
40代で家を買うのは遅い?賃貸と購入を費用と住宅ローンで比較
40代で「賃貸か購入か」を考えるとき、月額の比較では判断できません
40代で住まいを考えるとき、賃貸を続けるべきか購入するべきかで悩む方は多くいらっしゃいます。
20代・30代なら、ライフスタイルの変化を前提に「まずは賃貸」という選択も自然です。しかし40代になると、考えるべき要素が一気に増えます。
・住宅ローンの完済年齢
・子どもの教育費
・親の介護や実家のこと
・老後の住居費
・自分たちの老後資金
賃貸と購入は、同じ「住居費」でも中身がまったく違います。
表面的な月額だけを比べると、判断を誤りやすいテーマです。
賃貸は家賃を払い続けることで住む権利を得る仕組み。購入は住宅ローンや諸費用、税金、修繕費を負担しながら、最終的に住宅を保有する仕組みです。
この記事では、名古屋で15年間、宅地建物取引士として賃貸と売買の現場に立ってきた立場から、40代夫婦が費用面で何を見るべきかを整理します。
この記事でわかること
・賃貸と購入でかかる費用の中身の違い
・40代でローンを組むときの完済年齢の考え方
・老後まで含めた総支出で比べる方法
・40代ならではの4つの論点
・購入が向いているケース、賃貸が向いているケース
・「買う」と決めた後に考えること
比較すべきは「月額」ではなく「住居費の中身」

「家賃10万円」と「ローン返済10万円」は、同じ10万円ではありません。
賃貸でかかる費用
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 家賃 | 毎月発生。住み続ける限り続く |
| 共益費・管理費 | 毎月発生 |
| 駐車場代 | 必要な場合 |
| 更新料 | 契約更新時(地域・契約による) |
| 火災保険料 | 契約時・更新時 |
| 保証会社の費用 | 契約時・更新時 |
| 引越し費用 | 住み替えのたびに発生 |
賃貸で見落とされやすいのが更新料と引越し費用です。数年に一度とはいえ、積み重なると小さくありません。
購入でかかる費用
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 住宅ローン返済 | 毎月。完済すれば終わる |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年。所有し続ける限り続く |
| 管理費・修繕積立金 | マンションの場合、毎月 |
| 駐車場代 | マンションの場合、必要なことが多い |
| 修繕費 | 戸建ては自分で計画・負担 |
| 火災保険料 | 長期契約が一般的 |
| 購入時の諸費用 | 仲介手数料、登記費用、ローン関連費用など |
重要なのは、ローン返済が終わっても住居費はゼロにならないということです。
固定資産税は所有し続ける限りかかりますし、マンションなら管理費・修繕積立金も続きます。戸建ても修繕費が必要です。
「完済すれば無料」ではありません。
40代で購入するならローン期間が重要
40代の購入で最も重要なのは
「何歳で完済するか」です。
完済年齢を確認してください
住宅ローンには完済時年齢の上限があります。たとえばフラット35では、申込時70歳未満・完済時80歳未満が要件です。借入期間は「80歳から申込時の年齢を引いた年数」と35年のうち、短い方が上限になります。
| 借入時年齢 | 35年後の年齢 |
|---|---|
| 40歳 | 75歳 |
| 44歳 | 79歳 |
| 45歳 | 80歳 |
フラット35では完済時年齢が80歳未満という条件があるため、40代半ばになると35年の借入期間を確保できない場合があります。
定年後も返済が続く可能性
例えば40代前半で35年ローンを組むと、完済時期は70代後半になります。40代半ば以降では、金融機関の完済時年齢の条件によって借入期間が短くなる場合があります。
いずれにしても、定年退職後も返済が続く可能性を想定しておく必要があります。
この場合、次のいずれかの対応を考えることになります。
・繰上返済で完済時期を早める
・退職金の一部を返済にあてる
・定年後も収入を確保する
・借入額を抑えて、期間を短くする
「借りられる額」と「返せる額」は違います
金融機関の審査は年収に対する返済比率で判断されます。しかし審査に通る額と、教育費や老後資金を考えたうえで無理なく返せる額は別です。
40代では特に、教育費のピークとローン返済が重なる時期があります。ここを見落とすと後で苦しくなります。
老後まで含めた「総支出」で比べる

40代で判断するなら、今の月額ではなく、老後までの総額で見る必要があります。
賃貸は老後も家賃が続きます
これが賃貸の最大の論点です。
月10万円の家賃を払い続けた場合
45歳から85歳まで(40年) → 4,800万円
うち65歳以降の20年 → 2,400万円
※更新料・火災保険料・引越し費用は含みません。家賃が変わらない前提の単純計算です。購入との優劣を示す試算ではなく、賃貸を続けた場合の支出イメージです。
年金収入から家賃を払い続けられるか。これは老後の資金計画に直結します。
高齢期の入居審査という論点もあります
見落とされがちですが、高齢になると賃貸の入居審査が厳しくなる場合があります。
連帯保証人の確保、収入の安定性、緊急連絡先。こうした条件で、選べる物件が限られることがあります。
この点については、2025年10月に改正住宅セーフティネット法が施行され、高齢者などが入居しやすい環境を整える制度が始まっています。
ただし希望する物件に必ず住めるとは限りません。「歳をとってから探せばいい」と考えるのはリスクがあります。
購入はローン完済後の住居費が軽くなります
ローンを完済すれば、毎月の返済はなくなります。
ただし前述のとおり、住居費がゼロになるわけではありません。
| 完済後も続く費用 | 戸建て | マンション |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | あり | あり |
| 管理費・修繕積立金 | なし | あり |
| 駐車場代 | 敷地内なら不要 | 必要なことが多い |
| 修繕費 | 自分で負担 | 積立金から実施 |
ローン完済後は毎月のローン返済がなくなるため、住居費を抑えやすくなる点は購入の利点です。ただし維持費は物件によって異なります。
比べるときは同じ条件で
この4つを並べてみてください
・賃貸を続けた場合の、85歳までの家賃総額
・購入した場合の、ローン返済総額+諸費用
・購入後に毎年かかる税金・維持費
・将来売却した場合に見込める金額
この4つを並べると、金額の差が見えてきます。感覚ではなく数字で比べることが大切です。
40代ならではの4つの論点

費用以外にも、40代だからこそ考えておきたいことがあります。
①教育費のピークと重なります
子どもが中高生なら、これから最も教育費がかかる時期です。
高校、大学、場合によっては下宿。ここに住宅ローンの返済が重なると、家計の余裕がなくなります。
教育費のピークが何年後で、いくら必要か。これを把握したうえで借入額を決めてください。
②団体信用生命保険に加入できるか
これは意外と重要な論点です
住宅ローンを組む際、多くの場合団体信用生命保険(団信)への加入が必要になります。契約者に万一のことがあった場合、ローンが完済される仕組みです。
ただし健康状態によっては加入できないことがあります。40代以降は、持病や治療歴が理由で加入が難しくなるケースが出始めます。
年齢や健康状態によって、利用できる住宅ローンの選択肢が変わる可能性があります。
なお団信の加入が難しい場合でも、ワイド団信や、団信加入を必須としない住宅ローンという選択肢があります。金融機関にご相談ください。
③老後にその家で暮らせるか
40代で買う家に、70代・80代でも住み続けるのか。
・車を手放した後も生活できるか(スーパー・病院・駅)
・階段の上り下りは負担にならないか
・部屋数が多すぎて持て余さないか
・将来、住み替える可能性はあるか
「今の家族構成に合う家」と「老後も暮らせる家」は、必ずしも一致しません。将来住み替える前提なら、売りやすい物件を選ぶという考え方もあります。
④実家をどうするか
40代は、親の住まいについて考え始める時期でもあります。
実家を相続する可能性があるなら、それも住まいの選択肢に入ります。「今買う必要があるか」という判断にも影響します。
ただし実家をあてにして購入を先送りするのは慎重に考えてください。相続人が複数いる場合、必ずしも自分が取得できるとは限りません。立地や建物の状態によっては、住むのが現実的でないこともあります。
購入時の諸費用と、その後の維持費
購入時にかかる費用
物件価格以外に、次のような費用がかかります。
・仲介手数料
・登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
・ローン関連費用(事務手数料、保証料)
・印紙税
・火災保険料
・固定資産税の日割り精算
金額は物件価格や借入条件によって変わります。自己資金の計画を立てる際は、これらを見込んでおいてください。
マンションは管理費・修繕積立金を必ず確認
購入時は月数千円でも、築年数が進むにつれて値上げされることがあります。
長期修繕計画を確認し、「段階増額積立方式」か「均等積立方式」かも見ておきましょう。段階増額方式は将来の値上げが前提です。国土交通省は均等積立方式を推奨しています。
戸建ては自分で積み立てる必要があります
外壁塗装、屋根の補修、給湯器の交換。築年数が進むにつれて、修繕・交換が必要になる可能性が高まります。
マンションのように強制的に積み立てる仕組みがないため、自分で計画的に備えておかないと、必要になったときに困ります。
賃貸も更新料と家賃の変動があります
賃貸だから固定費が一定、というわけでもありません。
・更新料(地域・契約による)
・更新時の家賃改定
・住み替えのたびの初期費用と引越し費用
長く住むほど、建物は古くなります。設備の老朽化を受け入れるか、住み替えて新しい物件へ移るか。いずれにしても費用は発生します。
「資産として残るか」は物件次第
「購入すれば資産になる」とよく言われますが、すべての物件が同じように価値を保つわけではありません。
売却時に評価されやすい条件
・駅からの距離
・生活利便施設が揃っている
・管理状態が良い(マンション)
・土地の形状・接道が良い(戸建て)
・駐車場が確保できる
・そのエリアに需要がある
逆に、駅から遠く、生活利便性が低く、管理も行き届いていない物件は、売りたいときに買い手が見つかりにくくなります。
40代なら「出口」も考えておく
転勤、家族構成の変化、親の介護、老後の住み替え。40代で買った家に、一生住むとは限りません。
そのとき「売れる物件かどうか」で、選択の自由度がまったく変わります。
「安いから」だけで選ぶのではなく、将来も住みやすく、売りやすい物件を選ぶという視点を持っておいてください。
購入が向いているケース
□ 住む場所が今後大きく変わる予定がない
□ 転勤の可能性が低い、または単身赴任で対応できる
□ 安定した収入があり、返済計画が立てられる
□ 退職後も無理のない返済計画が立てられる
□ 老後の住居費を抑えたい
□ 教育費の見通しが立っている
□ 今の賃貸に不満がある(音、収納、駐車場など)
特に重要なのは、退職後まで返済が続く場合でも、無理なく支払える計画になっているかです。ここが見通せるなら、購入は現実的な選択肢になります。
また今の賃貸に具体的な不満がある場合も、購入で解決できる可能性があります。音、収納、駐車場——こうした日常の不便は、住み続ける限り続きます。
賃貸が向いているケース
□ 転勤の可能性がある
□ 数年以内に家族構成が変わりそう
□ 収入が変動しやすい
□ 自己資金に余裕がない
□ 住む地域を決めきれていない
□ 実家に戻る可能性がある
□ 修繕や管理の負担を負いたくない
賃貸を選ぶことは、決して消極的な判断ではありません。住み替えの自由度は、40代以降のライフスタイルの変化に対応するうえで大きな価値があります。
賃貸を選ぶなら、老後の備えを
賃貸を続ける場合、老後も家賃を払い続ける前提で資金計画を立ててください。
年金収入から家賃を払えるか。払えないなら、その分をどこで確保するか。「買わない」と決めるなら、そのための備えが必要です。
「買う」と決めたら、次に考えること

購入を選んだ場合、次の判断が待っています。
①戸建てかマンションか
音、車の使い方、荷物の量、近所付き合い、防犯。今の住まいで何に困っているかから考えると、答えが見えてきます。
②どのエリアで買うか
名古屋市内でも、区によって価格も住環境もまったく違います。家族構成と予算から、合うエリアを絞っていきます。
③いくらまで借りるか
審査に通る額ではなく、教育費と老後資金を考えたうえで無理なく返せる額を決めます。
よくあるご質問
Q. 40代から家を買うのは遅いですか?
遅くはありません。ただし完済年齢を意識する必要があります。40代半ば以降は、金融機関の完済時年齢によって35年の借入期間を確保できない場合があります。借入額を抑える、繰上返済を計画するなど、返済計画がより重要になります。
Q. 賃貸と購入、どちらが安いですか?
物件と期間によって変わります。賃貸は住み続ける限り家賃が発生し、購入は完済後の負担が軽くなります。ただし購入には諸費用・税金・修繕費もかかります。老後までの総額で比べてください。
Q. ローンを完済すれば住居費はゼロになりますか?
ゼロにはなりません。固定資産税は所有し続ける限りかかります。マンションなら管理費・修繕積立金も続きます。戸建ても修繕費が必要です。毎月のローン返済がなくなる分、住居費は抑えやすくなりますが、無料ではありません。維持費の水準は物件によって異なります。
Q. 40代でも35年ローンは組めますか?
借入時の年齢によります。たとえばフラット35では完済時80歳未満が要件のため、40代半ばが一つの目安になります。それ以降は借入期間が短くなり、月々の返済額が増えます。
Q. 教育費と住宅ローンは両立できますか?
教育費のピークがいつ来るかを把握することが重要です。子どもが中高生なら、これから数年が最も費用のかかる時期です。その時期の家計を試算したうえで、借入額を決めてください。
Q. 団体信用生命保険に入れるか心配です
40代以降は、健康状態によって加入が難しくなるケースがあります。ただしワイド団信や、団信加入を必須としない住宅ローンという選択肢もあります。金融機関にご相談ください。
Q. 賃貸なら老後も自由に住み替えられますか?
高齢になると入居審査が厳しくなる場合があります。2025年10月施行の改正住宅セーフティネット法により、高齢者が入居しやすい環境の整備が進んでいますが、希望する物件に必ず住めるとは限りません。
Q. 実家を相続する予定なら、買わない方がいいですか?
慎重に考えてください。相続人が複数いれば、必ずしも自分が取得できるとは限りません。また立地や建物の状態によっては、住むのが現実的でない場合もあります。実家をあてにして判断を先送りするのはリスクがあります。
まとめ|「老後までの総支出」と「身動きの取りやすさ」で考える
40代の住まい選びは、
「老後までの総支出」と「身動きの取りやすさ」
この2つで考えると整理しやすくなります。
本記事の要点を整理します。
・比べるのは月額ではなく住居費の中身と総額
・ローン完済後も、住居費はゼロにならない
・40代は完済年齢が最大の論点
・賃貸は老後も家賃が続くことを前提に備える
・教育費のピークと団信も40代特有の論点
・「買う」なら将来売りやすい物件を選ぶ
名古屋で15年間この仕事をしてきた実感として、「どちらが得か」で悩み続けるより、自分たちの条件で試算してみた方が早いと感じています。
家賃、収入、教育費、退職時期。数字を並べれば、どちらが現実的か見えてきます。
愛知中央不動産では、「まだ買うと決めていない」段階でのご相談も承っています。今の家賃と比べてどうか、いくらまでなら無理がないか。一緒に整理させてください。
今の家賃と比べてみませんか
「40代からでも間に合うのか知りたい」
「いくらまでなら無理がない?」
「教育費と両立できるか不安」
——こうした段階でのご相談も承ります。
住まい選びの関連記事
・賃貸から買うなら戸建とマンションどっち?夫婦で考える選び方
・名古屋でマンションを買うならどの区?家族構成・予算別のおすすめエリア
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいて作成しています。住宅ローンの要件・団体信用生命保険の加入条件は金融機関により異なります。試算は単純計算による例示であり、実際の金額は物件・借入条件・家賃水準により変動します。税制については税務署または税理士にご確認ください。





