
名古屋市の耐震改修補助金はいくら?対象・申請の流れと売却の比較【2026年度】
住まいの補助金・助成金カタログ|名古屋市 第1回
名古屋市の耐震改修補助金はいくら?
木造住宅の助成額と申請の流れ、売却との比べ方
「昭和の木造の家に住み続けて大丈夫だろうか」「相続した実家が古くて、地震が来たら心配」。旧耐震の家をお持ちの方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
名古屋市には、木造住宅の耐震改修工事に工事費の5分の4、最大115万円を助成する制度があります。この記事では、対象になる家と申請の流れ、自己負担の目安を整理したうえで、「直して住む」「直して売る」「そのまま売る」をどう比べるかまで、不動産会社の目線でお伝えします。
愛知中央不動産株式会社 | 住まいの補助金・助成金カタログ|名古屋市 第1回(全12回)
| 対象 | 昭和56年5月31日以前着工・2階建て以下の木造住宅で、市の無料耐震診断の判定値1.0未満 |
|---|---|
| 金額 | 工事費の5分の4以内、最大115万円(非課税世帯は最大165万円) |
| 期限 | 交付申請は4月〜翌年1月末。その年度の2月末までに完了報告できることが条件 |
| 契約前の注意 | 交付決定の通知を受ける前に、工事の契約・着手金の支払い・着工をしない |
| 公式窓口 | 名古屋市住宅都市局 耐震化支援課(052-972-2921)/公式ページ |
※制度の内容は2026年10月26日時点で名古屋市の公式ページから確認したものです(令和8年度)。予算や要件は変わる場合がありますので、申請前に名古屋市耐震化支援課へご確認ください。
この記事の内容
1. 助成額は「工事費の5分の4、最大115万円」
名古屋市の「木造住宅耐震改修助成」は、旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震改修工事に対して、費用の一部を市が助成する制度です。耐震改修工事とは、壁を補強したり筋交いを足したりして、建物全体のバランスを見ながら地震に強くする工事のことです。
助成額は耐震改修工事費の5分の4以内で、上限は工事の進め方と世帯の区分で決まります。工事は、一度で家全体を補強する「一般改修」と、2回に分けて補強する「段階的改修」から選べます。
| 工事の区分 | 一般世帯 | 非課税世帯 |
|---|---|---|
| 一般改修(家全体の判定値を1.0以上に) | 最大115万円 | 最大165万円 |
| 段階的改修 1段階目 | 最大60万円 | 最大85万円 |
| 段階的改修 2段階目 | 最大55万円 | 最大80万円 |
※スマートフォンでは、表を左右にスクロールできます。
出典:名古屋市「木造住宅耐震改修助成のご案内」をもとに当社で作成(2026年10月26日確認)。非課税世帯とは、建物所有者の世帯全員が過去2年間、市民税の課税を受けていない世帯です。
助成を受けられるかどうかは、市の耐震診断で出る「判定値」(上部構造評点)で決まります。判定値は家の強さを表す数字で、1.0未満が助成の対象です。
+ 判定値の見方と、一般改修・段階的改修の違いを見る
名古屋市の資料では、震度6強から7クラスの大地震に対して、判定値ごとに次のように整理されています。
| 判定値 | 判定 |
|---|---|
| 1.5以上 | 倒壊しない |
| 1.0以上1.5未満 | 一応倒壊しない |
| 0.7以上1.0未満 | 倒壊する可能性がある |
| 0.7未満 | 倒壊する可能性が高い |
一般改修は、判定値1.0未満の家を1.0以上(かつ0.3以上アップ)にする工事です。段階的改修は、判定値0.7未満の家を、まず0.7以上1.0未満(または2階建ての1階部分だけ1.0以上)にし、2段階目で1.0以上にする進め方です。一度にまとまった費用を用意しにくい場合に選ばれています。
出典:名古屋市「木造住宅耐震改修助成リーフレット(令和8年度)」をもとに当社で作成
2. 対象になる家と、補助金を受け取るまでの流れ
助成の対象になるのは、次のすべてに当てはまる木造住宅です。
□ 名古屋市内にあり、昭和56年5月31日以前に着工された2階建て以下の住宅(戸建て・長屋・共同住宅)
□ 市の無料耐震診断で判定値1.0未満(段階的改修は0.7未満)
□ 店舗など住宅以外に使っている面積が、延べ面積の2分の1未満
□ 建物が適法で、固定資産税などを適切に納めている
申請できるのは建物の所有者(複数いる場合は代表者)です。相続した実家でよくあるのが、登記が亡くなった親の名義のままになっているケースです。名古屋市も、所有者が亡くなっている場合や名義変更が済んでいない場合は相談するよう案内しています。相続登記は売却するときにも必要になるため、どちらに進むにしても早めに済ませておくと安心です。
申請から補助金の受け取りまで(5つの段階)

交付決定の通知を受ける前に、工事の契約・着手金の支払い・着工をすると、補助金を受け取れません。見積もりの段階で業者から契約を急かされても、通知が届くまで待ちましょう。
+ 提出期限と所要日数の詳細を見る
| 手続き | 期限・日数の目安 |
|---|---|
| 無料耐震診断 | 結果まで約3か月 |
| 事前協議 | 建築士が図面・補強計算書をもって協議(電話予約が必要) |
| 交付申請 | 受付は4月〜翌年1月末。その年度の2月末までに完了報告できるものに限る |
| 交付決定の通知 | 申請から約1か月 |
| 着手届 | 交付決定の通知日から30日以内。工事中に市職員の中間検査あり |
| 完了実績報告書 | 着手届の提出日から4か月以内、かつ工事完了日から30日以内、遅くとも当該年度の2月末まで |
| 補助金の受け取り | 報告から約1か月で金額確定、請求から約2週間で振り込み |
※スマートフォンでは、表を左右にスクロールできます。
出典:名古屋市「木造住宅耐震改修助成のご案内」をもとに当社で作成(2026年10月26日確認)
完了報告は「2月末まで待ってよい」わけではありません。早い時期に工事が終わった場合は、完了日から30日以内に提出が必要です。工事費を先に立て替えるのが難しい場合は、施工業者が補助金を受け取る「代理受領制度」も利用できます。
3. 自己負担はいくら?費用の目安と注意点
名古屋市によると、この助成制度を使った住宅では、耐震改修工事費が150万円から250万円のケースが多いとされています(リフォーム工事は除く)。助成額は「工事費の5分の4」と「上限額」のうち小さいほうなので、工事費が上がるほど上限の115万円で頭打ちになり、自己負担が増えていきます。
一般世帯・一般改修で、助成対象の工事費が150万円なら差額は35万円、250万円なら135万円です。
+ データ表(数値で見る)
| 助成対象の工事費 | 工事費の5分の4 | 助成額 | 工事費-助成 |
|---|---|---|---|
| 150万円 | 120万円 | 115万円 | 35万円 |
| 200万円 | 160万円 | 115万円 | 85万円 |
| 250万円 | 200万円 | 115万円 | 135万円 |
※スマートフォンでは、表を左右にスクロールできます。
出典:名古屋市「木造住宅耐震改修助成のご案内」の助成率・上限額をもとに当社で試算(一般世帯・一般改修)。実際の工事費は、家の状態や補強の方法によって変わります。
このグラフは工事費から助成を引いた差額です。実際に準備する資金は、これに建築士への設計・工事監理などの費用や、一緒に行うリフォームの費用が加わります。資金計画を立てるときは、「工事費の差額」と「実際に用意するお金の総額」を分けて見積もりを確認しましょう。
「ついでのリフォーム」は助成の対象外
助成の対象になるのは耐震改修の部分だけです。同時にキッチンや浴室を直す場合は、見積書を耐震改修工事とリフォーム工事に分けて作る必要があります。「せっかくだから全部直そう」とすると、総額は大きく膨らみます。
工事費を抑える方法として、名古屋市は床や天井を壊さずに補強する「低コスト工法」や、精密診断法による設計を案内しています。精密診断法による設計には、設計費の助成も別にあります。使う場合は、設計の契約前に市への相談が必要です。
+ あわせて確認したい税金と証明書を見る
一般改修か、段階的改修の2段階目を終えた場合は、所得税の特別控除や固定資産税の減額を受けられる場合があります。完了実績報告書と一緒に申請書を出しておくと、確定通知に証明書が同封されます。詳しくは税務署・市税事務所にご確認ください。
また、売却や住宅ローンの場面で使われることがある「耐震基準適合証明書」は、名古屋市では発行していません。必要な場合は、建築士事務所などに別途依頼します。過去に耐震シェルター等の設置助成を受けた家では、改修の助成を全額受けられない場合がある点にも注意しましょう。
4. 直して住む?それとも売る?旧耐震の家の選び方
耐震改修の助成を調べている方の中には、「そもそもこの家にあと何年住むのか」がまだ決まっていない方もいらっしゃいます。旧耐震の木造住宅で取れる道は、大きく次の3つです。

+ 詳しい比較を見る
| 選択肢 | 何で比べるか | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 直して住む | 改修に用意する資金の総額、住まいの安全性、この先の修繕・維持費 | この先も長く住み続ける予定がある |
| 直して売る | 改修後の想定売却価格-改修の自己負担-売却の諸費用 | 建物を活かして住みたい買主が多い立地 |
| そのまま売る (仲介・買取) | 現状での売却価格-売却の諸費用(売却諸費用を引いた比較額) | 住み替えや相続などで、近いうちに手放す予定がある |
※スマートフォンでは、表を左右にスクロールできます。実際の手取り額は、住宅ローンの返済や税金なども含めて確認します。
「住み続ける」場合は、金額だけでは決められません。地震のときの安全性や、屋根・外壁・設備などのこの先の修繕費も含めて考えることが大切です。修繕・維持費まで含めた比べ方は、築古戸建ては売却かリノベーションか?で詳しく解説しています。
売る場合に気をつけたいのは、改修にかけた費用が、そのまま売却価格に上乗せされるとは限らないことです。名古屋市内の築古の戸建ては、買主が建て替えを前提に土地として評価することも少なくありません。この場合の考え方は、古屋を解体しない方がいい?でまとめています。一方で、建物を活かして住みたい買主が多いエリアや、耐震性の証明を求める買主に対しては、「耐震改修済み」が評価される場合もあります。
相続した実家を売る場合は、「相続空き家の3,000万円特別控除」との関係も確認しておきたいポイントです。この特例には、建物の耐震性や取り壊しに関する要件があり、改修する・解体する・そのまま売るのどれを選ぶかで、手元に残る金額が変わることがあります。特例の考え方は「空き家の3,000万円特別控除」の記事でまとめています。要件の判断は、税務署や税理士にご確認ください。
愛知中央不動産では、仲介で売る場合の査定価格と、当社がそのまま買い取る場合の価格の両方をお出ししています。旧耐震の家を、工事をせずに現状のまま売る方法も含めてご案内できます。
売却前に耐震診断を受けるべきかどうかは、不動産売却前の耐震診断は必要か?で詳しく解説しています。
5. よくあるご質問
Q. うちの家が昭和56年5月以前の着工か、どう調べればいいですか?
A. 建築確認通知書(確認済証)や、建てたときの請負契約書で確認できます。見つからない場合は、法務局で取得できる登記事項証明書の新築年月日も手がかりになります。ただし登記の日付は完成時期のため、昭和56年から57年ごろに完成した家は、着工日を別の書類で確認しましょう。
Q. 今から申し込んで、今年度の助成に間に合いますか?
A. 交付申請の受付は1月末までで、その年度の2月末までに完了報告できることが条件です。診断に約3か月かかり、その後に設計・事前協議・申請・工事が続くため、今年度に間に合うか、翌年度の申請を検討するかは、市と建築士へ早めに確認しましょう。
Q. 建築士に知り合いがいません。
A. 名古屋市は、耐震診断・耐震改修を行う業者の一覧や「あいち耐震改修ポータルサイト」を案内しています。一覧から選ばなければならないわけではありません。相談料や見積もりが有料かどうか、どの段階で費用が発生するかは、依頼の前に確認しておきましょう。
Q. 耐震改修をしないまま売ることはできますか?
A. できます。旧耐震の家を現状のまま売る、古家付きの土地として売る、不動産会社に買い取ってもらうなどの方法があります。どれが合うかは、立地や建物の状態、売りたい時期によって変わります。売るか決めていない段階でも、ご相談いただけます。
6. まとめ
この記事のまとめ
・名古屋市の木造住宅耐震改修助成は、工事費の5分の4以内で最大115万円(非課税世帯は165万円)
・対象は昭和56年5月以前着工の2階建て以下の木造住宅で、市の無料耐震診断の判定値が1.0未満の家
・交付決定の前に契約・着工すると助成は受けられない。完了報告は工事完了から30日以内など、2月末より早い期限もある
・手放す可能性があるなら、直して売る場合とそのまま売る場合の手取りを並べて比べる
まずは市の無料耐震診断で、ご自宅の判定値を知るところから。あわせて「今のまま売ったらいくらか」を知っておくと、直すか売るかの判断がぐっとしやすくなります。

直す前に、「今売ったらいくら」を確かめませんか
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愛知中央不動産では、仲介の査定価格と当社の買取価格の両方をお出しし、耐震改修の見積もりと比べながらご案内します。
まだ売却を決めていない段階でも、お気軽にご相談ください。
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第2回では、耐震改修が難しい家のための選択肢として、名古屋市の耐震シェルター・防災ベッドの設置助成と、耐震性のない木造住宅の取り壊し(除却)助成をまとめています。空き家全般の解体・活用の補助金は、第3回で扱います。
+ 住まいの補助金・助成金カタログ|名古屋市 シリーズ一覧を見る(全12回)
▶ 第1回 名古屋市の耐震改修補助金はいくら?木造住宅の助成額と申請の流れ、売却との比べ方(この記事)
・第2回 耐震改修が難しい家はどうする?名古屋市の耐震シェルター・除却助成と売却の選択肢
・第3回 名古屋市の空き家補助金は使える?解体・活用の助成額と、売るときの3,000万円控除
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・第5回 省エネリフォーム補助金は国と名古屋市で併用できる?窓・断熱改修の進め方(公開予定)
・第6回 子育て世帯が使える名古屋の住まいの補助金は?手すり設置や新生活支援と住み替えの考え方(公開予定)
・第7回 介護リフォームの補助金はいくら?介護保険の住宅改修と名古屋市の助成、住み替えとの比較(公開予定)
・第8回 ブロック塀の撤去に補助金は出る?名古屋市の助成と売却前に確認したいポイント(公開予定)
・第9回 セーフティネット住宅の補助金とは?名古屋市の大家さん向け改修費・家賃補助と出口戦略(公開予定)
・第10回 耐震・省エネリフォームの減税は?補助金と併用できる税制と売却時の3,000万円控除との関係(公開予定)
・第11回 名古屋近郊の住まいの補助金を比較!日進・長久手・尾張旭・大府など市町別に解説(公開予定)
・第12回 【名古屋市・2026年版】住まいの補助金・助成金まとめ|耐震・空き家・省エネ・子育て(公開予定)
本記事は名古屋市の公表資料をもとに、制度の概要を整理したものです。掲載している金額・要件・期限は2026年10月26日時点で確認できる令和8年度の情報であり、予算の状況や制度改正により変更される場合があります。工事費と助成の差額は計算を単純にした試算で、設計・工事監理などの費用や対象外のリフォーム費用は含みません。申請の可否や詳しい手続きは、名古屋市住宅都市局耐震化支援課(電話052-972-2921)にご確認ください。税金の特例については、税務署・税理士にご確認ください。
出典・参考:名古屋市「木造住宅耐震改修助成のご案内」・「木造住宅耐震改修助成リーフレット(令和8年度)」・「精密診断法による耐震改修設計助成」・「旧耐震基準の木造住宅無料耐震診断」
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