
エアコンと電気代のリアル|我慢せずに下げる節電のコツ
季節の暮らしシリーズ|夏 第2回
エアコンと電気代のリアル
──我慢しないで、賢く下げる
「電気代が怖くてエアコンをつけられない」。夏になると本当によく聞くお話です。 でも数字を見ると、我慢の効果は思ったほど大きくなく、リスクのほうがずっと大きい。 どこにお金がかかっていて、どこを変えると効くのか。グラフで整理しました。
愛知中央不動産|住まいと暮らしのコラム
この記事でわかること
- 夏の電気代、どの家電にいくらかかっているか
- 夏の電気代の平均額(世帯人数別)
- 効果の大きい節電と、意味の薄い節電
- つけっぱなし論争の結論
- 電気代に効く「家そのもの」の条件
夏の電気代、内訳はこうなっています
夏の家庭電力に占めるエアコン
最も大きい割合
設定温度を1℃上げた効果
冷房時の消費電力量(環境省・目安)
1年間フィルターを掃除しなかった場合
消費電力が無駄になるというメーカー試験例
夏の平均電気代(総世帯)
2025年7〜9月の1か月あたり
季節別の電力消費割合(数値で見る)
| 機器 | 夏季の割合(%) | 冬季の割合(%) |
|---|---|---|
| エアコン | 34.2 | 32.7 |
| 冷蔵庫 | 17.8 | 14.9 |
| その他 | 12.7 | 10.9 |
| 照明 | 9.6 | 9.3 |
| 炊事 | 6.5 | 7.9 |
| 給湯 | 6.1 | 12.5 |
| 待機電力 | 6.0 | 5.5 |
| テレビ・DVD | 4.6 | 4.2 |
| 洗濯機・乾燥機 | 2.3 | 2.2 |
出典:資源エネルギー庁「平成30年度電力需給対策広報調査事業」。2025年の実測値ではなく、同調査による1日の電力消費割合の試算です。
夏の家庭で使う電力のうち、約3分の1がエアコンです(資源エネルギー庁の調査による試算)。 逆にいうと、残りの3分の2は照明を1つ消しても大きくは動きません。 節電はエアコンから手をつけるのが合理的、ということになります。
「夏の電気代は高い」は、半分だけ本当
季節別の平均電気代(数値で見る)
| 季節 | 総世帯(円/月) | 二人以上の世帯(円/月) |
|---|---|---|
| 春(4〜6月) | 10,344 | 12,578 |
| 夏(7〜9月) | 10,278 | 12,442 |
| 秋(10〜12月) | 9,862 | 11,849 |
| 冬(1〜3月) | 13,445 | 16,005 |
出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2025年。グラフは総世帯の値です(二人以上の世帯の値は数値表を参照)。
意外に思われるかもしれませんが、2025年の平均で見ると、電気代がいちばん高かったのは冬でした。 夏(月10,278円)に対して冬は13,445円。約3,000円の差があります。 暖房時は外気温との温度差が大きくなりやすく、給湯負担も増えることなどが要因の一つです。
つまり夏の電気代は、体感ほど突出しているわけではありません。 「夏だけ極端に高い」と感じる場合は、契約プランや古いエアコンなど、別の要因を疑ってみる価値があります。 なお電気料金は気温だけでなく、燃料費調整、国の電気・ガス料金支援、契約プラン、お使いの家電などにも左右されます。
世帯人数別の夏の電気代(2025年)(数値で見る)
| 世帯人数 | 夏の平均電気代(円/月) |
|---|---|
| 1人 | 6,822 |
| 2人 | 11,403 |
| 3人 | 12,884 |
| 4人 | 13,531 |
| 5人 | 14,436 |
出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2025年
世帯人数別に見ると、1人暮らしが6,822円、4人世帯が13,531円。 1人世帯から4人世帯になっても電気代は約2倍で、人数に比例して4倍になるわけではありません。 エアコンや冷蔵庫を家族で共有することなどが、一因と考えられます。
※東海地方にお住まいの方へ──2025年夏(7〜9月)の二人以上の世帯の平均電気代は、 全国で約12,442円、東海地方では約12,872円でした(総務省統計局「家計調査」)。 全国平均よりやや高めの水準です。
効果が大きい節電、意味が薄い節電
設定温度と消費電力の目安(数値で見る)
| 設定温度 | 消費電力の目安(27℃=100) |
|---|---|
| 27℃設定 | 100 |
| 28℃設定 | 約87(約13%減) |
出典:環境省「冷房時の設定温度を1℃緩和すると消費電力量を約13%削減できる」より作成。※一定条件下で設定温度を1℃緩和した場合の目安であり、実際の削減率は外気温・住宅性能・機種・運転状況等によって異なります。
手軽に取り組めて、効果が比較的大きいのが設定温度の調整です。環境省によれば、冷房時に設定温度を1℃緩和すると、 消費電力量を約13%削減できる見込みとされています。 ただし下げすぎ・上げすぎの判断は体調が優先です。 室温28℃を一つの目安に、湿度や体調も確認しながら、無理のない範囲で冷房を調整してください。 なお、エアコンの設定温度と、人がいる場所の実際の室温は一致しない場合があります。
今日からできる・実践リスト

- 設定温度を1℃上げる(約13%減の目安)──扇風機・サーキュレーターを併用すると、空気を循環させて体感的な涼しさを得やすくなり、無理なく上げられます
- フィルターをこまめに掃除する──1年間掃除しなかった場合、掃除した場合と比べて消費電力が約25%無駄になるというメーカー試験例があります。掃除機で吸うだけでも十分で、費用をほとんどかけずに取り組みやすい節電方法です
- 室外機まわりを整える──直射日光を避け(本体ではなく地面や周囲に日よけ)、吹き出し口の前をふさがない。室外機の周囲温度が下がると効率が大きく改善します
- 窓の外側で日射を遮る──すだれ・シェード・遮熱フィルム。入ってきた熱を冷やすより、入れないほうが安く済みます
- 10年以上前のエアコンは買い替えを検討──同じ畳数でも年間の消費電力量が大きく違います。カタログの「期間消費電力量(kWh)」を比べてください

「つけっぱなし」と「こまめに消す」、どっち?
エアコンは起動直後に消費電力が大きくなるため、短時間の外出では、 切って再起動するよりつけたままのほうが電気代を抑えられる場合があります。 メーカーの実験では、日中30分程度の外出でその傾向が確認されています。
ただし、外気温・住宅性能・機種・時間帯によって結果は変わるため、 「30分を超えたら必ず消す」といった一律の基準ではありません。 数時間以上の外出では、消したほうが電気代を抑えやすいケースが多くなります。 一方で猛暑日は、帰宅時に室温が危険域まで上がっていることを避けるため、 つけたままを選ぶ判断もあります。
あまり意味がない・逆効果なこと
- こまめなオン・オフの繰り返し──立ち上げのたびに電力を多く使い、かえって増えることがあります
- とにかく「弱」で運転──設定温度に届かず運転し続け、結果的に長時間の消費になることがあります。多くの機種では「自動運転」を使うことで、室温に応じて風量などを調整してくれます。詳しくはメーカーの推奨設定をご確認ください
- 冷房中に窓を長時間開けっぱなしにする──外気温が室温より高い場合は冷房負荷が増えます。必要な換気は24時間換気設備を活用するか、窓開けの場合は短時間で行いましょう
- 「除湿(ドライ)のほうが必ず安い」──方式によります。再熱除湿は冷房より高くなることがあります。取扱説明書でお使いの機種の方式をご確認ください
【住まい選びの視点】電気代は「家の性能」で決まる

同じ暮らし方をしていても、家によって夏の電気代は大きく変わります。 これから購入・賃貸を検討される方は、次の点をチェックしてみてください。
- 窓の仕様──単板ガラス+アルミサッシか、複層ガラス+樹脂サッシか。一定条件の住宅モデルでは、夏に外部から入る熱の約7割が窓などの開口部からとされています
- 断熱性能の表示──新築なら断熱等性能等級、BELS等の省エネ性能表示を確認。現在の新築住宅は等級4相当が最低基準で、等級5はZEH水準相当にあたります。等級5以上が高断熱住宅の目安です
- エアコンの設置状況──設置年、畳数、専用コンセントの有無。古い機種が残っている物件は要注意
- 建物の向きと日射──西日の入り方、隣家やベランダによる日除けの有無
- マンションなら住戸位置──最上階・角部屋は開放的な反面、外気の影響を受けやすい面があります
中古+断熱リフォームという選択肢
内窓(インナーサッシ)を設置することで、窓からの熱の出入りを抑え、夏冬の快適性や冷暖房効率の改善が期待できます。 断熱改修には国や自治体の補助制度が用意されている年度もあります。 物件探しの段階からリフォーム費用と補助制度を織り込んだ資金計画を立てておくと、 選べる物件の幅がぐっと広がります。
住まいのことは、地元の私たちに。
次回は、夏から秋にかけて本番を迎える台風・豪雨への備えを取り上げます。
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季節の暮らしシリーズ|夏(全4回)
- 第1回:約4割が住居で発生、住まいの暑さ対策
- 第2回:エアコンと電気代のリアル(この記事)
- 第3回:台風・豪雨から家と家族を守る
- 第4回:夏の虫とカビ、原因は「湿度」

