
名古屋市で災害に強いエリアはどこ?│各区の地形傾向と防災情報
名古屋市の防災データ早見
市内最高地点
198.3m
守山区・東谷山
市内最低地点
−1.73m
北・西・南部の沖積地
地形の大区分
丘陵地・台地・沖積地の3つ
名古屋市公式資料に基づく分類
ハザードマップの種類
6種類
洪水・内水氾濫・高潮・地震・津波・ため池
「名古屋市内で防災に強い街はどこですか?」——マイホーム探しをされているご家庭から、この質問をいただく機会が年々増えています。
南海トラフ地震への備えや、近年の豪雨災害の報道を受けて、「災害リスクの低いエリアで子どもを育てたい」という声は、当社への相談の中でも大きな割合を占めるようになりました。
結論からお伝えすると、「名古屋市のこの区が絶対に安全」という単純な答えは存在しません。
名古屋市は地形によって水害・地震・液状化のリスクが大きく異なり、同じ区の中でも住所によってリスクが変わることが珍しくないからです。
この記事では、名古屋市の地形の成り立ちから、区ごとの地形的な傾向、ハザードマップの正しい使い方、そして実際に物件を選ぶ際の防災チェックポイントまで、できるだけ根拠のある情報で整理します。
なお、この記事で紹介する地形的な傾向は、あくまで「一般的な傾向」であり、個々の物件の安全性を保証するものではありません。
最終的な判断は、必ず名古屋市が公表する「なごやハザードマップ」で、検討している物件の住所を個別に確認した上で行ってください。
目次
1. 名古屋市の地形を理解する——3つの大区分 2. 比較的標高の高いエリアの傾向 3. 低地エリアの特徴と注意点 4. 区ごとの地形傾向 早見表 5. なごやハザードマップの種類と使い方 6. 液状化リスクの考え方 7. 地震・耐震の視点 8. 防災に強い物件を選ぶ実践チェックリスト 9. 防災と利便性、どちらを優先すべきか 10. よくある質問 11. まとめ——防災は「区」ではなく「番地」で考える名古屋市は本州中央部の濃尾平野に位置し、南は伊勢湾に面しています。
市域は「緩やかな東高西低の地勢」と名古屋市自身が説明しており、市の北から南にかけては庄内川が、東から南にかけては天白川が流れ、伊勢湾に注いでいます。
市の中心部には、名古屋城築城の際に開削された運河・堀川が、台地のすそに沿って南北に通じています。
名古屋市の地形は、公式には次の3つに大別されます。
| 地形区分 | 標高の目安 | 該当エリア |
|---|---|---|
| 東部の丘陵地 | 約50〜100m | 守山区・千種区・名東区・天白区・緑区 |
| 中央部の台地 | 約10〜15m | 中区・東区・昭和区・瑞穂区・南区の一部・熱田区の一部 |
| 北・西・南部の沖積地 | 最低で海抜約−1.73m | 北区・西区・中村区・中川区・港区・熱田区の一部・南区の一部 |
東部の丘陵地は、市内最高地点である東谷山(標高198.3m・守山区)を含む、標高50〜100mのなだらかな丘陵が広がるエリアです。
中央部の台地は、山崎川や精進川などの河川による侵食で複雑な地形を呈しており、標高10〜15m程度の平坦な土地が中心です。
北・西・南部の沖積地は、河川の堆積作用で形成された低地で、市内で最も低い場所は海抜マイナス1.73mに達します。
重要な注意点:「東部丘陵地=台地エリアだから水害リスクが一律に低い」という単純化は避けるべきです。
丘陵地の中にも谷や低地が入り組んでいる場所があり、逆に台地・沖積地の区にも比較的標高の高い場所が点在します。
この記事で紹介する地形区分は「一般的な傾向」を理解するための出発点であり、最終的な判断材料ではありません。
東部丘陵地に位置する守山区・千種区・名東区・天白区・緑区は、標高50〜100mの丘陵地帯にあり、洪水・高潮による浸水リスクは市内西部・南部の低地と比べて相対的に低い傾向にあるとされています。
ただし、これらの区の中にも天白川・矢田川・香流川などの河川が流れており、川沿いの一部エリアには浸水想定区域が指定されている場所があります。
また丘陵地特有の急斜面では、土砂災害への注意も必要です。
中区・東区・昭和区・瑞穂区には中央部台地に位置する地域があり、西部・南部の低地と比べて水害リスクが相対的に小さい場所もあります。
ただし、名古屋市も説明するとおり中央部台地には河川侵食による小さな谷が入り込む複雑な地形があり、河川周辺・谷地形・内水氾濫の想定がある場所も含まれます。
区全体ではなく、住所ごとの確認が必要です。
昭和区・千種区も同様に、大学や文教施設が集まる台地エリアとして知られていますが、坂道や谷地形が含まれる場所もあります。
これらのエリアは、住宅需要が根強いこともあり、地価・家賃相場が名古屋市内でも高めに推移する傾向があります。
「防災面での安心感」と「価格の手頃さ」を両立させたい場合は、同じ台地・丘陵地エリアの中でも比較的郊外寄りの立地(例えば名東区・天白区・守山区の一部など)を検討するというアプローチも考えられます。
実際に当社への相談でも、「子育て中は水害リスクを最優先に考えたい」というご家庭から、東部丘陵地・中央部台地エリアへの問い合わせが年々増えている実感があります。
特に共働き世帯では、災害時に自宅を離れる時間が長くなりがちなため、「留守中に浸水リスクがある家」よりも「多少駅から遠くても地形的に安心できる家」を選びたいという声をよく耳にします。
一方で、こうしたエリアは新築供給が限られる傾向もあり、中古物件も含めた幅広い選択肢を検討することがポイントになります。
北・西・南部の沖積地に位置する北区・西区・中村区・中川区・港区、そして熱田区・南区の一部は、河川の堆積作用によって形成された低地です。
これらのエリアは、庄内川・新川・中川運河・堀川といった河川に囲まれており、洪水・内水氾濫のリスクを特に丁寧に確認する必要があります。
とりわけ港区は区の大部分が江戸時代以降の干拓・埋め立てで造成された土地であり、1959年の伊勢湾台風では甚大な被害を受けた歴史があります。
高潮・津波のリスクも合わせて確認すべきエリアです。
中川区・中村区の一部にも同様の低地が広がっており、庄内川・新川の氾濫リスクへの備えが重要です。
名古屋市が低地の水害対策を重視する背景には、1959年(昭和34年)9月26日の伊勢湾台風の記憶があります。
伊勢湾台風では、名古屋港で観測史上最高となる5.31mの潮位を記録し、名古屋市内では死者・行方不明者1,851人という甚大な被害が発生しました。
住家被害は全壊・流出7,723棟・半壊43,249棟・床上浸水34,883棟・床下浸水32,469棟に及びました。
この災害を教訓として、1961年(昭和36年)に「災害対策基本法」が制定され、住民による自主防災組織の仕組みもこの時期に生まれています。
また2000年(平成12年)9月の「東海豪雨」も伊勢湾台風以来の水害と位置づけられ、記録的な集中豪雨が都市型の内水氾濫リスクを改めて浮き彫りにしました。
低地エリアの水害リスクは過去の話ではなく、近年の豪雨災害の激甚化を踏まえて現在も継続的にハザードマップが更新され続けています。
一方で、こうした低地エリアは総じて地価・家賃相場が名古屋市内で比較的手が届きやすい水準にあり、広い土地・新しい住宅を予算内で確保しやすいという利点もあります。
「低地だから住むべきではない」ということでは決してなく、浸水リスクを正しく理解した上で、盛土・耐水害住宅仕様・浸水に強い間取りなど、対策を講じながら選択するという考え方も十分に成立します。
水害確認を特に重視したいエリア
以下のエリアは区内に低地を多く含み、水害・液状化のハザード確認が特に重要とされています。
「住めない」という意味ではなく、購入前のハザードマップ確認をより丁寧に行っていただきたいエリアです。
以下は、これまで当社が制作してきた区別エリア記事の取材をもとにまとめた、地形上の一般的傾向です。
繰り返しになりますが、これは「区全体の傾向」であり、区内の特定エリアの安全性を保証するものではありません。
| 区 | 地形区分 | 確認しておきたいポイント |
|---|---|---|
| 東区 | 中央部台地 | 市内最小面積・台地中心 |
| 昭和区・千種区 | 中央部台地〜丘陵地 | 一部に坂道・低地混在 |
| 名東区・天白区 | 東部丘陵地 | 丘陵の高低差・河川沿い低地に注意 |
| 守山区・緑区 | 東部丘陵地 | 丘陵地が広いが庄内川等の低地も含む |
| 瑞穂区・熱田区・南区 | 台地と低地が混在 | 住所単位での確認が特に重要 |
| 北区・西区 | 沖積地(低地) | 庄内川・矢田川の氾濫想定を確認 |
| 中区 | 中央部台地中心 | 堀川周辺や小さな谷、内水氾濫を住所ごとに確認 |
| 中村区 | 沖積地・低地 | 洪水・内水氾濫・高潮・液状化を確認 |
| 中川区 | 沖積地(低地) | 庄内川・新川・中川運河が集中 |
| 港区 | 沖積地(干拓・埋立地) | 高潮・液状化リスクの確認が特に重要 |
※本表は地形上の一般的傾向を整理したものであり、区内の特定エリアの安全性を示すものではありません。
必ず個別の住所で「なごやハザードマップ」をご確認ください。
️ 防災面から見た注目エリア
「この区が1位だから絶対に安全」という単純なランキングではなく、重視したいポイント別に候補エリアを整理しました。
いずれも台地・丘陵地に位置し、水害リスクが相対的に低いとされる傾向がありますが、丘陵地特有の坂道・擁壁・土砂災害リスクは別途確認が必要です。
▶ 水害リスクを抑えたい方の候補
▶ 戸建てと丘陵地の住環境を両立したい方の候補
▶ 交通利便性と台地地形を両立したい方の候補
※上記はあくまで地形上の一般的傾向に基づく候補紹介であり、安全性を保証するものではありません。
各区とも「東部」「丘陵地」「台地」と表現したエリア以外には低地・谷地形・急斜面が含まれる場合があります。
必ず検討住所ごとに「なごやハザードマップ」をご確認ください。
名古屋市は「なごやハザードマップ」として、想定し得る最大規模の洪水・内水氾濫・高潮に加え、地震・津波・ため池氾濫など、すべての災害を対象としたハザードマップを公開しています。
市の公式サイトでは、住所や地点を入力することで、これら各種災害リスクをまとめて調べることができます。
| ハザードマップの種類 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 洪水ハザードマップ | 河川氾濫による浸水想定区域・浸水深・浸水継続時間 |
| 内水氾濫ハザードマップ | 下水道等の氾濫による浸水想定(令和4年6月指定) |
| 高潮ハザードマップ | 台風等による高潮の浸水想定区域 |
| 地震ハザードマップ | 震度予測・地域の危険度分布・液状化危険度 |
| 津波ハザードマップ | 南海トラフ地震等による津波浸水想定 |
| ため池ハザードマップ | ため池決壊時の浸水想定区域 |
洪水・内水氾濫のハザードマップでは、浸水深が複数の段階に色分けされており、浸水範囲や継続時間、避難場所も地図上で確認できます。
色や区分は洪水・内水氾濫・高潮などマップの種類によって異なるため、対象住所の色だけを見るのではなく、各マップの凡例・浸水深・浸水継続時間をあわせて確認してください。
スマートフォンからは「名古屋市防災アプリ」も利用でき、GPSと連携して現在地周辺の被害想定・避難所情報をAR(拡張現実)機能で表示することも可能です。
また「名古屋市ヒストリカルハザードマップ」では、明治・大正・昭和の古地図と現在の地図を重ね合わせて表示でき、その土地がもともとどのような地形だったかを確認できます。
南海トラフ地震の被害予測(震度・津波・液状化)を重ねて表示する機能もあり、土地の成り立ちと災害リスクを合わせて考えることができます。
注意点:国の「重ねるハザードマップ」は広域的な確認に便利ですが、表示方法や凡例が自治体の公式マップと異なる場合があります。
また、法律に基づいて市町村が作成したハザードマップではないため、宅地建物取引の重要事項説明には使用できません。
最終確認には、必ず名古屋市の公式ハザードマップ「なごやハザードマップ」を使用してください。
液状化とは、地震の揺れによって地盤が一時的に液体状になり、建物が傾いたり地面から水が噴き出したりする現象です。
一般的に、埋立地・干拓地・河川沿いの砂質地盤で液状化のリスクが高いとされており、港区・中川区・中村区・熱田区の低地エリアなど、市内西部・南部の沖積地は特に注意が必要です。
液状化のリスクは、独立したハザードマップとしてではなく、名古屋市の「地震ハザードマップ(液状化危険度分布図)」で確認する形になります。
物件購入前には、地震ハザードマップとあわせて液状化危険度も必ず確認することをおすすめします。
台地・丘陵地エリアであっても、谷を埋め立てた造成地では液状化リスクが相対的に高まる場合があるため、地形だけで判断せず、必ず地盤データを個別に確認してください。
地形の高低差は水害リスクの目安になりますが、地震の揺れやすさ(震度)は地形だけで単純に決まるものではありません。
地盤の硬さ・軟らかさによって、同じ震源からの揺れでも被害の程度が変わることが知られています。
名古屋市は約34,600本のボーリングデータを用いて地盤データを作成し、有識者の意見を踏まえて震度分布を算出しています。
名古屋市の地震ハザードマップでは、南海トラフ地震を想定した震度予測・地域の危険度分布が公開されており、区や町丁目単位で確認できます。
名古屋市は南海トラフ地震について、複数の地震パターンを想定した被害予測調査を実施し、震度分布・津波高等を公表しています。
想定では名古屋市域の広い範囲で最大震度6強程度の強い揺れが見込まれており、港区など沿岸部では津波の到達も想定されています。
ご自宅付近の具体的な想定震度・津波の高さは、必ず「震度分布・津波高等」のページまたは「津波ハザードマップ」で確認してください。
地震では、揺れによる建物倒壊だけでなく、火災の延焼リスクにも注意が必要です。
特に名古屋駅周辺の一部エリアには、道路が狭く木造住宅が密集した地域が残っており、老朽化した住宅が多い場所では消火活動が困難になりやすく、延焼リスクが高くなる傾向があります。
倒壊・津波のリスクが比較的低いとされるエリアでも、木造住宅密集地域については別途注意が必要です。
物件そのものの耐震性も重要な要素です。
1981年(昭和56年)6月以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」に基づいており、それ以前の「旧耐震基準」の建物と比べて耐震性が高いとされています。
中古物件を検討する際は、建築確認日・耐震診断の有無・耐震改修の履歴を必ず確認することをおすすめします。
木造戸建てを検討する場合は、1981年6月以降の新耐震基準だけでなく、接合部や壁配置などの規定が強化された2000年6月前後も確認の目安になります。
国土交通省は、熊本地震において1981年以降の新耐震基準の木造住宅のうち、こうした規定が明確化される2000年より前に建てられた住宅にも倒壊被害が見られたと説明しています。
1981年6月から2000年5月までに建てられた木造住宅を検討する際は、耐震診断・接合部・壁の配置・基礎の状態もあわせて確認することをおすすめします。
物件を選ぶ際は、あわせて避難所の仕組みも理解しておくと安心です。
名古屋市では「指定緊急避難場所」(命を守るため、災害の危険からまず逃げるための場所で、災害の種類ごとに異なります)と「指定避難所」(自宅が被災して帰宅できない場合に一定期間避難生活を送る場所)が区別して指定されています。
これは東日本大震災で避難場所に津波が到達した教訓を踏まえたもので、平成29年3月に名古屋市が指定を行いました。
指定緊急避難場所・指定避難所は、お住まいの行政区・学区にかかわらず、どなたでも最寄りの施設に避難できます。
沿岸部には「津波避難ビル」も指定されており、港区など低地エリアの物件検討時には、最寄りの津波避難ビルの位置も確認しておくとよいでしょう。
実際に物件を検討する際、私たちが仲介の現場でおすすめしている確認ステップを、チェックリストとしてまとめました。
対象住所に該当するハザードマップをすべて確認する
洪水・内水氾濫・高潮・地震・津波・ため池氾濫のうち、対象地域に公開されている災害種別を確認します。
すべての区・住所に6種類すべてが該当するわけではないため、対象地域のハザードマップ一覧でご確認ください。
ひとつの災害種別だけで判断しないことが重要です。
ヒストリカルハザードマップで土地の成り立ちを確認する
明治・大正・昭和の古地図と現在の地図を重ねて、その土地がもともと田んぼ・池・沼地だったかどうかを確認します。
造成地の場合は、盛土・切土の情報も可能な範囲で確認しましょう。
避難場所・避難経路を実際に歩いて確認する
地図上の距離だけでなく、実際に歩いてみて坂道の有無・冠水しやすい道路・橋の位置などを確認することをおすすめします。
建物の耐震性・浸水対策仕様を確認する
新耐震基準(1981年6月以降)かどうか、耐震診断・耐震改修の履歴、低地であれば止水板や高床構造などの浸水対策仕様の有無を確認します。
「わが家のマイ・タイムライン」を作成しておく
名古屋市が提供する「わが家のマイ・タイムライン」を使い、災害時の避難行動を時系列で家族と話し合っておくことも、購入検討と並行して進めておきたいステップです。
学区の自主防災組織の活動状況を確認する
名古屋市では小学校区ごとに自主防災組織の地区本部が置かれ、避難所運営や防災訓練を学区単位で行う体制が整っています。
「なごや市民総ぐるみ防災訓練」への参加状況など、地域の防災活動の活発さも、内見時に自治会や近隣住民に聞いてみる価値のある情報です。
丘陵地では土砂災害警戒区域・大規模盛土造成地・擁壁を確認する
台地や丘陵地でも、急傾斜地・谷埋め盛土・古い擁壁などは別のリスクがあります。
愛知県の土砂災害警戒区域の指定状況と、名古屋市の大規模盛土造成地マップをあわせて確認し、現地では擁壁のひび割れ・膨らみ・排水状況も確認することをおすすめします。
「防災を最優先するなら、絶対に台地・丘陵地エリアを選ぶべきですか」というご質問もよくいただきます。
正直にお伝えすると、これは「絶対にそうすべき」という単純な話ではありません。
台地・丘陵地エリアは地価が高めで、同じ予算では住宅の広さや駅からの距離で妥協が必要になることがあります。
一方、低地エリアであっても、盛土された新しい造成地・耐水害住宅仕様・上層階のマンションなど、対策を講じることでリスクを軽減できる選択肢は存在します。
「絶対に安全な場所」を探すのではなく、「自分たちが許容できるリスクの範囲」を家族で話し合い、その範囲内で予算・通勤・学区といった他の条件とバランスを取ることが、現実的な住まい選びの考え方です。
私たちが仲介の現場で感じるのは、「防災」を条件のひとつとして明確に持つご家庭ほど、後悔の少ない住まい選びができているという傾向です。
「なんとなく気に入ったから」ではなく、「ハザードマップを見た上で選んだから」という納得感が、購入後の安心につながっています。
ハザードマップに表れない「地域の防災力」も、隠れた判断材料です。
名古屋市では昭和34年の伊勢湾台風を契機とした「災害対策基本法」に基づき、小学校区ごとに自主防災組織の「地区本部」が置かれ、避難所運営・防災訓練を学区単位で行う体制が整っています。
「なごや市民総ぐるみ防災訓練」への参加状況など、地域の防災活動の活発さは内見時に自治会・近隣住民へ尋ねてみる価値のある情報です。
Q. 名古屋市で「絶対に安全な区」はどこですか?
A. 「絶対に安全」と言い切れる区は存在しません。
東部丘陵地・中央部台地に位置する区は水害リスクが相対的に低い傾向がありますが、区内にも低地・急斜面が点在します。
必ず検討している物件の住所で「なごやハザードマップ」を個別に確認してください。
Q. 低地エリアの物件は避けるべきですか?
A. 一律に避けるべきとは言えません。
低地エリアは地価が比較的手が届きやすく、盛土された新しい造成地や浸水対策仕様の住宅など、リスクを軽減する選択肢もあります。
ハザードマップで浸水深・浸水継続時間を確認した上で、対策と合わせて検討することをおすすめします。
Q. マンションなら水害リスクは気にしなくていいですか?
A. 上層階であれば居室への浸水リスクは低くなりますが、1階の電気設備・エレベーター・駐車場が浸水すると、一定期間ライフラインが使えなくなる可能性があります。
マンションの場合も、建物の設備配置・非常用電源の位置などを確認することをおすすめします。
Q. 台地エリアなら地震のときも安心ですか?
A. 水害リスクが低いことと、地震に強いことは必ずしもイコールではありません。
台地エリアの中にも道路が狭く木造住宅が密集した地域があり、そうした場所では地震時の火災延焼リスクが高くなる傾向があります。
水害・地震・火災延焼など、リスクの種類ごとに個別に確認することが大切です。
Q. 液状化の可能性が「大」と表示されたら、その土地には住めませんか?
A. 名古屋市自身も「液状化の可能性が大きいからといって、絶対に液状化するとは限らない」と説明しており、あくまで傾向を示すものです。
液状化リスクが高いとされるエリアでも、地盤改良や基礎工法によって対策を講じることは可能です。
不安な場合は、地盤調査会社への相談や、建築士・不動産会社への相談を通じて具体的な対策を検討することをおすすめします。
■ この記事の要点
名古屋市の地形は東部丘陵地・中央部台地・沖積地の3つに大別される
東部丘陵地(守山・千種・名東・天白・緑区)が最も標高が高い
「区全体が安全」という単純化は避けるべき
同じ区内でも住所によってリスクが大きく異なる
対象住所に該当するハザードマップをすべて個別に確認する
洪水・内水氾濫・高潮・地震・津波・ため池氾濫
名古屋市で「防災に強い街」を探すとき、大切なのは「どの区が安全か」という発想から、「どの番地が自分たちの許容できるリスクの範囲内か」という発想に切り替えることです。
東部丘陵地・中央部台地のエリアは相対的に水害リスクが低い傾向がありますが、価格や通勤時間とのバランスも重要な検討要素です。
低地エリアであっても、ハザードマップを正しく理解し、盛土や耐水害仕様といった対策と組み合わせることで、納得のいく住まい選びは十分に可能です。
1959年の伊勢湾台風から60年以上が経ち、堤防・排水設備をはじめとする都市インフラは大きく整備が進みましたが、「低地は低地である」という地形の事実そのものは変わりません。
だからこそ、ハザードマップという客観的な情報をもとに、ご自身とご家族にとって納得できる選択をすることが、後悔のない住まい選びにつながります。
私たち愛知中央不動産では、名古屋市16区それぞれのエリア特性・学区情報とあわせて、水害・地震・液状化のハザードマップの見方についても、正直にご相談いただけます。
「防災を重視した家探しをしたい」という方は、ぜひ一度、具体的な条件をお聞かせください。
ハザードマップの読み方から一緒に確認しながら、ご家族に合ったエリア・物件を絞り込んでいきます。





