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【ご成約事例】安城市工場売却|安城市工場の売却情報

ご成約事例

塩見 俊和

筆者 塩見 俊和

宅地建物取引士  土地・事業用不動産を得意分野とし、相続案件や借地権など権利関係の複雑な物件にも数多く対応してまいりました。売買仲介にとどまらず、自社買取からリフォーム・リノベーションまで一貫してサポートできる体制が強みです。お客様一人ひとりのご事情に寄り添い、最善のご提案をお約束いたします。

愛知県安城市の工場用地について、ご売却のお手伝いをさせていただきました。
買主様は、この土地のすぐ近くに土地をお持ちの方です。当社が広く募集をかけた情報をご覧になり、購入をお決めになりました。

事業用地の売買では、こうした「近隣の方が買主になる」ケースが少なくありません。ただ、これを「近所の人が買うなら広告は要らなかった」と読むのは、まったくの逆です。広く募集したからこそ、近所の方に届いたというのが実際に起きたことでした。
今回はその理由と、工場用地を売るときに必ず押さえておきたい実務を整理します。

なぜ隣接地の所有者が、いちばん高く買えるのか

工場用地に限らず、土地には「その人が買うからこそ成り立つ値段」が存在します。これは感覚的な話ではなく、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準に明記された考え方です。

正常価格と限定価格

種類意味言い換えると
正常価格合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格誰が買っても妥当な値段
限定価格併合や分割により市場が相対的に限定される場合の、その市場限定に基づく価格その人が買うからこそ成り立つ値段

そして不動産鑑定評価基準は、限定価格を求める場合の例として3つを挙げており、そのひとつが「隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合」です。隣の土地を買うという行為は、国の基準が正面から想定している類型だということです。

なぜそうなるのか。一般的な考え方としては、次のような理由が挙げられます。

併合による変化買主にとっての意味
敷地が一体になる建物の配置、車両の動線、生産ラインを連続して設計できる
間口・接道が改善する大型車両の出入りがしやすくなる
建ぺい率・容積率の枠が増える建てられる床面積が増える
移転しなくて済む操業を止めずに拡張できる。設備の移設費用がかからない

最後の項目が、事業者にとってはとりわけ大きい要素です。工場を別の場所へ移すとなれば、土地の取得だけでなく、設備の移設、従業員の通勤、取引先との距離、許認可の取り直しまで影響が及びます。隣が買えるなら、それらがすべて不要になります
だからこそ隣接地の所有者は、他の買主が出せない金額を出せる場合があるのです。

事業用地・工場用地のご売却、いくらで売れるかお伝えします

安城市をはじめ、名古屋市・西三河エリアの土地の売却をお手伝いしています。査定だけのご依頼、売却をまだ決めていない段階でのご相談も承ります。

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それでも、広く募集しなければ届きませんでした

ここが今回いちばんお伝えしたい点です。

「隣の人が買うなら、隣に声をかければいい」と思われるかもしれません。実際、隣接地の所有者にだけ打診して終わる、という売り方も世の中にはあります。
しかしこの方法には、売主様にとって大きな不利があります。

限られた相手にしか声をかけないと、何が起きるか

隣接地にだけ打診広く募集する
買主候補の数1〜2件制限なし
価格の決まり方相手の言い値に近づく複数の関心が価格を支える
断られたとき次の手がない他の候補で進められる
売主が得る情報その相手の評価だけ市場全体がどう見ているか

今回の買主様は、この土地の近くに土地をお持ちの方でした。つまり「隣に声をかける」という発想の範囲には、必ずしも入らなかった方です。
そして重要なのは、その方は当社の募集情報をご覧になって、はじめて購入を検討されたということです。もともと「あの土地を買いたい」と考えて動いていたわけではありません。

近隣にお住まいの方や、近くで事業をされている方は、その土地の状況をよくご存じです。何十年もそこを通り、どんな使われ方をしてきたかを見ています。だから情報が目に触れさえすれば、判断が早い
逆に言えば、情報が目に触れなければ、どれだけ条件の合う相手でも動きようがありません。今回、購入に踏み切っていただけたのは、広く募集した情報がその方の目に届いたからです。

近隣の方が買主になる可能性が高いからこそ、募集は広く行う。これは矛盾しているようで、事業用地の売却では理にかなった進め方です。

安城市の工場用地は、今どういう状況にあるか

今回のご売却がスムーズに進んだ背景には、安城市という土地の事情もあります。

製造業の街としての実力

位置名古屋市の南東約30km、西三河地方の中央
製造品出荷額等1兆9,204億円(令和3年 経済センサス‐活動調査)/愛知県内第3位
市内総生産に占める製造業約65%(令和2年度)
業種構成輸送機械が出荷額の60.8%、電気機械が18.7%
工業系用途地域工業336ha/工業専用220ha/準工業107ha(令和8年7月時点)

数字だけ見ても、市内総生産の3分の2が製造業という街です。輸送機械と電気機械で出荷額の約8割を占めており、自動車産業の集積と直結した産業構造になっています。

市が「工業用地が足りない」と公表しています

安城市が令和6年4月に策定した企業立地推進計画では、市の課題としてはっきりこう挙げられています。

企業の立地ニーズに対応できる工業用地が不足している

同計画によれば、1ha以上の用地を求めている企業が25社、5年以内の取得を希望する企業が54社あります。市域の約75%が市街化調整区域で、新たな工業用地を生み出すには時間がかかります。
つまり既存の工業用地に対する需要が、供給を上回っている状態です。売主様にとっては有利な環境だといえます。

名豊道路が全線開通しました

物流の条件も変わりました。国道23号の名豊道路(名古屋市〜豊橋市、延長72.7km)が、2025年3月8日に全線開通しています。事業化から約半世紀を経ての完成でした。

安城市内には高棚北・高棚福釜・和泉・安城西尾・藤井の5つのインターチェンジがあります。市内を通る知立バイパス区間は平成24年度にすでに4車線で供用されており、開通後は並行する国道1号・247号の交通量が最大約20%減少したことが国土交通省中部地方整備局から報告されています。
なお全線が4車線化されたわけではなく、蒲郡バイパスなど暫定2車線の区間も残ります。

工場用地の売買で、いちばん事故が起きやすいのは「土壌」です

ここからは実務の話です。工場用地の売買が住宅の売買と決定的に違うのが、土壌汚染対策法への対応です。ここを知らずに進めると、契約後に想定外の費用が発生します。

法3条:施設を廃止したときに調査義務が生じます

水質汚濁防止法上の有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき、その敷地であった土地の所有者等は、指定調査機関に土壌汚染状況調査をさせ、結果を知事に報告しなければなりません。

ただし、引き続き工場・事業場の敷地として利用され、人の立入りがないなど一定の場合は、知事の確認を受けて調査が一時的に免除されます。長く操業してきた工場では、この免除を受けたまま何十年も経過しているケースがあります。

問題はここからです。免除はあくまで一時的なもので、免除確認を受けた土地で900㎡以上の土地の形質変更をしようとするときは知事への届出が必要となり、知事は調査と報告を命じます。
つまり売却して買主が造成や建替えを始めた段階で、調査義務が表に出てくるということです。「今まで調べなくてよかったから大丈夫」は成り立ちません。

法4条:形質変更の届出が必要な面積は2段階です

土地の区分届出が必要な形質変更の面積
通常の土地3,000㎡以上
現に有害物質使用特定施設が設置されている工場・事業場の敷地900㎡以上
使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る敷地(調査未了)900㎡以上

届出は着手日の30日前までに都道府県知事へ行います。「3,000㎡以上」とだけ覚えていると危険で、工場跡地では900㎡という基準が効いてきます。

2つの区域指定の違い

項目要措置区域形質変更時要届出区域
指定される場合基準不適合+人が摂取する経路がある基準不適合だが摂取経路がない
汚染除去等の措置必要(知事の指示)不要
土地の形質変更原則禁止事前届出をすれば可能

区域指定を受けると土地の評価は大きく下がります。しかも指定情報は都道府県が台帳で公開しているため、隠すことはできません。
売却を検討される段階で、まず過去にどんな施設があったか(地歴)と、水質汚濁防止法の特定施設の届出があるかを確認することをおすすめします。当社でご相談いただければ、この確認から着手します。

なお今回のように買主様が近隣の方である場合、この論点はむしろ話がまとまりやすい方向に働きます。その土地が長年どう使われてきたかをご存じなので、リスクの見立てが具体的になり、条件の折り合いがつきやすいためです。

売る前に確かめておきたい5つのこと

確認項目見るポイント
用途地域工業専用地域は住宅・店舗・学校・病院・ホテルが建てられない。買主が事業者に限られる
接道と道路種別建築基準法上の道路か。幅員、隅切り、重量制限。大型車両が実際に入れるか
登記地目と現況登記が「田・畑」のままなら、過去の転用手続が未了の可能性
農地が絡むか市街化調整区域では農地法5条の許可が必要。安城市は愛知県知事の許可
既存不適格現状のまま使えても、建替え・増築時は現行基準への適合が求められる

用途地域は、安城市の地図情報システム「あんじょうマップ」(//www2.wagmap.jp/anjo/)でどなたでも確認できます。従来の都市計画情報サービスは令和8年3月31日で終了し、現在はこちらに一本化されています。

農地が絡む場合は要注意です。安城市は農地転用の指定市町村ではないため、市街化調整区域の農地転用は愛知県知事の許可が必要になります。さらに農用地区域内の農地であれば、農振除外の手続から始めることになり、数年単位の期間を要することもあります。売却をお考えなら、早めにご相談いただくほど選択肢が残ります。

もうひとつ、安城市には工場立地法の市独自の地域準則があります。工業専用地域内では緑地面積率5%以上・環境施設面積率10%以上とされており、国の基準(緑地20%以上・環境施設25%以上)より大幅に緩和されています。敷地を有効に使えるということで、買主にとっては価値になる要素です。

工場・倉庫の跡地、遊休地のご相談も承ります

操業を終えた工場の敷地、使っていない資材置場、相続で引き継いだ事業用地。売れるのか、いくらになるのかをお調べします。

土地の売却を相談する

税金:買い換えるなら課税を繰り延べられる場合があります

事業用の土地を売って、別の事業用資産を買う予定がある場合、特定の事業用資産の買換えの特例(租税特別措置法37条)が使える可能性があります。

制度の性格非課税ではなく、課税の繰延べ。買換資産の取得価額を引き継ぐ
繰延割合原則80%(移転の方向により60〜90%となる場合がある)
譲渡資産の要件譲渡した年の1月1日現在で所有期間10年超の国内の土地等・建物・構築物
買換資産の要件土地等は面積300㎡以上。譲渡した土地面積の5倍以内
取得の時期譲渡年の前年・当年・翌年中に取得し、取得日から1年以内に事業の用に供する

売主が個人事業主か法人かで、根拠となる条文も課税の仕組みも変わります。

個人(個人事業主)法人
根拠条文租税特別措置法37条租税特別措置法65条の7(圧縮記帳)
課税方式譲渡所得として分離課税他の損益と通算して法人税
期間の区切り暦年(1月1日〜12月31日)事業年度
所有期間の判定譲渡年の1月1日現在譲渡日

この特例には適用期限が定められており、これまで延長が重ねられています。また要件の見直しが行われることもあります。適用をお考えの場合は、必ず最新の期限と要件を国税庁の情報でご確認いただくか、顧問の税理士にご相談ください。
なお消費税については、土地の譲渡は非課税、建物の譲渡は課税です。建物付きで売る場合は、土地と建物の価格をどう配分するかで消費税額が変わります。

今回のご売却を振り返って

結果だけを見れば「近所の方が買った」という一文で終わる取引です。しかし、そこに至るまでの過程には意味がありました。

広く募集をかけたから、想定していなかった相手に情報が届きました。複数の目に触れる状態をつくったから、価格の妥当性を売主様にご説明できました。そして買主様は近隣にお住まいで土地の事情をご存じだったため、検討から決断までが早く進みました

事業用地の売却では、「もう買い手の目星はついているから」と募集を絞ってしまう方がいらっしゃいます。気持ちは分かりますが、それは売主様が自分の土地の価値を知る機会を、自ら手放していることでもあります。
まず広く出す。反応を見て判断する。結果として近くの方に決まるなら、それがいちばん納得のいく形です。

当社は名古屋市を中心に、西三河エリアの事業用地・工場用地の売買も扱っています。売却をまだ決めていない段階でのご相談も歓迎します。今売ったらいくらか、何を準備しておくべきかをお伝えするところから始めさせてください。

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※お客様のご意向により、物件の所在地の詳細は掲載しておりません。※統計数値は出典の年次・調査名を明記しています。工業統計調査から経済センサス‐活動調査へ調査が変わっているため、年次をまたぐ単純比較はできません。※法令・税制に関する記載は2026年9月時点の一般的な内容です。個別の取引における適用の可否は、必ず最新の情報および所管官庁・税理士にご確認ください。※安城市の工場立地法に関する地域準則は工業専用地域内についての記載です。詳細は安城市にご確認ください。

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