる方向」に動いていることがわかります。

名古屋市も同じ傾向です。東京カンテイの流通事例データによれば、名古屋市の中古マンションの平均築年数は、2016年の23.7年から2025年には28.5年へと、10年で約5年分も延びました。
※東京カンテイのデータは市場に流通している事例をもとにしたもので、後述する成約ベースのデータとは集計対象が異なります。

かつては「中古マンションは築年数が古いほど敬遠される」というのが常識でした。しかし今は、管理が行き届き、交通利便性や生活環境に優れた立地の物件であれば、築年数が経過していても普通に取引されているのが実態です。

背景には、新築マンション価格の高騰があります。建築資材と人件費の上昇により新築価格が上がり続けた結果、「同じ予算なら、立地の良い中古を買ってリフォームする」という選択が一般化しました。築20年以上のマンションは、この流れの受け皿になっています。

「築20年で価値がなくなる」という認識はどこから来たのか

それでも「築20年を過ぎると売れない」というイメージが根強く残っているのはなぜでしょうか。実務的には、3つの理由が考えられます。

①戸建ての税務上の数字が混同されている
木造住宅の法定耐用年数は22年とされています。この数字が広く知られているため、「築20年で住宅の価値はなくなる」というイメージにつながっている面があります。
ただし法定耐用年数は減価償却の計算に用いる税務上の年数であり、市場価値や建物の物理的な寿命を意味するものではありません。実際、築20年を超えた木造戸建てが普通に取引されていますし、マンションであればなおさら建物の状態は個別に評価されます。

②20年前の市場感覚が残っている
2000年代前半までは、たしかに中古マンション市場は今ほど成熟していませんでした。しかし前述のとおり、名古屋市の平均築年数は2016年の23.7年から2025年には28.5年へ延びています。10年で市場の常識が変わったと言っていい変化です。

③ご自身が購入したときの記憶
築20年のマンションをお持ちの方は、20年前に新築または築浅で購入されたケースが多いはずです。当時「新築か築浅を買うもの」という感覚で選んだ経験があると、築古を買う人の存在が実感しづらい。これは自然なことです。
ただ現在の買主層は、当時とは明らかに変わっています。

築20年マンションを買っているのはどんな層か

実務で接する限り、築20年前後のマンションを検討される方には次のような傾向があります。

  • 予算内で立地を優先したい層——駅近を諦めたくないが新築には手が届かない
  • リノベーション前提の層——内装は自分で作るので、躯体と立地だけ見ている
  • 住み替えの層——現在の住まいを売って買い替えるため、総額の妥当性を重視
  • 投資目的の層——利回りで判断するため、価格が下がっていることがむしろ好条件

共通しているのは、「新築のような安心感」ではなく「コストと将来性のバランス」で判断しているという点です。この買主像を理解しているかどうかで、売却戦略は大きく変わります。

名古屋の中古マンション市場|築年数別の価格実態

では名古屋市では、築年数によって価格はどう変わるのか。実際の取引データで見てみます。

名古屋市全体の相場

項目 2025年の数値
平均㎡単価 40.2万円/㎡(坪単価 約133.0万円)
平均築年数 24.8年
平均専有面積 68.6㎡
平均売却価格 約2,784万円

名古屋市の中古マンションも、平均築年数が24年を超えています。築20年以上のマンションは、この市場において特別な存在ではありません。

築年数別の㎡単価(名古屋市)

築年数 ㎡単価の目安 築1年以下との比較
築1年以下 約81.9万円/㎡
築20年 約39.2万円/㎡ 約48%(およそ半値)
築30年以上 約19.0万円/㎡ 約23%

この表を見ると「築20年で半値になるのか」と不安に感じるかもしれません。しかし、数字の読み方には注意が必要です。

この数字は「同じマンションが20年で半値になる」という意味ではありません。
集計対象となっている築1年以下の物件群と築20年の物件群では、立地・グレード・駅距離・専有面積の構成がそれぞれ異なります。新築は都心部や駅近の大規模物件が多く含まれるため、単価が高く出やすいという事情もあります。

正しくは、集計上、築20年前後の㎡単価は築浅群より大きく低い水準にあるということ。そしてこの価格差こそが、買主にとって中古マンションを選ぶ理由になっています。
売主が意識すべきなのは「下がった」ことではなく、「この価格差が買主にとって魅力として伝わっているか」という点です。

エリアによる差も大きい

名古屋市内でも、エリアによって単価はまったく異なります。

エリア ㎡単価 備考
名古屋市中区 約57.5万円/㎡(坪 約189.9万円) 市平均を大きく上回る
名古屋市全体 約40.2万円/㎡(坪 約133.0万円) 2025年平均
地下鉄名港線沿線 約37.4万円/㎡ 平均築年数22.0年

中区と名港線沿線では㎡単価に約1.5倍の開きがあります。築年数が同じでも、エリアが違えば価格はまったく変わる——この事実が、次章以降で説明する「築年数だけでは価格が決まらない」という話につながります。

なお名古屋市全体の㎡単価は前年比で2.4%ほど下落しています。中古マンション相場は市況や在庫状況によって変化するため、売却時には直近の成約事例を確認することが重要です。特に同じマンション・同じエリアでの直近の取引価格は、最も精度の高い判断材料になります。

「築20年以上」を一括りにしない|築年数別に変わる買主の視点

実務の現場で強く感じるのは、「築20年以上」という括りが広すぎるということです。築21年と築45年では、売却時に直面する課題がまったく違います。

築年数 買主が特に見るポイント 売却時の主な課題
築20〜25年 築浅との価格差、立地、修繕履歴、室内の状態 価格の割安感をどう出すか
築26〜30年 管理状態、修繕積立金、長期修繕計画、設備更新 管理の良さをどう伝えるか
築31〜40年 大規模修繕、配管・共用設備、維持費、将来性 将来不安をどう払拭するか
築40年超 耐震性、管理体制、融資・税制、建替え・再生 買主の資金調達をどう成立させるか

この表からわかるのは、築年数が進むほど、買主の関心が「専有部(室内)」から「マンション全体」へ移っていくということです。

築20年台なら「室内がきれいか」「価格は妥当か」が中心ですが、築30年を超えると「このマンションは今後も維持されていくのか」という組合レベルの話になります。売主が用意すべき情報も、それに応じて変わります。

築20〜25年|最も「比較される」築年帯

この築年帯は、実は売主が最も価格判断に迷いやすい時期です。

理由は、買主が比較対象を広く取るからです。築10年台の物件とも、築30年の物件とも、場合によっては新築とも比較される。「あと500万円出せば築15年が買える」「500万円安くすれば築30年が買える」という中間の位置にあります。
つまりこの築年帯では、価格の説明可能性が問われます。なぜこの価格なのかを、立地や管理状態、リフォーム履歴で説明できるかどうかです。

一方で、この築年帯には明確な強みもあります。大規模修繕の実施状況や設備更新の履歴が見え始める時期だという点です。
新築や築浅では「これから適切に管理されるかどうか」は未知数ですが、築20年を過ぎたマンションには実績があります。適切に修繕されてきたマンションであれば、築年数だけではわからない管理状態の良さを、具体的な履歴として買主に示すことができます。これは築古物件ならではの武器です。

築26〜35年|管理の差が価格差になる築年帯

ここからマンションごとの差が明確に開き始めます。

同じ築30年でも、大規模修繕を2回実施して積立金も潤沢なマンションと、1回目の修繕を先送りして積立金が不足しているマンションでは、買主の評価がまったく違います。前者は「あと20年は安心して住める」、後者は「いつ一時金を求められるかわからない」と受け取られます。

実務的に言えば、この築年帯こそ管理組合の運営実績が資産価値に直結する時期です。売主個人ではどうにもならない部分ですが、逆に言えば管理が良好なマンションであれば、それは強力な売り材料になります。

築36年以上|買主の資金調達が論点になる築年帯

この築年帯になると、物件そのものより買主が住宅ローンを組めるかが実務上の焦点になります。

金融機関によっては、築年数に応じて融資期間を短縮する運用をしている場合があります。融資期間が短くなれば月々の返済額が上がり、買える人が限られる。結果として、購入検討者の母数そのものが減ります。
また築40年を超えると、将来の建替えや大規模再生も話題に上ります。これは不安要素にもなりますが、立地が良ければ「再生時に資産性が見込める」という前向きな材料になることもあります。

なおこの築年帯では、現金購入層や投資目的の買主の比率が上がるのも特徴です。売却戦略として、住宅ローン利用者だけでなくそうした層にも届く価格設定・訴求を考える必要があります。

築年数だけでは価格が決まらない理由

査定の現場では、「築25年だから新築価格の◯割」といった単純な計算はしません。理由は3つあります。

①同じマンション内でも価格差が生まれる

同じ棟・同じ築年数でも、階数・向き・角部屋か中住戸か・専有面積・リフォームの有無によって成約価格は変わります。1階と最上階では数百万円の差がつくことも珍しくありません。

②立地条件は築年数では変わらない

建物は築年数の影響を直接受けますが、駅距離や周辺の生活利便性といった立地条件そのものは、築年数では変わりません。駅徒歩5分という条件は、築20年でも築40年でも同じです。だからこそ、立地の良いマンションは築年数が進んでも需要が残ります。

③管理状態が建物の実質的な価値を左右する

同じ築30年でも、大規模修繕を計画的に実施してきたマンションと、修繕を先送りしてきたマンションでは、建物の状態がまったく違います。築年数は「経過した時間」を示すだけで、「建物の状態」を示すものではありません。

つまり査定で本当に重要なのは、そのマンションで直近いくらで成約したかという実績です。同じ棟の成約事例があれば、それが最も精度の高い基準になります。

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売却価格を左右する7つのポイント

築20年以上のマンションの売却で、価格と売れ行きを決める要素を7つに整理しました。

①同じマンションの成約事例

最も重要な要素です。築古マンションほど、一般的な相場計算より「同じ棟の直近の成約価格」が判断基準になります。
買主も同じものを見ています。同じマンションで半年前に2,400万円で成約していれば、そこが基準になる。この事実を知らずに「相場より高く出せるはず」と考えると、売却が長期化します。

②立地・駅距離

築年数が経っても変わらないのが立地です。駅近、スーパー・病院・学校などの生活利便性が高ければ、建物が古くなっても一定の購入需要が残ります。
名古屋市内でも、昭和区・名東区・東区などは築年数より立地が優先されるケースが多く見られます。逆に「築年数+駅遠+生活利便性が弱い」が重なると、価格調整が必要になります。名古屋は車社会の影響もあり、立地条件の差がそのまま売却難易度に直結しやすい市場です。

③修繕積立金の水準

後の章で詳しく扱いますが、「修繕積立金が安い=良いマンション」ではありません。買主が見ているのは「将来足りるのか」です。

④長期修繕計画と大規模修繕の履歴

「大規模修繕済みです」だけでは情報として不十分です。買主が知りたいのは、いつ実施したか/次はいつか/いくら必要か/積立金で足りるのかという4点です。

⑤耐震基準

築年数と耐震基準は混同されがちですが、別の話です。詳しくは第7章で解説します。

⑥買主が住宅ローン・税制を使えるか

見落とされがちですが、買主が有利な条件で資金調達できるかどうかも、物件の商品力の一部です。住宅ローン控除が使えるかどうかで、買主の実質負担は大きく変わります。

⑦室内の状態と価格のバランス

築古マンションを探す買主には「安く買って自分でリノベーションしたい」という層が一定数います。室内が多少古くても、その分価格が抑えられていれば評価されるケースは多くあります。

実務での本音を申し上げると、築古マンションの売却では「あと少し安ければ決まる」という状態が非常に多いのが実感です。7つの要素のうち何かが弱い場合、最終的には価格で調整することになります。だからこそ、最初から現実的な価格設定をしておくと結果的に高く早く売れることが多いのです。

最重要|管理状態と修繕積立金はこう見られている

築20年を超えたマンションの売却で、最も差がつくのが管理状態です。ここを理解しておくと、売却の戦略が変わります。

「修繕積立金が安い」は売りにならない

売主の方から「うちは修繕積立金が月5,000円と安いんです」とアピールされることがあります。しかし買主、特に知識のある買主はこれを警戒材料として見ます。

理由は単純で、修繕積立金が安いということは将来の修繕資金が足りなくなる可能性があるからです。不足すれば、一時金の徴収か、大幅な値上げか、修繕の先送りのいずれかになります。どれも購入後の負担増につながります。

修繕積立金の目安(国土交通省ガイドライン・2024年6月改定)

国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で、専有面積あたりの月額単価の目安を示しています。2024年6月の改定では、資材価格や人件費の高騰を反映して目安額が引き上げられました。

目安は建物の規模によって異なります。20階未満のマンションの場合、平均値の目安は次のとおりです。

建築延床面積 平均値の目安 専有面積70㎡の場合
5,000㎡未満 335円/㎡・月 月額 約23,450円
5,000〜10,000㎡未満 252円/㎡・月 月額 約17,640円
10,000〜20,000㎡未満 271円/㎡・月 月額 約18,970円

※20階未満の場合の平均値です。機械式駐車場がある場合は別途加算が必要です。あくまで目安であり、建物の階数・規模・仕様によって適正額は変わります。詳細は国土交通省の最新版ガイドラインをご確認ください。

注目していただきたいのは、規模が小さいマンションほど㎡単価が高くなる点です。5,000㎡未満では335円/㎡と、5,000〜10,000㎡未満(252円/㎡)より3割以上高い。
これは、小規模マンションほど1戸あたりの負担が重くなるためです。総戸数が少なくても大規模修繕の工事費は一定額かかるため、頭数で割ると単価が上がります。小規模マンションをお持ちの場合、積立金の水準は特に確認しておく価値があります。

ご自身のマンションの水準を確認するのは簡単です。年間の積立総額 ÷ 全住戸の専有面積合計 ÷ 12で㎡単価が出ます。目安を大きく下回っている場合、買主から「将来の値上げリスクがある」と見られる可能性があります。

均等積立方式か、段階増額積立方式か

積立金の集め方には2つの方式があります。

方式 内容 買主から見た評価
均等積立方式 計画期間を通じて月額が一定 将来の値上げリスクが小さく安心
段階増額積立方式 当初は低額で数年ごとに引き上げ 将来いくらになるかの確認が必要

段階増額方式そのものが悪いわけではありませんが、「今後いつ、いくらまで上がる予定か」を説明できるかどうかで買主の安心感は大きく変わります。国土交通省も、長期的に安定して修繕資金を確保する観点から均等積立方式を推奨しています。

長期修繕計画は「30年以上・大規模修繕2回以上」が一つの基準

国土交通省の管理計画認定制度では、長期修繕計画について計画期間が30年以上あり、その中に大規模修繕工事が2回以上含まれていることなどが認定基準とされています。

売却時にこれを満たしていれば、「このマンションは計画的に管理されている」という客観的な材料になります。管理組合が管理計画認定を取得している場合は、必ず伝えてください。

2026年、マンション管理をめぐる制度が変わりました

2026年4月から改正区分所有法などが施行され、老朽化マンションの管理・再生に関する制度整備が進んでいます。
背景にあるのは、築古マンションを「古いから価値がない」とみなす時代から、適切に管理・修繕しながら使い続ける住宅ストックとして扱う方向への転換です。
売主にとっては、管理の良さが以前より評価されやすくなったとも言えます。

旧耐震・新耐震と住宅ローンの関係

築年数の話で最も誤解が多いのが、耐震基準です。ここは正確に理解しておく価値があります。

「築40年=旧耐震」ではありません

新耐震基準は、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されています。

2026年時点で築40年のマンションは、1986年前後の建築です。つまり基本的には新耐震基準の物件ということになります。
旧耐震に該当するのは、おおむね築45年以上の物件です。「築40年だから旧耐震で売れないのでは」という心配は、多くの場合、不要です。

ここで重要な注意点があります。基準となるのは「竣工日」ではなく「建築確認を受けた日」です。1981年6月直後に竣工した物件は、建築確認が旧基準の時期という可能性があります。境界付近の物件は、建築確認済証などで確認が必要です。

住宅ローン控除と築年数の関係

買主にとって大きいのが住宅ローン控除(住宅ローン減税)です。ここも2022年の改正で条件が変わりました。

現在、既存住宅については1982年1月1日以降に建築された住宅であれば、新耐震基準に適合しているものとみなされ、登記簿上の建築日付で判定できます。かつてのように「築25年以内」という築年数要件で機械的に線引きされることはなくなりました。
1981年12月31日以前に建築された住宅の場合は、耐震基準適合証明書などで耐震性を証明する必要があります。

なお住宅ローン減税は2026年度税制改正で2030年まで延長され、既存住宅への支援も拡充されています。

売主目線でのポイント。2026年時点で築20年のマンションは2006年前後の建築です。新耐震はもちろん、2000年の住宅性能表示制度導入後の物件にあたります。
築20年という築年数自体が、住宅ローン減税の障害になるわけではありません。なお住宅ローン減税には、床面積・合計所得金額・借入期間・自己居住など別途の適用要件がありますので、実際の適用可否は買主の状況によります。

つまり買主から見れば「築浅より抑えた価格で買えて、築年数を理由に減税から外れることもない」——検討しやすい築年帯だと言えます。この点は売却時にアピールしてよい材料です。

売る前にリフォームした方がいい?

売却相談で必ず出る質問です。結論から申し上げると、売却前のフルリフォームは原則として慎重に判断すべきだと考えています。

かけた費用がそのまま価格に乗るとは限らない

500万円かけてリフォームしても、その500万円がそのまま販売価格に上乗せできるとは限りません。むしろ回収できないケースの方が多いのが実感です。

理由は買主層にあります。築古マンションを探している方の中には、「安く買って、自分好みにリノベーションしたい」という層が確実に存在します。この層にとって、売主が施したリフォームは価値になりません。むしろ「その分価格が上がっているなら、自分でやりたかった」となります。

費用対効果で分けて考える

対応 費用対効果 理由
清掃・残置物撤去 ◎ 実施推奨 低コストで第一印象が大きく変わる
クロスの部分補修 ◯ 検討価値あり 汚れ・破れは減点要因になりやすい
ハウスクリーニング ◯ 検討価値あり 水回りの清潔感は判断に影響する
キッチン・浴室の交換 △ 要検討 費用が大きく回収が難しい場合がある
間取り変更を伴う全面改装 △ 慎重に 好みが分かれ、価格も築浅と競合する

つまり「マイナスを消す作業」は効果があり、「プラスを足す作業」は回収が難しいという整理になります。

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なお、無理にリフォームするよりその分を価格に反映させた方が結果的に早く売れるケースは実務上かなり多くあります。リフォーム費用を投じる前に、まず査定を受けて「リフォームありの想定価格」と「現状のままの想定価格」を比較することをおすすめします。

売れるマンションと苦戦するマンションの違い

ここまでの内容を、実務目線で対比表にまとめます。

項目 売れやすい 苦戦しやすい
立地 駅徒歩圏・生活利便性が高い 駅から遠く車前提
成約実績 同マンションで成約事例がある 売出物件が長期間残っている
管理状態 共用部が清潔で管理が機能 管理組合が機能していない
修繕履歴 実施内容と時期が明確 修繕計画が不明
修繕積立金 適正水準で均等積立 積立不足・一時金の予定あり
設備 エレベーターあり 高層階なのにEVなし
間取り 一般的で使いやすい 特殊で用途が限られる
室内 リフォーム余地を価格に反映 改装費+価格で築浅と競合
価格設定 市場実勢に基づく現実的な価格 売主希望額のみで設定

売れないときに見直す順番

売り出したものの反応が薄い場合、闇雲に値下げする前に確認すべき順番があります。

①掲載内容を見直す
写真の枚数と質、間取り図の見やすさ、周辺環境の説明。ポータルサイトで最初に見られるのはここです。物件そのものより、掲載の仕方が原因で問い合わせが来ていないケースは意外と多くあります。

②内覧時の状態を見直す
残置物、におい、水回りの清潔感、照明の明るさ。内覧は来ているのに決まらない場合、ここに原因があることが少なくありません。

③マンションの情報提供を見直す
修繕履歴、長期修繕計画、管理組合の状況。築古であるほど、この情報の有無が決め手になります。

④最後に価格を見直す
①〜③を整えたうえで反応がなければ、価格が市場とずれている可能性が高いです。問い合わせ自体が来ない場合は価格、内覧は来るが決まらない場合は物件の見せ方——という切り分けが目安になります。

価格改定のタイミングをどう考えるか

値下げは「いつでもできる」ように見えますが、実務的にはタイミングが重要です。

売り出し直後の1〜2週間は、その物件を待っていた層に最も届く期間です。ポータルサイトの新着表示に載り、条件登録している買主に通知が飛ぶ。この初動で反応がまったくないのであれば、価格が市場からずれている可能性を早めに疑うべきです。

逆に避けたいのが、小刻みな値下げを何度も繰り返すことです。同じ物件が少しずつ下がり続けていると、買主側に「まだ下がる」という期待が生まれ、様子見されます。掲載期間が長い物件ほど「何か問題があるのでは」と思われやすくもなります。

実務での考え方。値下げをするなら、「反応が変わる幅」で一度に動かす方が結果的に有利です。10万円ずつ3回下げるより、検索の価格帯区切り(たとえば2,500万円→2,480万円のように上限フィルターに引っかかる水準)をまたぐ形で一度動かした方が、新しい買主層に届きます。
そのためにも、最初の価格設定を「相場より少し高い程度」に収めておくことが大切です。

売り急がない場合の選択肢

住み替えの期限がないなど、時間に余裕がある場合は「売り出し価格を維持して待つ」という選択もあります。ただしその場合も、掲載写真の差し替えや、いったん掲載を止めて再登録するなど、鮮度を保つ工夫は必要です。

また名古屋の中古マンション市場は、1〜3月にかけて売り物件が増える傾向があります。売る側から見れば競合が増える時期でもあるため、この時期に売り出すなら価格の説得力がより重要になります。逆に競合が少ない時期を狙うという判断もあり得ます。

売却前に準備したい資料チェックリスト

築年数が進んだマンションほど、専有部(室内)より「マンション全体の資料」が重要になります。査定の精度も、買主への説得力も、これらの資料の有無で変わります。

査定前に揃えておきたい資料

□ 管理規約

□ 長期修繕計画書

□ 直近の総会議事録

□ 大規模修繕の実施履歴(時期・内容)

□ 管理費・修繕積立金の月額

□ 積立金の値上げ予定の有無

□ 一時金徴収の予定の有無

□ 駐車場の空き状況・使用料

□ ペット飼育の可否(規約)

□ 室内のリフォーム履歴

これらの多くは管理会社に依頼すれば取得できます。売却を決める前でも、査定を依頼する段階で揃えておくと話が早く進みます。

特に「値上げ予定」「一時金の予定」は、後から判明すると商談が止まる要因になります。先に把握して、先に伝える——これが結果的にトラブルを防ぎ、売却をスムーズにします。

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まとめ|築年数より「このマンションを今買う理由」を作る

売却できるのか


本記事の要点を整理します。

  • 2025年の成約マンションは平均築年数26.58年、6割超が築20年超。築古は市場の主流
  • 名古屋市でも経年マンションの流通が進み、成約データの平均築年数は24.8年
  • 「築20年で価値ゼロ」は税務上の法定耐用年数との混同。市場価値や寿命とは別の話
  • 「築20年以上」は括りが広すぎる。20年台・30年台・40年超で課題が違う
  • 価格を決めるのは築年数ではなく同マンションの成約事例・立地・管理状態
  • 修繕積立金は「安い=良い」ではない。買主は「将来足りるか」を見ている
  • 2026年時点の築40年は基本的に新耐震築20年という築年数自体は住宅ローン減税の障害にならない
  • 売却前のフルリフォームは慎重に。マイナスを消す作業は有効、プラスを足す作業は回収が難しい
  • 値下げは小刻みに繰り返さず、反応が変わる幅で一度に動かす
  • 築年数が進むほどマンション全体の資料が重要になる

売却で本当に問われていること

買主が知りたいのは「このマンションが何年経っているか」ではありません。
「このマンションを、この価格で、今買う理由があるか」です。
立地が良い、管理が行き届いている、価格に納得感がある、将来の負担が読める——この4つが揃っていれば、築年数は決定的な障害になりません。

築20年以上のマンションは、「売れない」のではなく「選ばれ方が変わる」だけです。築浅より抑えた価格で買えて、立地が良く、管理も良い——これは買主にとって十分に魅力的な商品です。
一方で、築年数だけを理由に強気の価格設定をしてしまうと、売却は長期化しやすくなります。市場の実勢を踏まえた判断が、結果的に高く早く売ることにつながります。

当社では名古屋市内の中古マンションについて、同マンション・同エリアの直近成約事例を踏まえた査定を行っています。「実際いくらで売れそうか」「リフォームすべきか」「今売るべきか」といったご相談も、査定のご依頼前の段階で構いません。お気軽にお声がけください。

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※本記事の市場データは、東日本不動産流通機構(REINS)、中部圏不動産流通機構、東京カンテイ等の公表資料をもとにしています。相場は時期・エリア・個別条件により変動します。修繕積立金の目安は国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(2024年6月改定)に基づきます。税制・制度は改正される場合がありますので、最新情報は各機関の公式情報をご確認ください。

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