
【ご成約事例】天白区一棟収益マンションの売却および購入
名古屋市内の収益マンションについて、法人のお客様からご売却のご依頼をいただきました。
資産整理にともなうご売却で、売り出しからおよそ1か月でご成約。買主様は個人の投資家の方で、購入を決めた最大の理由は「建物の管理状態が良かったこと」でした。
収益物件は、住むための物件とは売れ方が違います。買主様が見ているのは間取りや内装ではなく、その建物が今後何年、いくら稼ぎ続けられるかという一点です。そして、その予測をいちばん左右するのが建物の管理状態です。
今回はなぜ1か月で決まったのか、収益物件の価格はどう決まるのか、そして売主が法人の場合に個人と何が違うのかを、実務の視点で整理します。
1か月で決まった理由は「価格」ではありませんでした
短期間で成約すると「安く売ったのでは」と思われがちですが、今回はそうではありません。価格は相場の範囲で設定しています。
早く決まった理由は、買主様が調べるべきことが、最初からすべて揃っていたからです。
収益物件を検討する投資家の方は、物件を見てから購入を決めるまでに、いくつもの確認作業をします。修繕の履歴はどうか、積立金は足りているか、入居者の入れ替わりは激しくないか、家賃の滞納はないか。これらが不明なままだと、判断そのものができません。
判断できない物件は、価格を下げても売れません。逆に、判断材料が揃っている物件は、検討期間そのものが短くなります。今回はこれが起きました。
収益物件の売却で、期間を左右する3つの要素
| 要素 | 買主様が知りたいこと | 揃っていないとどうなるか |
|---|---|---|
| 建物の管理状態 | この先いくら修繕費がかかるのか | 最悪を想定して指値が入る |
| 賃貸の状況 | 今の家賃が続くのか、空室リスクはどうか | 収支の計算ができず検討が止まる |
| 収支の資料 | 手元にいくら残るのか | 金融機関に持ち込めず融資が進まない |
この3つのうち、売主側の準備でいちばん差が出るのが管理状態です。日々の管理は一朝一夕には変えられませんが、「良い管理をしてきたこと」を資料で示せるかどうかは、売却の段階で大きく効いてきます。
収益物件のご売却、いくらで・どのくらいで売れるかをお伝えします
法人様の資産整理、相続にともなう整理、区分1戸から1棟まで。査定だけのご依頼、売却をまだ決めていない段階でのご相談も承ります。
収益物件の値段は、どうやって決まるのか
住むための中古マンションは、同じ建物や近隣の成約事例と比べて価格を決めるのが基本です。ところが収益物件では、まったく別の考え方を使います。その物件が生み出す収益から、逆算して価格を出すという方法です。
直接還元法という計算
国土交通省が定める不動産鑑定評価基準には、収益還元法という手法が定められています。そのうち、実務でもっともよく使われるのが直接還元法です。計算はいたってシンプルです。
| 計算式 | 収益価格 = 一期間の純収益 ÷ 還元利回り |
|---|---|
| 純収益(NOI) | 総賃料収入から、管理運営にかかる費用(固定資産税・修繕費など)を差し引いた金額 |
| 還元利回り | そのエリア・その築年数の物件に、投資家が求める利回り |
たとえば年間の純収益が300万円で、還元利回りを6%とすると、300万円 ÷ 0.06 = 5,000万円が収益価格になります。
ここで重要なのは、還元利回りが少し動くだけで価格が大きく変わるという点です。同じ純収益300万円でも、利回りを7%で見られると4,285万円、5%で見てもらえれば6,000万円。その差は1,700万円以上になります。
では、この還元利回りは何で決まるのか。買主様が感じるリスクの大きさです。将来の修繕費が読めない、入居者が抜けそう、管理が行き届いていない。そうした不安があるほど、買主様は高い利回りを要求します。つまり価格は下がります。
管理状態が価格に直結する、というのはこういう意味です。
表面利回りとNOI利回りは別物です
広告に出ている利回りは、ほとんどが表面利回りです。日本FP協会の解説によれば、表面利回りの計算には取得費用や運営管理費は含まれません。
| 種類 | 計算式 | 何がわかるか |
|---|---|---|
| 表面利回り | 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100 | 物件同士をざっくり比べるための目安 |
| NOI利回り | (年間家賃収入 − 運営管理費)÷ 物件価格 × 100 | 実際に手元に残る収益に近い数字 |
運営管理費には、管理委託費、修繕費、固定資産税・都市計画税、損害保険料などが含まれます。表面利回り8%の物件が、NOIで見ると5%台まで下がることは珍しくありません。
なお日本FP協会も指摘しているとおり、NOI利回りは運営管理費の定義が厳密ではないため、誰がどこまで費用に含めたかによって数字が変わります。他社の資料と比べるときは、内訳まで確認することをおすすめします。
買主様は「管理状態」を、こうやって確かめています
今回の買主様が決め手に挙げたのが、この管理状態でした。感覚的な印象ではなく、資料で確認できる項目があります。
長期修繕計画は「30年以上・大規模修繕2回以上」が基準
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)は、計画期間について次のように定めています。
| 計画期間 | 30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上 |
|---|---|
| 見直しの周期 | 一定期間(5年程度)ごとに見直していくことを前提とする |
見るべきは、計画があるかどうかではありません。いつ作られ、いつ見直されたかです。10年前に作ったまま更新されていない計画は、今の工事費の水準を反映していません。近年は建築資材と人件費が大きく上がっており、古い計画のままだと、実際の工事のときに積立金が足りなくなります。
確認しておきたい書類
| 書類 | 見るポイント |
|---|---|
| 長期修繕計画書 | 作成日・直近の見直し日。期間が30年以上あるか |
| 修繕積立金の残高 | 計画上の予定額に対して、実際にいくら貯まっているか |
| 大規模修繕の履歴 | 外壁・屋上防水・給排水管を、いつ実施したか |
| 管理費・積立金の滞納状況 | 滞納があると、その分だけ将来の工事原資が不足する |
| 管理委託契約書 | どこまでを管理会社に任せているか。自主管理か委託か |
| 総会議事録 | 値上げの議論、工事の先送り、住民間の対立が読み取れる |
このうち投資家の方が特に重視するのが、給排水管の更新履歴です。外壁や屋上防水は見た目で劣化がわかりますが、配管は壁の中にあって見えません。更新されていない建物で漏水が起きると、専有部分の内装まで巻き込んだ大きな出費になります。
管理を客観的に示す2つの制度
区分所有のマンションには、管理状態を第三者が評価する制度が2つあります。名前が似ていますが、主体も内容もまったく違う制度です。
| 項目 | マンション管理計画認定制度 | マンション管理適正評価制度 |
|---|---|---|
| 実施主体 | 地方公共団体(自治体) | 一般社団法人 マンション管理業協会 |
| 根拠 | マンション管理適正化法 | 業界団体の任意制度 |
| 性格 | 基準を満たすかの認定(合否) | 100点満点で採点し★6段階で表示 |
| 有効期間 | 5年(5年ごとに更新申請) | 1年(毎年更新) |
| 開始 | 令和4年度 | 2022年4月 |
認定制度は自治体による行政の認定で、長期修繕計画の期間が30年以上あること、修繕積立金が著しく低額でないこと、滞納に適切に対応していることなど、複数の基準を満たす必要があります。
一方の適正評価制度は業界団体による採点で、管理体制20点・建築設備20点・管理組合収支40点・耐震診断関係10点・生活関連10点の全30項目で評価されます。収支の配点がもっとも大きいのが特徴です。
どちらも任意の制度なので、登録していないから管理が悪い、という話ではありません。ただし登録があれば、買主様は自分で調べる手間が省けます。それが検討期間の短縮につながります。
2026年4月から、重要事項説明に項目が加わりました
宅地建物取引業法施行規則の改正により、令和8年(2026年)4月1日から、区分所有建物の売買・交換の重要事項説明において、「管理業者管理者方式」がとられているときはその旨を説明することが宅建業者に義務付けられました。
管理業者管理者方式とは、管理会社が管理者を兼任している運営形態のことです。管理組合の理事のなり手不足を背景に増えている方式で、専門家が管理者を務めるため運営が安定しやすい一方、管理会社の提案をチェックする立場の人が管理会社自身になるという構造上の論点があります。
これまでは意識して尋ねないとわからなかった情報が、制度として開示されるようになりました。区分の収益物件を検討される際は、重要事項説明でこの項目を確認してください。
売主が法人だと、税金が個人とまったく違います
今回は売主様が法人でした。個人が不動産を売る場合と、法人が売る場合とでは、税金の仕組みが根本から異なります。資産整理を検討されている法人のお客様に、特に知っておいていただきたい点です。
法人には「5年の壁」がありません
個人が不動産を売却した場合、譲渡所得は他の所得と分けて計算する分離課税となり、売った年の1月1日時点での所有期間によって税率が2段階に分かれます。
| 売主 | 課税の方式 | 所有期間による違い | 税率 |
|---|---|---|---|
| 個人(所有5年以下) | 分離課税 | 短期譲渡所得 | 合計39.63% |
| 個人(所有5年超) | 分離課税 | 長期譲渡所得 | 合計20.315% |
| 法人 | 他の損益と通算 | 区別なし | 法人税率による |
法人税法22条は、各事業年度の所得を「益金の額から損金の額を控除した金額」と定めています。不動産の売却益も、この益金の一部です。つまり売却益だけを取り出して課税されるのではなく、その事業年度の他の損益と合算されるということです。
これが法人ならではの選択肢を生みます。売却益が出る年に、他の部門で損失が出ていれば相殺できます。青色欠損金の繰越控除期間は10年ですから、過去の赤字を使える場合もあります。
個人のように「あと数か月待って5年を超えてから売る」といった判断は不要ですが、代わりにどの事業年度に売却益を計上するかが検討事項になります。決算期をまたぐかどうかで、納税額が変わり得るということです。
なお、法人の土地譲渡益には租税特別措置法62条の3・63条による追加課税(土地重課)の制度がありますが、この制度は平成10年1月1日から令和11年3月31日まで適用が停止されています。停止期限は令和8年度税制改正で3年延長されました。
法人が売主だと、建物に消費税がかかります
見落とされやすいのがこちらです。不動産の売買における消費税は、土地と建物で扱いが分かれます。
| 土地の譲渡 | 非課税(借地権等を含む) |
|---|---|
| 建物の譲渡 | 課税(税率10%) |
そして国税庁は、「法人はすべて事業者になります」と明示しています。したがって法人が事業用建物を売却すれば、建物部分は消費税の課税対象です。
一方、個人が売主で、その不動産が事業用でない場合は、事業として行う取引にあたらないため消費税はかかりません。ただし個人であっても不動産賃貸業を営む課税事業者が事業用建物を売る場合は課税対象です。「個人だから常に非課税」ではない点にご注意ください。
今回のように買主様が個人の投資家である場合、この消費税は買主様にとって実質的な負担になります。仕入税額控除は消費税の申告納付を行う課税事業者の制度なので、免税事業者や事業者でない個人は控除ができないためです。
売買代金のうち土地と建物をいくらに配分するかによって消費税額が変わるため、消費税法基本通達10-1-5は「それぞれの資産の譲渡の対価について合理的に区分しなければならない」と定めています。契約前に必ず確認すべき項目です。
さらに買主様が課税事業者であっても、令和2年度の税制改正により、居住用賃貸建物(税抜1,000万円以上の高額特定資産に該当する建物等)の取得にかかる消費税は、原則として仕入税額控除の対象外となりました。令和2年10月1日以後の課税仕入れから適用されています。
つまり、居住用の収益物件では買主様がどなたであっても、建物の消費税は基本的に取り戻せないものとして資金計画を立てる必要があります。
法人様の資産整理、税理士の先生と連携して進めます
売却時期のご相談、土地建物の価格配分、決算期との関係。税務のご判断は顧問の先生と、不動産の実務は当社が担当し、両輪で進めます。
入居者がいるまま売る「オーナーチェンジ」の実務
収益物件の売買は、入居者が住んだままの状態で所有者だけが変わります。この場合、賃貸借契約はどうなるのか。令和2年4月1日に施行された改正民法に、明確な条文があります。
民法605条の2が定めていること
| 条項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項 | 賃借人が対抗要件(建物の引渡し等)を備えている場合、不動産が譲渡されると賃貸人たる地位は譲受人に移転する |
| 第2項 | 譲渡人・譲受人の合意により、賃貸人の地位を売主に留保することもできる(サブリース型) |
| 第3項 | 賃貸人たる地位の移転は、所有権移転登記をしなければ賃借人に対抗できない |
| 第4項 | 敷金の返還債務および費用の償還債務は、譲受人が承継する |
実務上、特に大切なのは第3項と第4項です。
第3項は、登記を経なければ買主様は賃借人に対して賃料を請求できないことを意味します。決済と登記申請は同日に行うのが原則ですが、その理由のひとつがここにあります。
第4項は、退去時の敷金返還義務が新しい所有者に移ることを定めています。そのため実務では、売買代金から敷金相当額を差し引いて引き継ぐのが一般的です。売主様が預かっている敷金を、そのまま買主様に渡す形になります。
引渡し時に精算するもの
| 項目 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 敷金 | 買主に承継。代金から控除するのが一般的 | 民法605条の2第4項(法律上の承継) |
| 賃料 | 引渡日を基準に日割で按分 | 売買契約の特約(商慣行) |
| 固定資産税・都市計画税 | 引渡日以降分を買主が売主に支払う | 売買契約の特約(商慣行) |
ここで誤解されやすいのが固定資産税です。地方税法上、その年度の納税義務者は賦課期日である1月1日現在の所有者であり、年の途中で売却しても納税義務者は売主のまま変わりません。
つまり日割精算は法律上の義務ではなく、売買契約の特約による商慣行です。金額そのものより、起算日をいつにするかで差が出ることがあるため、契約書の記載を必ずご確認ください。
築年数と融資の関係について
収益物件の売却では、買主様が融資を受けられるかどうかが成否を分けます。買える人が限られる物件は、当然売れにくくなります。
金融機関が融資期間を判断する際の材料のひとつが、建物の法定耐用年数です。国税庁の耐用年数表では、主な構造は次のとおりです。
| 構造 | 用途 | 法定耐用年数 |
|---|---|---|
| 鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC) | 住宅用 | 47年 |
| 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 事務所用 | 50年 |
| 金属造(骨格材の肉厚4mm超) | 店舗用・住宅用 | 34年 |
| 木造・合成樹脂造 | 店舗用・住宅用 | 22年 |
ただし、「法定耐用年数から築年数を引いた年数が融資期間の上限」といった公的な基準は存在しません。これは金融機関ごとの内規です。
実際、金融庁が投資用不動産向け融資について行った調査でも、「融資期間を物件の法定耐用年数以内に設定しているか」という設問に対し、「必ず行っている」と答えたのは銀行で6%、信用金庫・信用組合で12%にとどまっていました。同じ物件でも、金融機関によって判断が分かれるということです。
だからこそ、どこに持ち込むかが実務では重要になります。当社は名古屋市内での取引を重ねるなかで、収益物件に前向きな金融機関との接点を持っています。売却をご依頼いただいた際は、買主様が資金計画を立てやすいよう、必要な資料の準備からお手伝いします。
今回のご売却を振り返って
売り出しから1か月というのは、収益物件としては早い部類に入ります。ただ、これは営業努力だけで生まれた結果ではありません。
売主様が長年きちんと管理をされてきたこと。修繕の履歴が資料として残っていたこと。賃貸の状況が整理されていたこと。売却を決める前の日々の積み重ねが、そのまま売却期間の短さになったというのが実際のところです。
収益物件をお持ちで、いずれ売却も、とお考えの法人様・個人オーナー様にお伝えしたいのは、売る予定がない今のうちから資料を整えておくことに意味があるということです。長期修繕計画の見直し時期、大規模修繕の記録、賃貸借契約書と敷金の一覧。これらが揃っているだけで、いざというときの選択肢が広がります。
当社では、売却をまだ決めていない段階でのご相談も承っています。今売ったらいくらか、何を準備しておけば有利になるか。判断の材料をお渡しするところから始めさせてください。
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収益物件のご売却、法人様の資産整理も承ります
当社は名古屋市を中心に、中古マンション・戸建て・土地・収益物件の売買を扱っています。法人様の資産整理にともなうご売却、相続によって引き継がれた賃貸物件のご相談も数多くお受けしています。
いくらで、どのくらいの期間で売れる見込みかを、根拠とあわせてお伝えします。売却をまだ決めていない段階でのご相談も歓迎します。
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※お客様のご意向により、物件名および所在地の詳細は掲載しておりません。※本記事の税制・法令に関する記載は2026年9月時点の一般的な内容です。個別の取引における課税関係や適用の可否は、必ず最新の情報および税理士・税務署にご確認ください。※融資の条件は金融機関ごとに異なります。※利回りの計算例は説明のための仮の数値であり、実際の物件の数値ではありません。
