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シロアリ被害の告知は必須か?修繕履歴を整理して不動産売却の告知義務に備える

売却ブログ

橋本 侑弥

筆者 橋本 侑弥

不動産キャリア15年

宅地建物取引士  不動産業界キャリア15年。賃貸仲介を中心に、市場データ分析と広告戦略を強みとしてきました。名古屋市内の複数エリアで現場経験があり、地域の生活情報にも精通。最新のマーケティング手法を活かした客付け・売却提案を得意とします。名古屋市東区出身、昭和区在住。

築年数の古い一戸建てや、相続した実家を売却しようと考えたとき、多くの方が悩むのがシロアリ被害や修繕履歴をどこまで伝えるべきかという点です。
さらに、不動産売却の告知義務とは何か、万が一隠してしまった場合にどのようなリスクがあるのかも、専門用語が多く分かりにくいと感じるかもしれません。
しかし、ポイントを押さえて整理すれば、売主として必要な範囲をしっかり告知しつつ、無用な不安を抱えずに売却を進めることができます。
このページでは、シロアリや雨漏りなどの告知事項、修繕履歴の扱い方、そして契約不適合責任との関係まで、売主の立場から分かりやすく解説します。
自宅や相続した家を、安心して次の方へ引き継ぐための考え方と準備の手順を一緒に確認していきましょう。

シロアリや築古戸建てに関する告知義務の基本

中古住宅では、シロアリ被害や雨漏りなど、建物の状態に関する情報が買主の判断に大きく影響するため、「告知事項」として正確に伝えることが重要とされています。
国土交通省は、不動産取引では買主が知っておくべき重要な事項について説明を受ける仕組みがあると示しており、その前提として売主からの情報提供が欠かせません。
また、不動産流通推進センターなどの資料でも、過去に発生した雨漏りや修繕済みの不具合が、場合によっては説明すべき重要事項になり得る点が整理されています。
このように、築古戸建てでは経年劣化を前提としつつも、買主の検討に影響する不具合は告知が求められると理解しておくことが大切です。

さらに、シロアリ被害や雨漏りは、建物の耐久性や将来の修繕費用に直結するため、購入するかどうか、いくらで購入するかという判断に強く関わります。
東京都住宅政策本部の解説では、雨漏りの有無が契約内容と異なる場合には「契約不適合」に当たるとされており、単なる不具合ではなく法的な問題にも発展し得ると整理されています。
また、シロアリの痕跡についても、不動産適正取引推進機構が紹介する裁判例では、中古住宅では多少の損傷は想定されるものの、状況によってはトラブルの原因となることが示されています。
築古戸建てや相続した実家を売却する場合には、「どの程度なら説明が必要か」を事前に整理しておくことが、後々の紛争予防につながります。

また、2020年4月1日の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は廃止され、「契約不適合責任」に一本化されました。
この改正により、売主は単に現状の建物を引き渡せばよいのではなく、「契約の内容に適合した状態」で引き渡す義務を負うと整理され、不動産売買契約でも契約書の記載や当事者の認識がより重視されるようになりました。
東京都住宅政策本部も、引き渡された建物が種類や品質の点で契約内容と異なる場合は「契約不適合」として売主の責任が問題になると説明しており、雨漏り等の不具合が典型例として挙げられています。
したがって、築古戸建ての売却では、契約書で約束する内容と実際の建物状態とのずれをできる限り無くすことが、売主にとっても重要になっています。

項目 内容 売主が意識したい点
告知事項 シロアリ被害や雨漏りの有無 買主の判断に影響する事実の整理
契約不適合責任 契約内容と異なる状態の建物 契約書記載と実際の状態の確認
築古戸建て売却 経年劣化前提の中古住宅取引 過去の不具合や修繕内容の把握

シロアリ被害の告知範囲と「どこまで伝えるか」の考え方

シロアリ被害は、建物の安全性や耐久性に直結する物理的瑕疵として扱われるため、売主は買主の判断に影響する範囲で、知っている事実を正確に伝える必要があります。
国土交通省や不動産関連団体が示す様式でも、現在の被害だけでなく、過去の被害や駆除・修繕の有無まで区別して記載する形式が採用されています。
そのため、築古戸建てや相続した実家を売却する際には、「いつ・どこに・どの程度の被害があり、どのような対処をしたのか」を整理しておくことが重要になります。
売主が把握している情報を丁寧にまとめておけば、契約不適合責任をめぐるトラブルを減らすことにもつながります。

まず、売却前に手元の資料や記憶を整理し、過去のシロアリ被害や駆除歴、点検の結果を洗い出すことが大切です。
一般財団法人不動産適正取引推進機構の物件状況報告書の参考様式でも、「現在まで被害を発見していない」「過去に害があった」「現在被害がある」といった区分に加え、駆除や予防工事の実施時期を記載する構成になっています。
売主としては、このような区分を意識しながら、被害の有無だけでなく、シロアリ予防工事や駆除工事の実施時期、被害箇所の修繕歴を整理して告知書に反映させていくことが望ましいです。
不明確な点をあいまいな表現で済ませると、後日のトラブルにつながるおそれがあるため、分かる範囲の事実を具体的に書き分ける姿勢が求められます。

次に、「現に被害がある場合」と「過去に被害があり修繕済みの場合」では、告知内容とリスクの捉え方が異なります。
現在も構造部材に影響するようなシロアリ被害が残っている場合は、居住に支障を来す重大な契約不適合になり得るため、被害の状況と引渡しまでに行う修繕・駆除の予定を明確に説明する必要があります。
一方、過去に被害があり、専門業者による駆除と被害箇所の修繕が完了している場合でも、その事実自体は買主の判断に影響するため、「何年頃に被害があり、どのような工事を行ったか」を告知するのが実務上一般的です。
中古住宅では多少の損傷は想定されるとする裁判例もありますが、売主が把握している被害や修繕の履歴を伝えておくことで、買主の過度な期待や誤解を防ぎやすくなります。

相続した実家などでシロアリの履歴が分からない場合には、そのまま放置せず、できる範囲で事実確認を進めることが大切です。
具体的には、過去の工事請求書や保証書の有無を家族に確認したり、床下や基礎周りの状況について専門業者の点検を受けたりする方法があります。
それでも過去の被害や工事履歴が確認できない場合には、物件状況報告書などで「売主として把握していない」「不明」と記載しつつ、行った範囲の点検結果を併記する対応が考えられます。
このように、知っている事実はできるだけ具体的に書き、不明な点は無理に断定せず「不明」と明示しておくことが、後日の紛争を避けるうえで重要になります。

項目 具体的な確認内容 告知時の基本方針
過去の被害・工事 被害時期と駆除・修繕内容 分かる範囲を時期と内容で記載
現在の被害状況 被害箇所と生活への影響 被害の有無と引渡し時の状態を明示
履歴が不明な場合 家族への聞き取りと点検結果 確認した事実と「不明」である旨を記載

修繕履歴の告知義務と築古戸建て売却で重視されるポイント

雨漏り補修やシロアリ駆除などの修繕履歴は、中古住宅の安全性や耐久性を判断するうえで重要な情報です。
国土交通省のガイドラインでも、過去の修繕履歴は買主の判断材料となる住宅の履歴情報の一部として位置付けられています。
また、実務上は売主が把握している修繕内容を物件状況報告書や告知書で開示することで、買主の不安が和らぎ、売買条件の合意がスムーズになりやすいとされています。

物件状況報告書や告知書では、雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障など、生活に支障を及ぼし得る不具合と、その修繕の有無や時期が主な確認項目となります。
記載にあたっては、実際に行った修繕の時期と内容を、思い出せる範囲で具体的に書き分けることが大切です。
一方で、売主自身が知らない隠れた不具合についてまで、事実と異なる推測を書く必要はなく、分からない事項はその旨を正直に記載する姿勢が求められます。

修繕履歴を整理しておくことは、売却後のトラブル予防と価格交渉の双方に役立ちます。
不動産適正取引推進機構などでも、過去の不具合や修繕内容を物件状況報告書に記載して説明することが、紛争防止に有効とされています。
また、雨漏り補修やシロアリ対策などの費用は、条件によっては譲渡費用として税務上考慮できる場合もあるため、領収書や工事明細を保管しておくと、将来の申告の際にも役立ちます。

項目 重視される理由 記録のポイント
雨漏り補修履歴 構造劣化やカビ発生の有無確認 発生日と補修内容を簡潔記録
シロアリ駆除履歴 躯体被害の範囲と再発リスク把握 施工会社名と施工年月を保存
その他主要修繕 給排水や設備の故障リスク把握 工事部位と費用の概算を保管

告知義務違反・隠蔽のリスクと安全に売却するための対策

まず押さえておきたいのは、シロアリ被害や過去の修繕歴を意図的に告げなかった場合、買主から「契約不適合責任」を問われる可能性が高まることです。
民法第566条では、目的物が契約内容に適合しない場合、買主は通知から一定期間内であれば、追完請求・代金減額・損害賠償・契約解除といった手段を選択できると定められています。
特にシロアリや構造部分の腐食は、判例でも損害賠償の対象となることが多く、修補費用だけでなく価値下落分まで負担を命じられた事例もあります。

次に、築古や相続物件の売却でよく使われる「現状有姿」や「契約不適合責任免除」の特約について整理しておくことが重要です。
現状有姿とは、基本的に現在の状態のまま引き渡すという意味であり、それだけで売主の契約不適合責任がすべて免除されるわけではありません。
実務上は、どの部分について責任を負わないのかを契約書や特約で具体的に定めた場合に限り、個人の売主であれば一定の範囲で免責特約が有効とされていますが、故意の隠蔽や重過失があると判断されれば免責が認められないおそれがあります。

こうしたリスクを避けながら安心して自宅や相続した実家を売却するには、事前準備を丁寧に行うことが大切です。
具体的には、シロアリや雨漏りなどについて点検や調査を実施し、必要に応じて修繕を行ったうえで、その内容や実施時期、業者名、費用などを資料として整理しておくと、告知内容に一貫性を持たせやすくなります。
あわせて、物件状況報告書や付帯設備表の質問項目を一つずつ確認し、「知っていることはすべて書く」「不明な点は推測で書かず、不明と明記する」という姿勢で臨むことで、後日の紛争や買主との信頼関係の悪化を防ぎやすくなります。

項目 売主に生じうるリスク 主な予防策
シロアリ被害の隠蔽 損害賠償請求・契約解除 事前点検と被害状況の詳細告知
修繕歴の不十分な説明 代金減額請求・追加工事負担 修繕内容と時期を資料で整理
現状有姿の理解不足 免責合意の無効・紛争長期化 契約書特約で責任範囲を明示

まとめ

築古戸建てや相続した実家の売却では、シロアリ被害や雨漏りなどの告知と修繕履歴の整理が欠かせません。
正直な告知は、買主の安心だけでなく、売主であるあなたを損害賠償や契約解除などのトラブルから守る大切な盾になります。
「どこまで伝えればよいか」「履歴が不明な部分をどう扱うか」は、専門家と一緒に整理することで、リスクを抑えつつスムーズな売却が可能です。
自宅や相続した実家の売却で不安があれば、まずはお気軽にご相談ください。

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