
夏の虫とカビは「湿度」に注意 室内60%以下を目安に
季節の暮らしシリーズ|夏 第4回(最終回)
夏の虫とカビは「湿度」に注意
──家の中の湿気をコントロールする
お風呂のカビ、押し入れのにおい、突然あらわれる黒い影。 夏の住まいの悩みは別々の問題に見えますが、どれも湿度が大きく関わっています。 数字で確認しながら、家全体の湿気対策を考えます。
愛知中央不動産|住まいと暮らしのコラム
この記事でわかること
- カビ・ダニ・ゴキブリが増えやすい温度と湿度
- 家の中で湿気がたまる場所
- 場所別のカビ対策
- 虫を入れない・住まわせないための工夫
- 湿気に強い家、弱い家
数字で見る「増えやすい条件」
カビが生育しやすい相対湿度
厚生労働省資料の生育至適条件
ダニが繁殖しやすい相対湿度
温度は25〜30℃
対策の目安にしたい室内湿度
カビ・ダニ双方の抑制に有効とされる
湿度の目安(数値で見る)
| 対象 | 増えやすい相対湿度 | 対策の目安 |
|---|---|---|
| カビ | 70〜90%(生育至適条件) | 室内湿度60%以下を意識する |
| ダニ | 60〜80% | 60%以下にすると効果があるとされる |
出典:カビの生育至適条件は厚生労働省の資料(温度25〜35℃・相対湿度70〜90%)、ダニの条件は自治体の生活衛生情報(北九州市「ダニ」温度25〜30℃・湿度60〜80%、湿度60%以下にすると効果があるとされる)によります。
厚生労働省の資料では、アレルゲンとなる多くのカビの生育至適条件を 温度25〜35℃・相対湿度70〜90%としています。 ダニは温度25〜30℃・湿度60〜80%で繁殖しやすく、 湿度を60%以下にすると効果があるとされています。
※湿度60.0%を境に、急にカビやダニが増えたり減ったりするわけではありません。 カビ・ダニ対策では、湿度60%を超える状態を長く続けないことを意識しましょう。
温度の目安(数値で見る)
| 対象 | 増えやすい温度帯 | 備考 |
|---|---|---|
| カビ | 25〜35℃ | 湿度・栄養(ホコリや汚れ)・換気の状態にも左右されます |
| ダニ | 25〜30℃ | 餌(カビ・フケ・アカ)と住みか(畳・カーペット・寝具)が必要 |
| ゴキブリ | 25〜30℃ | 餌・水・隠れ場所・侵入経路も大きく関係します |
出典:カビは厚生労働省の資料(生育至適条件 温度25〜35℃)、ダニは北九州市の生活衛生情報(温度25〜30℃)、ゴキブリは自治体・専門団体の公表情報をもとに整理した目安です。
温度で見ても、カビ・ダニ・ゴキブリはそろって25〜30℃前後を含む範囲で増えやすくなります。 これは日本の夏そのものです。
ただし、増える条件は湿度と温度だけではありません。 カビは栄養(ホコリや汚れ)や換気の状態にも左右されますし、 ダニには餌(カビ・フケ・アカ)と住みか(畳・カーペット・寝具)が必要です。 ゴキブリはさらに餌・水・隠れ場所・侵入経路が大きく関係します。 温度を下げるのには限界があるので、湿度を管理しつつ、餌と住みかを減らす——この2本立てで考えます。
まずは温湿度計を1台。できれば複数の部屋で測ってみてください
対策の話をする前に、これがいちばん確実です。温湿度計は比較的手頃な価格で購入できます。 リビング・寝室・脱衣所などで場所を変えて測る、または複数台設置すると、 湿気がたまりやすい場所を把握しやすくなります。 数字が見えると、「なんとなく除湿」から「必要なときに除湿」に変わり、電気代のムダも減ります。
家の中で、湿気はここにたまる

湿気は「空気が動かない場所」「冷たい面」にたまりやすくなります。次の場所を順番に見てみてください。
- 浴室・脱衣所──住宅内でも代表的な湿気発生場所です。天井の隅は見落とされがちです
- 押し入れ・クローゼットの奥と床──布団や衣類が壁にぴったり付いていると、そこだけ空気が動きにくくなります
- 家具の裏(特に北側の外壁面)──壁から少し離して、空気の通り道を確保できているか
- キッチンのシンク下──配管まわりは湿気と虫、両方の通り道です
- 窓まわり・サッシの下枠──夏でも冷房で結露することがあります
- 洗濯物の部屋干し──衣類の水分がそのまま室内の湿度になります
- エアコン内部──冷房後は内部が濡れています。内部にカビが発生すると、カビ臭や室内空気の汚れにつながることがあります
場所別・カビを防ぐ実践法

浴室
- 入浴後に冷水を壁と床にかけて温度を下げる。ただし水滴を残さず、拭き取りと換気・乾燥までセットで行うことが大切です
- 水滴をスクイジーやタオルで拭き取る──1分程度の手間で効果があります
- 換気の運転方法は、設備の種類と取扱説明書に従う──住宅の24時間換気を兼ねる設備は連続運転が基本です。単独の浴室換気扇の場合は、機種ごとの推奨運転時間(入浴後に数時間〜一晩など)を取扱説明書でご確認ください
- 換気扇を使うときは窓・扉の扱いを取扱説明書で確認──窓や扉を開けたままだと給排気の経路が崩れ、浴室全体を効率よく換気できない場合があります
押し入れ・クローゼット
- 晴れた日に扉を開けて数時間、風を通す。扇風機を向けるとさらに効果的です
- 床にすのこを敷き、壁から少し離して空気の通り道をつくる(目安として数cm程度)
- 詰め込みすぎず、空気の通り道を確保する
- 除湿剤は製品の使用方法に沿って設置してください
エアコン
- 内部クリーン(内部乾燥)機能がある場合は活用してください。運転方法や時間は機種によって異なるため、取扱説明書をご確認ください。冷房停止後に自動で送風・乾燥を行う機種もあります
- フィルターは2週間に1回程度の掃除がメーカーの推奨例です。カビ臭さは節電の敵でもあります(第2回参照)
- すでにカビ臭い場合、市販スプレーでは奥まで届きません。分解洗浄(プロのクリーニング)を検討してください
部屋干しのとき
- エアコンの除湿+サーキュレーターは効果的な組み合わせです。除湿しながら空気を循環させることで乾きやすくなります
- 干す場所は、部屋の真ん中・エアコンの風が当たる位置に
- 浴室乾燥機があるなら、湿気を1室に閉じ込められるので有利です
虫を「入れない・住まわせない」

ゴキブリは20℃を超えると活動的になり、25〜30℃で活発になります。 そして「水・餌・隠れ場所」がそろう場所に居つきます。 逆にいえば、水・餌・隠れ場所を減らすほど、生息しにくい環境になります。
入れない
- 排水口・排水トラップの水を切らさない──封水が切れると侵入経路になり得ます。長期不在の前は水を流しておき、長期不在時には封水切れにも注意してください
- エアコンのドレンホースの先に、対応する防虫キャップ等を使用する──※目詰まりすると排水不良につながるため、定期的に確認してください
- 換気口は塞がない──24時間換気の給気口を独自の網などで塞ぐと、必要な換気量を確保できなくなるおそれがあります。対応する純正・適合フィルターを使用してください
- 玄関・窓の網戸の破れとサッシのすき間を点検する
- 段ボールは家に持ち込まない──卵が付いていることがあり、保温・保湿材にもなります
住まわせない
- シンク・洗面台の水気を夜のうちに拭き取る
- 生ゴミはふた付き容器へ。ペットフードは出しっぱなしにしない
- 冷蔵庫の下、コンロの脇の油汚れを落とす
- ベイト剤(毒えさ)を、シンク下・冷蔵庫の裏・洗面台の下に少量ずつ複数置く。使用方法は製品表示に従ってください
- 床に物を直置きしない──隠れ場所をつくらない
羽アリを見かけたら、放置しないでください
春から初夏(おおむね4〜7月ごろ)に家のまわりで羽アリの群れを見た場合、シロアリの可能性があります。 ただし群飛の時期はシロアリの種類によって異なりますので、時期だけで判断せず、実物を確認してもらうのが確実です。
シロアリの被害は床下で静かに進み、気づいたときには構造材が傷んでいることも少なくありません。 浴室まわり、玄関まわり、雨どいの下など湿気が多い場所が狙われやすいポイントです。 床がきしむ、蟻道(土のトンネル)が基礎に見える、といったサインがあれば、早めに専門業者の点検を。 シロアリ防除に用いられる認定薬剤は、効果の目安がおおむね5年とされています。
【住まい選びの視点】湿気に強い家、弱い家

カビや虫の出やすさは、住む人の生活習慣だけでなく、建物と土地の条件にも大きく左右されます。 内見のときは、次の点を見てみてください。
- においを確かめる──玄関を入った瞬間のカビ臭さ、押し入れを開けたときのにおいは、目に見えない問題のサインです
- 床下換気の方式──床下換気口や基礎パッキンなど、どのように床下の通気を確保しているかを確認。換気口がある場合はふさがれていないか、物が置かれていないかもあわせて見ておきます
- 敷地の水はけと日当たり──北側で日が入らず、常に地面が湿っている敷地は要注意
- 24時間換気システムの有無と作動状況──2003年7月に施行されたシックハウス対策以降、住宅を含む居室のある建築物では原則として機械換気設備の設置が義務化されています(住宅では原則0.5回/時以上)。スイッチが切られていないか確認を
- 浴室の換気方式──窓のみか、換気扇か、浴室暖房乾燥機があるか
- 換気経路が確保されているか──窓だけでなく、給気口・ドア下部のすき間・換気扇など、空気の入口と出口を確認
- マンションなら北側の壁と、角部屋の外壁面──結露跡やクロスの浮きがないか
- 過去のシロアリ・雨漏りの履歴──売主・管理会社に確認できます
シリーズを通してお伝えしたかったこと
熱中症も、電気代も、水害も、カビや虫も、「家がどうつくられているか」が大きく関係しています。 暮らし方の工夫でできることはたくさんありますが、家そのものが持つ性能は、暮らし始めてからでは変えにくい部分です。 だからこそ、住まいを選ぶ段階で見ておくべきポイントがあります。 私たちは、間取りや価格だけでなく、そこで過ごす夏がどうなるかまで含めてご提案したいと考えています。
住まいのことは、地元の私たちに。
「季節の暮らしシリーズ・夏」は今回で最終回です。お読みいただきありがとうございました。
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季節の暮らしシリーズ|夏(全4回)
- 第1回:熱中症は「家にいれば安心」ではない
- 第2回:エアコンと電気代のリアル
- 第3回:台風・豪雨から家と家族を守る
- 第4回:夏の虫とカビは「湿度」に注意(この記事)
