
台風・豪雨から家と家族を守る|備えとハザードマップの見方
季節の暮らしシリーズ|夏 第3回
台風・豪雨から家と家族を守る
──今日できる備えと、家選びの視点
8月から9月にかけては、1年でもっとも台風が日本に近づく時期です。 さらに「1時間に50mm以上」の激しい雨は、40年前と比べて約1.5倍に増えました。 データを確認しながら、家庭でできる備えと、住まいを選ぶときに見るべき点を整理します。
愛知中央不動産|住まいと暮らしのコラム
この記事でわかること
- 台風が多い時期はいつか(平年値で確認)
- 豪雨はどれだけ増えているのか
- 台風が来る前・来たときの行動
- ハザードマップの正しい見方
- 水害に強い土地・建物の見分け方
台風のピークは、8月と9月
日本への年間接近数(平年値)
1991〜2020年の30年平均
8月・9月の月別接近数
年間で最も多い2か月
1時間50mm以上の雨の増加
1976〜85年比(2015〜24年)
1時間80mm以上の雨の増加
より激しい雨ほど増え方が大きい
台風の月別平年値(数値で見る)
| 月 | 発生数 | 接近数 | 上陸数 |
|---|---|---|---|
| 5月 | 1.0 | 0.7 | 0.0 |
| 6月 | 1.7 | 0.8 | 0.2 |
| 7月 | 3.7 | 2.1 | 0.6 |
| 8月 | 5.7 | 3.3 | 0.9 |
| 9月 | 5.0 | 3.3 | 1.0 |
| 10月 | 3.4 | 1.7 | 0.3 |
| 11月 | 2.2 | 0.5 | — |
| 年間 | 25.1 | 11.7 | 3.0 |
出典:気象庁「台風の平年値」(1991〜2020年平均)
台風の発生自体は8月がもっとも多く、日本への接近は8月・9月がともに3.3個でピークを迎えます。 上陸数で見ると9月が1.0個ともっとも多くなります。 「お盆を過ぎたから安心」ではなく、9月も引き続き警戒が必要ということです。
豪雨は、確実に増えています
短時間強雨の発生回数(数値で見る)
| 期間 | 1時間50mm以上(回/年) | 1時間80mm以上(回/年) |
|---|---|---|
| 1976〜1985年の平均 | 約226 | 約14 |
| 2015〜2024年の平均 | 約334 | 約24 |
| 増加倍率 | 約1.5倍 | 約1.7倍 |
出典:気象庁「日本の気候変動2025」(統計期間1976〜2024年)
気象庁の統計では、1時間降水量50mm以上の激しい雨の年間発生回数は、 統計開始の1976〜1985年に年平均約226回だったものが、直近の2015〜2024年には約334回(約1.5倍)。 さらに激しい80mm以上では約14回から約24回へと約1.7倍に増えています。 「昔は大丈夫だったから」という経験則が通じにくくなっている、ということです。
雨の強さの階級(数値で見る)
| 階級 | 1時間降水量 | 人の受けるイメージ |
|---|---|---|
| やや強い雨 | 10〜20mm | ザーザーと降る |
| 強い雨 | 20〜30mm | 土砂降り |
| 激しい雨 | 30〜50mm | バケツをひっくり返したように降る |
| 非常に激しい雨 | 50〜80mm | 滝のように降る。車の運転は危険 |
| 猛烈な雨 | 80mm以上 | 息苦しくなる圧迫感・恐怖を感じる |
出典:気象庁「雨の強さと降り方」(横軸100mmは表示上の上限で、80mm以上は上限のない階級です)
1時間に50mmという雨は、滝のように降り、車の運転が危険になるレベルです。 短時間に大量の雨が降り、地域の排水能力を超えた場合には、川から離れた住宅地でも 内水氾濫(下水や側溝から水があふれる現象)が起こることがあります。 川から離れているから安心、とは限りません。
【2026年5月から防災気象情報が変わりました】
大雨・洪水・土砂災害・高潮に関する防災気象情報は、2026年5月29日から 5段階の警戒レベル表示に整理されました。名称にもレベルが入り、 たとえば大雨なら「レベル3大雨警報」「レベル4大雨危険警報」「レベル5大雨特別警報」と発表されます。
- レベル3──高齢者など避難に時間を要する方は、危険な場所から避難を始める
- レベル4──危険な場所から全員避難。避難はこの段階までに完了させるのが基本です
- レベル5──すでに安全な避難が難しい状況。命を守る行動をとる
「特別警報が出てから動く」では間に合いません。レベル4までに避難を完了する、と覚えてください。
なお、実際に避難を呼びかけるのは市町村が出す避難情報(高齢者等避難・避難指示・緊急安全確保)です。 気象庁の防災気象情報は、その判断のもとになる情報という関係にあります。 どちらもレベルで整理されているので、数字を見て行動すると覚えておくと迷いません。
台風が来る前に、やっておくこと

数日前(進路予報が出たら)
- ハザードマップで自宅の危険度を確認し、避難先と経路を家族で共有する
- 飲料水(1人1日3L×3日分)、簡易トイレ、モバイルバッテリー、常備薬を点検する
- スマートフォンに自治体の防災アプリ・緊急速報の設定をしておく
- 車の給油を済ませておく──停電や物流の混乱などで給油できない場合に備え、早めに満タンにしておく
前日〜当日(風が強まる前に)
- ベランダ・庭のものを室内へ──植木鉢、物干し竿、自転車、ゴミ箱。飛んで隣家を傷つけると賠償問題にもなります
- 雨どい・排水溝の落ち葉を取り除く──詰まりによって雨水があふれるのを防ぐため、落ち葉やごみを取り除いておきます
- 雨戸・シャッターを閉める。雨戸がない場合は飛散防止フィルム等でガラスの飛散対策をし、カーテンやブラインドを閉めておく
- 浴槽に水を張る(断水時の生活用水)/スマホ・バッテリーを満充電にする
- 浸水の可能性がある地域では、貴重品と家電を2階へ、車を高台へ移動
台風が来ているときに、絶対にやってはいけないこと
- 屋根・雨どい・アンテナの様子を見に外へ出る(暴風時の屋外作業は、転落や飛来物による重大事故につながります)
- 田畑や水路、川、海の様子を見に行く
- 冠水した道路に進入する──実際の冠水路は水深が分かりません。マンホールが外れていても見えず、水深が深くなると水圧でドアが開けにくくなるほか、比較的浅い冠水でも車両に浸水・故障が生じる可能性があります
- 「まだ大丈夫」と避難を先延ばしにする(暗くなってからの移動は危険が跳ね上がります)

重要事項説明の対象となる「水害ハザードマップ」は3種類
「うちのあたりは大丈夫」という感覚と、実際のリスクは食い違うことがよくあります。 愛知県内の各市町村がハザードマップを公開していますし、 国土交通省の「重ねるハザードマップ」(ハザードマップポータルサイト)では住所を入れるだけで複数のリスクを重ねて確認できます。
不動産取引の重要事項説明で対象となる、水防法に基づく水害ハザードマップは次の3種類です。
- 洪水(河川氾濫)──川があふれた場合の浸水域と深さ。想定は「想定最大規模」で確認を
- 雨水出水(内水氾濫)──下水道の処理能力を超えて水があふれる現象。川が近くなくても起こります
- 高潮──伊勢湾・三河湾沿岸では特に重要。ゼロメートル地帯の有無を確認
【名古屋市で物件を探す方へ】2026年4月に洪水ハザードマップが更新されています
名古屋市では2026年4月に洪水ハザードマップが更新され、 堀川・新堀川・扇川・大高川・山崎川など14の中小河川について、 新たな洪水浸水想定区域(浸水深、浸水継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域)が反映されました。 以前確認したことがある方も、物件購入時には最新のハザードマップをご確認ください。
なお「なごやハザードマップ」では、洪水・内水氾濫・高潮に加えて、 地震・津波・ため池氾濫なども確認できます。
ただし、住まい選びではこの3つだけでは足りません
次のリスクは水害ハザードマップの対象外ですが、自治体の公表資料で確認できます。 物件を検討する段階で、あわせて見ておくことをおすすめします。
- 津波──沿岸部では津波浸水想定区域の指定を確認
- 土砂災害──がけ地・傾斜地の近く。警戒区域/特別警戒区域の指定を確認
- 液状化──埋立地、旧河道、水田を造成した土地で起こりやすい
- ため池──決壊時の浸水想定区域が公表されている地域があります
【住まい選びの視点】水害に強い土地・建物

不動産取引では、2020年8月から水害ハザードマップにおける物件所在地の説明が重要事項説明で義務化されています。 重要事項説明は契約締結前に行われますが、物件購入の判断材料になる情報ですから、 できれば物件選定の段階からご自身でも確認しておきたいところです。
- 周辺より低い土地でないか──同じ町内でも、わずかな高低差によって浸水状況が異なることがあります。通常の雨天時など、安全を確保できる状況で現地を見ると、道路や側溝の排水状況も確認できます
- 旧地名・古い地図を調べる──昔の土地利用を知る参考になります。ただし地名だけで災害リスクを判断せず、地形分類図・ハザードマップ・過去の浸水履歴などと合わせて確認します
- 敷地と道路の高低差──道路より低い敷地、半地下車庫は水がたまりやすい構造です
- 電気設備の位置──分電盤・給湯器・エアコン室外機など、地面に近い設備は浸水被害を受ける可能性が高まります
- マンションなら受変電設備・給水設備・機械式駐車場の位置──地下や低層部にあるこれらの設備が浸水すると、停電や断水など建物全体に影響する場合があります
- 火災保険の水災補償──契約プランによって補償の有無や範囲が異なります。ハザードマップと合わせて確認しましょう
災害リスクは「ゼロか100か」ではありません
ハザードマップで色が付いている=買ってはいけない、ということではありません。 利便性や価格とのバランスの中で、リスクを知ったうえで、備えを織り込んで選ぶことが大切です。 建物の階数、駐車場の位置、保険の設計で対応できることもたくさんあります。 気になる物件がありましたら、周辺の災害履歴も含めて一緒に確認いたします。
住まいのことは、地元の私たちに。
次回はシリーズ最終回。夏の住まいの悩みの定番、虫とカビを「湿度」から解き明かします。
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季節の暮らしシリーズ|夏(全4回)
- 第1回:約4割が住居で発生、住まいの暑さ対策
- 第2回:エアコンと電気代のリアル
- 第3回:台風・豪雨から家と家族を守る(この記事)
- 第4回:夏の虫とカビ、原因は「湿度」
