
年内に家を売るなら秋から準備|不動産査定から売却・引渡しまでの流れと費用
季節の暮らしシリーズ|秋 第4回(最終回)
年内に家を売るなら秋から準備
──査定から売却までの流れを解説
「12月までに売りたい」と11月に相談をいただくことがあります。 ただ、売却は査定から引渡しまで3〜6か月かかるのが一般的です。 年内を目指すなら、動き出すのは秋がちょうどいいタイミングになります。
愛知中央不動産|住まいと暮らしのコラム
売却を考え始めたら、まずやる5つ
- 住宅ローンの残債を確認する(金融機関の残高証明・返済予定表)
- 権利証(登記識別情報)や購入時の資料を探しておく
- 近隣の売出事例を、不動産ポータルで見てみる
- 複数社に査定を依頼して、根拠を聞き比べる
- 「いつまでに」「いくら以上で」を家族で話しておく
特にローン残債の確認は最初にやってください。 売却価格が残債を下回ると、手続きの進め方が変わってきます。
売却は、どんな流れで進むの?
まず全体像から。売却は大きく6つのステップに分かれます。
売却の流れと期間(数値で見る)
| ステップ | 期間の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ① 査定 | 1〜2週間 | 机上査定・訪問査定。複数社に依頼するのが一般的 |
| ② 媒介契約 | 数日 | 一般・専任・専属専任のいずれかを選んで契約 |
| ③ 販売準備 | 1〜2週間 | 写真撮影、図面作成、資料の取り寄せ |
| ④ 販売活動・内見 | 1〜3か月 | ポータル掲載、内見対応、価格の見直し |
| ⑤ 売買契約 | 1日 | 購入申込みを受けて条件を調整し、契約 |
| ⑥ 決済・引渡し | 1〜1.5か月 | 買主の住宅ローン本審査、残金決済、鍵の引渡し |
出典:一般的な進み方の目安です。物件の種類・価格・立地・時期・買主の資金計画などによって、期間は大きく前後します。

① 査定(1〜2週間)
いくらで売れそうかを見積もる段階です。 資料だけで概算を出す机上査定と、実際に建物を見る訪問査定があります。 複数社に依頼して、金額そのものより「その根拠」を聞き比べてください。
② 媒介契約(数日)
売却を依頼する会社と結ぶ契約です。3種類あり、あとで詳しく説明します。
③ 販売準備(1〜2週間)
写真撮影、間取図の作成、必要書類の取り寄せ。 ここで手を抜くと、その後の反響が変わります。特に写真は重要です。
④ 販売活動・内見(1〜3か月)
不動産ポータルへの掲載、レインズへの登録、内見の対応。 売却期間のなかで、いちばん読めない部分です。 反響が少なければ、価格や見せ方を見直します。
⑤ 売買契約(1日)
購入申込みを受け、価格・引渡し時期・条件を調整します。 買主への重要事項説明などを経て売買契約を締結し、通常はこのとき手付金を受け取ります。
⑥ 決済・引渡し(1〜1.5か月)
契約から引渡しまでは1か月前後あけるケースが多く、 買主が住宅ローンを利用する場合は、本審査や融資実行のための期間が必要です。 現金購入などでは、より短期間で引き渡すケースもあります。 決済日に残代金を受け取り、鍵と権利を引き渡します。
つまり売主としては? 自分でコントロールできるのは①〜③をどれだけ早く、丁寧に進められるかです。 ④以降は買主あってのことなので、思いどおりにはいきません。 だからこそ、準備段階を前倒しすることが期間短縮につながります。
なぜ「年内に売る」なら秋から動くの?
逆算すると分かります。12月に引渡しを終えるには、 そこから1か月前には売買契約、さらにその前に1〜3か月の販売活動が必要です。 準備期間も入れると、夏から秋には動き出しておきたいことになります。
+ 年内引渡しから逆算したスケジュールを見る
逆算スケジュール例(数値で見る)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 8〜9月 | 残債の確認、資料集め、査定の依頼、会社選び |
| 9月 | 媒介契約、写真撮影・資料作成、販売開始 |
| 9〜11月 | 販売活動・内見対応。反響を見て価格を調整 |
| 10〜11月 | 購入申込み・売買契約 |
| 12月 | 買主の住宅ローン本審査、残金決済・引渡し |
出典:あくまで一例です。買主がすぐに見つかる場合も、時間がかかる場合もあります。
つまり? 「年内に売りたい」と11月に相談された場合、 間に合う可能性はありますが、価格を市場に合わせて強気にしにくくなるのが実際のところです。 時間に余裕があるほど、条件面で無理をせずに済みます。
年内の引渡しにこだわる理由がある場合
「今年中に売って、譲渡所得の申告を来年にまとめたい」 「買い替え先の入居時期に合わせたい」「相続の関係で年内に整理したい」—— 期限に理由がある場合は、早めにお伝えください。 逆算して、どこまでなら間に合うかを一緒に検討します。
なお、譲渡所得の確定申告は、原則として不動産を譲渡した年の翌年に行います。 譲渡日は通常、引渡し日を基準としますが、契約日を基準に申告できる場合もあります。 年をまたぐ売買では税務上の取扱いが変わる可能性があるため、 税務署または税理士へご確認ください。
査定額は「売れる値段」ではありません
ここは誤解が多いところです。査定額・売出価格・成約価格は、それぞれ別のものです。
- 査定額──「3か月程度で売れると想定される価格」として算出される、会社の見立てです
- 売出価格──実際に広告に出す価格。売主が決めます。査定額どおりにする必要はありません
- 成約価格──買主と合意した最終価格。売出価格から調整が入ることもあります
査定額が高い会社を選びたくなりますが、 高い査定額は「高く売れる保証」ではありません。 売出価格が相場から離れていると反響が集まらず、結果的に値下げを重ねて、 かえって時間と金額の両方を失うことがあります。

つまり会社選びでは? 金額の大小ではなく、「なぜその金額なのか」を説明できるかで選んでください。 近隣の成約事例、現在売り出し中の競合、建物の状態—— 根拠を具体的に示せる会社は、その後の販売活動も丁寧です。
+ 中部圏・愛知県の直近の市場データを見る
2026年6月度の成約状況(数値で見る)
| 区分 | 成約件数 | 成約価格 |
|---|---|---|
| 愛知県・中古マンション | 477件 | 2,573万円 |
| 中部圏・中古マンション | 626件 | 2,526万円 |
| 中部圏・中古戸建住宅 | 663件 | 2,243万円 |
出典:公益社団法人中部圏不動産流通機構「月例速報マーケットウォッチ 2026年6月度」。市場は時期によって動きます。最新の状況はお問い合わせください。
媒介契約は3種類。どれを選ぶ?
売却を依頼するときに結ぶ契約です。それぞれ特徴があります。
媒介契約3種類のちがい
| 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 | |
|---|---|---|---|
| 複数社に依頼 | できる | できない | できない |
| 自分で買主を見つける | できる | できる | できない(不可) |
| レインズへの登録義務 | 任意 | 7日以内※ | 5日以内※ |
| 業務報告の頻度 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 契約期間 | 法令上の制限なし (行政指導で3か月以内) | 3か月以内 | 3か月以内 |
※レインズへの登録期間の計算には、宅地建物取引業者の休業日は算入されません。
- 一般媒介──複数社に同時に依頼できます。人気エリア・好条件の物件では選択肢になります。ただし各社の力の入れ方が分散することもあります
- 専任媒介──1社に任せつつ、自分で買主を見つけることもできます。報告義務があるため、進捗が把握しやすい形です
- 専属専任媒介──1社に完全に任せる形。報告頻度がもっとも高く、レインズ登録も5日以内と早くなります

どれが良いかは、物件の条件と売主のご希望によります。 迷われる場合は、それぞれのメリットとデメリットをご説明したうえでお決めいただいています。
ここまでのポイント
- 売却は査定から引渡しまで3〜6か月が目安
- 年内引渡しを目指すなら、夏から秋には動き出したい
- 査定額の大小ではなく、根拠を説明できるかで会社を選ぶ
売却にかかるお金は?
売却では、受け取るお金だけでなく出ていくお金もあります。 代表的なものを、売却価格3,000万円の場合で見てみます。
売却にかかる費用(数値で見る)
| 費目 | 3,000万円の場合 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料(上限) | 105.6万円 | (売買価格×3%+6万円)×消費税10%。400万円超の場合 |
| 印紙税 | 1万円 | 1,000万円超5,000万円以下・軽減措置適用時(令和9年3月31日まで) |
| 抵当権抹消 | 約2万円 | 登録免許税(不動産1個につき1,000円)+司法書士報酬の目安 |
| その他 | 物件により変動 | 測量、解体、ハウスクリーニング、残置物の処分など |
出典:仲介手数料は宅地建物取引業法に基づく上限額。印紙税は国税庁「不動産の譲渡等に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」。金額は目安であり、実際の費用は物件・依頼内容によって異なります。
費用の大半を占めるのが仲介手数料です。 宅地建物取引業法で上限が定められており、売買価格が400万円を超える場合は (売買価格×3%+6万円)+消費税が上限になります。 3,000万円なら税込105.6万円です。
※2024年7月の改正により、800万円以下の低廉な空家等については、 売主・買主それぞれから最大33万円(税込)まで受領できる特例が設けられています。 低額物件でも媒介が受けやすくなる趣旨の改正です。
このほか、住宅ローンが残っている場合は抵当権抹消の手続き費用、 契約書に貼る印紙税がかかります。 物件によっては測量、解体、残置物の処分、ハウスクリーニングなどが必要になることもあります。
税金について
売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税・住民税がかかります。 ただしマイホームの売却には3,000万円の特別控除があり、 譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。
- 現に住んでいる家、または住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つです
- 親子・夫婦など特別の関係がある人への譲渡は対象外です
- 控除を受けるには確定申告が必要です(控除の結果、税額が0円になる場合でも申告は必要)
- 買換え特例など他の特例との併用には制限があります
※税務の取扱いは個別の事情によって変わります。 適用の可否や税額の計算は、税務署または税理士にご確認ください。
秋・冬に売るときのポイントは?
季節によって、売却の進め方に少しコツがあります。
- 写真は明るいうちに撮る──日が短くなると撮影できる時間が限られます。晴れた日の午前〜午後早めがおすすめです(秋シリーズ第1回「日当たり」もご参考に)
- 夕方の内見は照明を全部つけておく──暗い印象は成約に響きます。玄関・廊下・洗面所まで
- 暖房を入れておく──寒い家は印象が悪くなります。内見の30分前には温めておきたいところです
- 窓の結露を拭いておく──サッシに水滴が残っていると、住まいの状態を気にされます(第2回「窓を見直す」)
- 年末年始は動きが鈍くなりやすい──不動産会社の休業や購入検討者の予定もあり、12月下旬〜1月上旬は問い合わせ・内見が通常期より減る傾向があります。この期間もスケジュールに入れておきましょう
- 年明けから春先は住み替え需要が動きやすい時期の一つ──転勤や新生活をきっかけに住まいを探す方もいます。年内に成約しなくても、すぐに売却をあきらめる必要はありません
売り出す前に、やっておくといいことは?
- 片付け──物が少ないほど部屋は広く見えます。売却が決まったら、少しずつ処分を始めてください
- においの確認──住んでいると気づきにくい部分です。ご家族以外の方に一度見てもらうと分かります
- 水まわりの清掃──キッチン・浴室・洗面・トイレは、買主が必ず見る場所です
- 修繕・リフォームの履歴をまとめる──いつ、何を、いくらで直したか。買主の安心材料になります
- 境界の確認(戸建て・土地)──境界標があるか、測量図があるか。ない場合は測量が必要になることがあります
- 設備の不具合を洗い出す──隠さずに伝えることが、後のトラブルを防ぎます

「言わないほうが得」は、逆効果です
雨漏り、シロアリ、給湯器の不調、過去の浸水—— こうした事実を知りながら伝えなかった場合、引渡し後に契約不適合責任を問われることがあります。 修補や代金減額、場合によっては契約解除や損害賠償の対象になります。
逆に、気になる点を事前に伝え、物件状況報告書や売買契約書の内容にも適切に反映しておけば、 買主にも状態を理解してもらったうえで価格や条件を調整できます。 気になる点は、査定のときに遠慮なくお話しください。
買い替えの場合は、どうする?
- 売り先行──先に売ってから買う方法。売却代金が確定するので資金計画が立てやすい反面、仮住まいが必要になることがあります
- 買い先行──先に買ってから売る方法。引越しが1回で済みますが、売却前に二重ローンになる期間が生じる可能性があります
どちらが良いかは、ローン残債・自己資金・住み替え先の状況によって変わります。 買い替えを考えている方は、購入と売却を同じ会社に相談すると、 スケジュールの調整がしやすくなります。
私たちが査定するときは
まずローン残債と、いつまでにどうしたいかを伺います。 そのうえで、近隣の成約事例と、現在売り出し中の競合物件を確認します。 「いくらで売れるか」より先に、「いくらで、いつまでに売れると、ご希望がかなうか」を 整理するほうが、話が早いからです。
査定は無料で、査定を受けたからといって売却を決める必要はありません。 「まだ検討段階で」という段階のご相談も歓迎です。
まずは、いまの価格を知るところから。
売却をお考えなら、まずは現在の相場を知るところから。無料査定では、近隣の成約事例をもとに根拠をご説明します。「まだ検討中」という段階でもお気軽にどうぞ。
愛知中央不動産
季節の暮らしシリーズ|秋(全4回)
- 第1回:秋の内見は「日当たり」に注目
- 第2回:冬が来る前に「窓」を見直す
- 第3回:日が短くなる季節は「防犯」に注意
- 第4回:年内に家を売るなら秋から準備(この記事)
夏シリーズ(全4回)もあわせてどうぞ
