
熱中症は「家にいれば安心」ではない|約4割が住居で発生
季節の暮らしシリーズ|夏 第1回
熱中症は「家にいれば安心」ではない
──約4割が住居で発生、住まいでできる暑さ対策
「外に出なければ大丈夫」。そう思っている方ほど、実は危ないかもしれません。 2025年に熱中症で救急搬送された10万人あまりのうち、もっとも多かった発生場所は「住居」でした。 数字を見ながら、住まいの暑さとの付き合い方を考えてみます。
愛知中央不動産|住まいと暮らしのコラム
この記事でわかること
- 2025年の熱中症は、いつ・どこで起きたのか
- なぜ住居で熱中症が起きるのか
- 名古屋の夏が近年どう変わったか
- 今日からできる住まいの暑さ対策
- 暑さに強い家・弱い家の見分け方
まず、数字を見てみましょう
2025年5〜9月の熱中症搬送(全国)
統計を取り始めた2008年以降で最多
発生場所が「住居」だった割合
38,292人。もっとも多い発生場所(敷地内を含む)
65歳以上(高齢者)の割合
57,433人
愛知県内の搬送人員
2025年5〜9月
2025年(令和7年)の夏、全国で熱中症により救急搬送された人は10万510人。 統計が残る2008年以降でもっとも多い数字となりました。愛知県内だけでも6,653人が搬送されています。
月別の搬送人員(数値で見る)
| 月 | 搬送人員(人) |
|---|---|
| 5月 | 2,614 |
| 6月 | 17,229 |
| 7月 | 39,375 |
| 8月 | 31,526 |
| 9月 | 9,766 |
| 合計 | 100,510 |
出典:総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」
2025年に搬送が最も多かったのは7月で、全体の約4割にあたる39,375人でした。 「本格的な暑さはお盆から」という感覚をお持ちの方も多いと思いますが、 特に梅雨明けなど急に気温が上昇する時期は、体が暑さに十分慣れていない 「暑熱順化が不十分な状態」になりやすく、注意が必要です。
発生場所の第1位は「住居」

発生場所別の内訳(数値で見る)
| 発生場所 | 人数(人) | 割合(%) |
|---|---|---|
| 住居 | 38,292 | 38.1 |
| 道路 | 19,773 | 19.7 |
| 公衆(屋外) | 12,175 | 12.1 |
| 仕事場(屋内) | 10,559 | 10.5 |
| 公衆(屋内) | 8,462 | 8.4 |
| その他 | 5,470 | 5.4 |
| 教育機関 | 3,553 | 3.5 |
| 仕事場(屋外) | 2,226 | 2.2 |
出典:総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」。なお同統計の「住居」には、住宅の建物内だけでなく、敷地内の場所(庭・駐車場など)も含まれます。
グラフのとおり、いちばん多い発生場所は住居(38.1%)です。 道路(19.7%)や屋外(12.1%)を大きく上回っています。 そして年齢別に見ると、約6割が65歳以上の高齢者でした。
※消防庁の統計上の「住居」には、住宅の建物内だけでなく、 敷地内の場所(庭・駐車場・玄関先など)も含まれます。したがって「38.1%がすべて屋内」という意味ではありません。 それでも、住まいとその周辺がもっとも多い発生場所であることに変わりはありません。
年齢区分別の内訳(数値で見る)
| 年齢区分 | 人数(人) | 割合(%) |
|---|---|---|
| 高齢者(65歳以上) | 57,433 | 57.1 |
| 成人 | 34,096 | 33.9 |
| 少年 | 8,447 | 8.4 |
| 乳幼児 | 531 | 0.5 |
| 新生児 | 3 | 0.0 |
出典:総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」
東京都23区で行われた調査(2013〜2023年、東京大学大学院医学系研究科・東京都監察医務院)では、 熱中症で亡くなった1,447例のうち1,319例(約9割)が屋内で発見されていました。 このうち、サウナや勤務中などを除いた屋内死亡1,295例を見ると、 44.9%はエアコンがオフ、29.4%はエアコン自体が設置されておらず、 エアコンがオンだった例は6.5%でした。
「暑いと感じてから」では遅い理由
年齢を重ねると、暑さを感じる感覚と、汗をかいて体温を下げる働きの両方が弱くなっていきます。 本人は「まだ大丈夫」と思っていても、室温はすでに危険な水準——ということが起こります。 ご家族が離れて暮らしている場合は、気温より「室温」を聞く電話が有効です。 「暑くない?」ではなく「部屋の温度計、いま何度?」と尋ねてみてください。
名古屋の夏は、近年はっきり変わりました
名古屋の年間猛暑日日数(数値で見る)
| 年 | 猛暑日(日) |
|---|---|
| 2010年 | 30 |
| 2011年 | 14 |
| 2012年 | 12 |
| 2013年 | 27 |
| 2014年 | 8 |
| 2015年 | 16 |
| 2016年 | 9 |
| 2017年 | 3 |
| 2018年 | 36 |
| 2019年 | 20 |
| 2020年 | 24 |
| 2021年 | 8 |
| 2022年 | 16 |
| 2023年 | 32 |
| 2024年 | 47 |
| 2025年 | 52 |
出典:気象庁の観測データ(名古屋)をもとに作成
名古屋の猛暑日(最高気温35℃以上)は、2010年代前半は年による幅が大きく、3日の年もあれば30日の年もありました。 それが2023年に32日、2024年に47日、2025年には52日と、近年は水準そのものが上がっています。 2025年の52日は、名古屋の観測史上もっとも多い記録です。 「昔はエアコンなしでも夏を越せた」という感覚は、残念ながらもう通用しません。 住まいの断熱・遮熱・冷房計画は、快適さの問題ではなく安全の問題になってきています。
なお2026年の名古屋は、初めての猛暑日が7月14日と前年より27日遅く、出だしは比較的おだやかでした(※2026年8月時点)。 ただし8月以降に一気に暑くなる年もあります。「今年は涼しい」という油断がいちばん危険です。
今日からできる、住まいの暑さ対策

1. エアコンは「我慢するもの」ではなく「使うもの」
室温は28℃を超えないことを一つの目安に、湿度や暑さ指数(WBGT)、 その日の体調も確認しながら、エアコンを適切に使用しましょう。 大切なのは「エアコンの設定温度」ではなく実際の室温です。 エアコンの設定温度と、人がいる場所の実際の室温は一致しない場合があります。
電気代が心配な方も多いと思いますが、「こまめに消したほうが必ず節約になる」とは限りません。 外気温、住宅の断熱性能、外出時間などで結果は変わります。 運転方法と電気代については、第2回で詳しく検証します。
2. 温湿度計を、生活する部屋に置く
1,000円台のもので十分です。リビング・寝室・台所の3か所に置くと、家の中の温度差が見えてきます。 2階や西日を受ける部屋などは、同じ住宅内でも室温に大きな差が生じることがあります。 内覧のときも、LDKだけでなく2階の寝室や西側の居室の暑さまで確かめておきたいところです。
3. 熱を「入れる前に」止める
- すだれ・シェード・グリーンカーテンで窓の外側から日射を遮る(室内カーテンより効果が大きい)
- 遮熱フィルムを西向き・南向きの窓に貼る
- 日中は窓を閉めてカーテンを引く。外気が室温より高い時間の換気は逆効果
- 朝夕の涼しい時間に2方向の窓を開けて熱気を抜く
4. 夜も油断しない
2025年の名古屋は熱帯夜(最低気温25℃以上)が非常に多い年でした。 就寝中は、自分で暑さに気づくことができません。 タイマーで必ず切ることにこだわらず、寝室の実際の室温を温度計で確認しながら、適切に冷房を使用しましょう。 エアコンのセンサー表示と、人が寝ている場所の室温は大きく異なることがあります。 枕元に水を置く習慣も、シンプルですが効果があります。
【住まい選びの視点】暑さに強い家、弱い家

これから家を買う・借りる予定のある方は、内見のときに次の点を見てみてください。 夏の快適さと、その後の電気代に直結します。
- 窓の性能──家から逃げる・入る熱の多くは窓から。ペアガラス(複層ガラス)か、サッシは樹脂・アルミ樹脂複合か
- 断熱の等級──2025年4月1日以降に工事着手する原則すべての新築住宅で、省エネ基準への適合が義務化されています。中古の場合は建築年と断熱改修の履歴を確認
- 方位と西日──西向きの大きな窓は夕方の室温を大きく押し上げます。ベランダの向き、隣家との距離も確認を
- 最上階・屋根裏──マンション最上階、平屋、ロフトのある家は屋根からの熱の影響を受けやすい。天井断熱の状況を確認
- エアコンの設置可否と容量──専用コンセント・室外機置き場・配管穴があるか。各部屋に設置できるか
- 室外機の置き場所──直射日光が当たり続ける場所、風がこもる場所では効率が落ちます
- 風の通り道──窓が1か所しかない部屋は、風が通りません。対角線上に開口があるか
中古住宅を検討中の方へ
内窓の追加や天井・床の断熱材追加など、断熱リフォームにはさまざまな方法があり、 工法や住宅の状態によって費用は大きく異なります。 時期によっては国や自治体の補助制度が使えることもあります。 物件価格だけでなく、「買ったあとにいくらかければ、どの程度改善できるか」まで含めて、 一緒に考えさせていただきます。
住まいのことは、地元の私たちに。
中古住宅の購入では、価格や間取りだけでなく、窓・断熱・西日・エアコンの設置環境まで確認することが大切です。愛知中央不動産では、購入後のリフォームも含めた住まい選びをご相談いただけます。
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季節の暮らしシリーズ|夏(全4回)
- 第1回:約4割が住居で発生、住まいの暑さ対策(この記事)
- 第2回:エアコンと電気代のリアル
- 第3回:台風・豪雨から家と家族を守る
- 第4回:夏の虫とカビ、原因は「湿度」
