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フロアタイルとクッションフロアの違いは?費用・特徴・場所別の選び方を比較

リフォーム

橋本 侑弥

筆者 橋本 侑弥

不動産キャリア15年

不動産業界歴15年。賃貸仲介を中心に、市場データ分析と広告戦略を強みとしてきました。名古屋市内の複数エリアで現場経験があり、地域の生活情報にも精通。最新のマーケティング手法を活かした客付け・売却提案を得意とします。名古屋市東区出身、昭和区在住。

フロアタイルとクッションフロア、どちらを選ぶ?

古くなったフローリングの張り替え。居室・水まわり・廊下で、正解は変わります。

この記事でわかること

古いフローリングを張り替えると、部屋の印象がどう変わるのか。LDK・洗面室・廊下の施工前と施工後を見比べられます。さらに同じ洗面室・同じ廊下で、フロアタイルとクッションフロアを貼り分けた画像を並べ、フローリングを含む3つの床材の構造・費用・向き不向きまで一通りわかります。

費用・工期の目安

費用

約4〜11万円/6畳

重ね張り。床材のグレードで変動

工期

半日〜1

1部屋・家具の移動を除く

分譲マンションでは、採用する商品が管理規約の遮音等級に適合するかの確認が必須です(第11章)。

築20年を超えたお住まいで、いちばん先に「古さ」が出るのがです。壁紙は白いままでも、床が黄ばんで白くささくれていると、部屋全体が古く見えます。

床の張り替えでよく出てくるのが、フロアタイルクッションフロアという2つの選択肢。どちらも塩化ビニル製で、既存のフローリングの上から貼れます。ただし性格はまったく違い、場所を間違えると数年で後悔します

この記事では、同じ洗面室・同じ廊下で、フロアタイルを貼った場合とクッションフロアを貼った場合を並べて比較します。そのうえで、フローリングも含めた3つの床材の構造、費用、そしてどこに何を選ぶべきかを、はっきり結論としてお伝えします。

目次

1. 古いフローリングに、何が起きているのか 2. 3つの床材の構造と特性を知る 3. 【一覧比較】どこがどう違うのか 4. 【ビフォーアフター】LDKをフロアタイルで張り替える 5. 【見比べ】洗面室|フロアタイル vs クッションフロア 6. 【見比べ】廊下|フロアタイル vs クッションフロア 7. 結論:居室はフロアタイル、水まわりはクッションフロア 8. 木目だけではない——モルタル調・石目調という選択 9. 「重ね張り」と「張り替え」、どちらを選ぶか 10. 費用と工期の目安 11. 分譲マンションで必ず確認すること 12. よくある後悔・よくある質問とまとめ
1. 古いフローリングに、何が起きているのか

施工前フローリング廊下

▲ 築年数の経った廊下。歩く動線に沿って、表面が白くかすれている。

上の写真のように、床が白くかすれて見える状態。これは汚れではありません。表面の化粧材が摩耗して、下地が透けている状態です。

日本の住宅で使われている床材の多くは複合フローリング(合板フローリング)です。合板などの基材に、天然木の化粧材を貼った構造をしています。ここで押さえておきたいのが、化粧材の厚みには何段階もあるということです。ナイフでスライスした突き板は0.3〜0.5mm程度、のこぎりで挽き出した挽き板は2〜3mm程度。ほかに、木目を印刷したシートを貼った商品もあります。

住宅で広く使われてきたのは、このうち薄い突き板やシートのタイプです。だから、椅子の脚が擦れる場所、掃除機をかける動線、日が当たる窓際から順に薄くなっていきます。そして一度めくれてしまうと、ワックスを塗っても元には戻りません。厚い挽き板や無垢材であれば研磨して再生できる場合もありますが、薄い突き板やシートのフローリングは、削り直しによる再生が難しいのです。

白化・かすれ

化粧材の摩耗。掃除では戻りません。動線に沿って帯状に出るのが特徴です。

めくれ・浮き

継ぎ目から水が入ると、合板が膨れて表面が剥がれます。水まわりに多い症状です。

きしみ・沈み

下地(根太や合板)側の問題であることも。この場合は上から貼るだけでは解決しません。

先に確認すべきこと:白化やかすれ「だけ」なら、上から貼るだけで解決します。しかし踏むと沈む・きしむ・部分的にブヨブヨするという症状があるときは、下地そのものが傷んでいる可能性があります。この場合、上から貼っても数年で同じ症状が出ます。まずは原因の切り分けが必要です。

2. 3つの床材の構造と特性を知る

選択肢を比べる前に、それぞれが「何でできているか」を押さえておくと、後の判断が早くなります。床材の性格は、ほぼ構造で決まるからです。

① フローリング——木でできた床

木材そのもの、または木材を加工した床材です。大きく2種類あります。

複合フローリング(合板フローリング)

合板を重ねた基材に、薄い化粧材を貼ったもの。厚みは12mm前後が主流です。現在の住宅で最も多く使われています。反りにくく安価な一方、表面の化粧材が薄いため、摩耗すると復旧できません。

無垢フローリング

1枚の木から切り出した床材。削り直して再生できる、調湿する、経年で味が出る、といった強みがあります。一方で湿度による伸縮があり、隙間や反りが出ることも。価格も高く、水まわりには向きません。

要点:足ざわりと質感は本物。ただし水に弱く、厚みがあるぶん工事も大がかりになります。既存がフローリングで、質感を保ちたい場合の選択肢です。

② フロアタイル——硬い塩ビのタイル

塩化ビニル製の、板状・タイル状の床材です。クリア層・プリント層・基材という層構造で、厚みは約2.5〜3mm。1枚ずつ床に接着していきます。

最大の特徴は硬さです。発泡層を持たないため、椅子の脚や家具の重みで凹みにくいのが特徴。メーカーも「少々の衝撃や摩擦ではキズがつきにくい」と説明しています。土足対応の商品もあり、店舗の床にも使われます。表面には木目の導管や石の凹凸まで再現されており、少し離れて見ると本物と見分けがつきません。

そしてもうひとつ、住宅で効いてくるのが1枚単位で交換できるという点です。一部にへこみ傷や焦げができても、その1枚だけを剥がして貼り替えられます。

要点:傷と凹みに強く、質感が良い。素材そのものは水や油を弾くため、メーカーもキッチンや脱衣所での施工例を掲載しています。ただしタイル状であるぶん継ぎ目(目地)が入るので、水が残ったままになりやすい場所では扱いに注意が必要です。硬いので、冬は冷たく感じます。

③ クッションフロア——柔らかい塩ビのシート

同じ塩化ビニル製ですが、こちらはロール状のシートです。クリア層・プリント層・発泡層・不織布の4層構造で、厚みは住宅用で約1.8mm。衝撃吸収タイプや土足対応タイプでは2.3〜3.5mm程度のものもあります。

名前のとおり中間に発泡層(クッション)があるため、踏むと少し沈みます。この柔らかさが、立ち仕事の多いキッチンで効いてきます。

水まわりでの強さは、柔らかさではなく「シートである」という形状から来ています。幅1.8m前後のロールで敷けるため、狭い部屋なら継ぎ目をつくらずに仕上げられます。洗面室やトイレのように床に水が落ちる場所では、この継ぎ目の少なさが効いてきます。なお、部屋の幅が広ければクッションフロアにも継ぎ目は入ります。

要点:継ぎ目を減らしやすく、価格も最も抑えられる。ただし柔らかいぶん、家具の脚跡が付きます。柄は印刷なので質感も平面的で、明るい光の下では「シートらしさ」が見えます。

3. 【一覧比較】どこがどう違うのか
比較項目 複合フローリング フロアタイル クッションフロア
素材合板+木の化粧材塩化ビニル(硬質)塩化ビニル(発泡層あり)
厚み約12mm約2.5〜3mm約1.8〜3.5mm
形状板(サネで連結)タイル・板状ロールシート
㎡単価(材工)7,000〜15,000円5,000〜8,000円3,500〜5,000円
耐水性△ 継ぎ目から浸みる○ 素材は水を弾く。継ぎ目は要注意◎ 継ぎ目を減らしやすい
傷・凹みへの強さ△ 表面が薄い◎ 土足対応品もある△ 家具跡が残る
質感・高級感◎ 本物の木○ 凹凸まで再現△ 平面的に見える
足ざわり○ あたたかい△ 硬く、冬は冷たい○ 柔らかい
部分的な補修× 難しい◎ 1枚単位で交換可× 面ごとの張り替え
工期(6畳)1〜2日半日〜1日半日
向いている場所居室(質感を優先するとき)居室・廊下・玄関洗面室・トイレ・キッチン

※◎○△×および費用は、記事末尾の出典および弊社が取り扱った工事をもとにした目安です。商品グレードにより性能は変わります。

現場から:この2つの違いは、2つの軸から来ています。ひとつは硬さ——フロアタイルは硬いので傷や凹みに強く、そのぶん硬く、冬は冷たい。もうひとつは形状——フロアタイルはタイル状なので継ぎ目(目地)が入り、クッションフロアはロールシートなので継ぎ目を減らせます。硬さと継ぎ目の有無は、別々の話です。クッションフロアでも部屋の幅によっては継ぎ目が入りますし、フロアタイルの素材そのものは水を弾きます。どちらが優れているというより、性格が違う。だから場所で使い分けます。

4. 【ビフォーアフター】LDKをフロアタイルで張り替える

※以下は、床材による見え方の違いを分かりやすくするためのイメージです。実際の仕上がりは、商品・照明・窓の向き・撮影条件によって異なります。

施工前LDK

▲ 施工前。赤みの強い茶色のフローリング。表面が白くかすれ、光を受けてムラが目立つ。


LDKフロアタイル施工後

▲ 施工後。グレージュの木目調フロアタイルに変更。壁もカーテンも建具もそのままだが、部屋の広さと明るさの印象が変わる。

壁紙も建具も、窓もそのままです。変えたのは床だけ。それでも、部屋の印象は大きく動きます。

理由は面積です。床は、部屋のなかで壁1面よりも大きな面積を占めます。しかも視線が自然に落ちる場所なので、明るさの印象に直結します。赤みの強い茶色から、彩度を落としたグレージュに変えるだけで、同じ広さの部屋が広く見えるのはこのためです。

なお、この工事は既存のフローリングの上から重ね張りしています。撤去も廃材処分もないため、費用と工期を抑えられます。厚みは3mm程度なので、多くの場合ドアもそのまま使えます(第9章で詳述)。

現場から:売却前・賃貸募集前のご相談で、いちばん費用対効果が高いのが床の重ね張りです。写真の印象が変わるので、内見前の反応が違います。壁紙の張り替えと同時に行うと、職人の出張が1回で済むぶん割安になります。

5. 【見比べ】洗面室|フロアタイル vs クッションフロア

ここからが本題です。まったく同じ洗面室に、フロアタイルを貼った場合とクッションフロアを貼った場合を並べます。色も明るさもほとんど同じに揃えてありますので、違いは素材そのものです。

洗面室、施工前フローリング

▲ 施工前。洗面台と洗濯機の間の動線に沿って、表面が傷んでいる。


洗面所、フロアタイル施工後

▲ フロアタイル。板の1枚1枚に目地が入り、木の板が並んでいるように見える。質感は本物に近い。


洗面所クッションフロア施工後

▲ クッションフロア。継ぎ目がほとんど見えず、一枚の面としてつながっている。

写真で見比べると、質感はフロアタイルのほうが明らかに上です。木の板が実際に並んでいるように見え、目地の陰影が奥行きをつくります。

まず前提として、フロアタイルも洗面室に使えます。素材である塩化ビニルそのものは水や油を弾き、メーカーも脱衣所や水まわりの施工例を掲載しています。洗面室にフロアタイルを選ばれる方は、実際まったく珍しくありません。

そのうえで判断が分かれるのが継ぎ目です。フロアタイルはタイル状なので、貼れば必ず目地が入ります。一方クッションフロアはシートなので、洗面室くらいの広さなら継ぎ目をつくらずに敷けることがほとんどです。

洗面室の床には、洗顔時の飛沫、入浴後の足元、洗濯機まわりと、日常的に水が落ちます。こぼれた水をその都度拭く使い方なら、フロアタイルでも問題ありません。ただ、水が残ったままになりやすいご家庭では、継ぎ目の少ないシートのほうが、下地への水分侵入のリスクを抑えやすい。私たちが水まわりでクッションフロアを第一候補にしているのは、この一点です。

洗面室で見るなら フロアタイル クッションフロア
水への強さ○ 素材は水を弾く。継ぎ目は要注意◎ 継ぎ目を減らしやすい
見た目の質感◎ 本物に近い○ 十分きれい
掃除のしやすさ○ 目地に汚れが溜まる◎ さっと拭ける
洗濯機の脚跡◎ 付きにくい△ 付く(下に受け皿を)
費用(約3㎡)約3.5〜5.5万円約2.5〜4万円

洗面室の結論:どちらも使えます。当社はクッションフロアを第一候補に

どちらを選んでも、洗面室で問題なく使えます。そのうえで私たちがクッションフロアをおすすめしているのは、継ぎ目が少ないぶん、下地に水分が回るリスクを抑えやすいからです。床下地の傷みは表面から見えないまま進むので、あらかじめ回避しておく——予防的な考え方だとお受け取りください。

質感を優先してフロアタイルを選ばれる場合も、もちろん承ります。その際は割付と継ぎ目の処理をご相談させてください。なお、洗濯機の脚跡が気になる場合は、クッションフロアでも専用のかさ上げ台や受け皿を併用すれば対策できます。

6. 【見比べ】廊下|フロアタイル vs クッションフロア

同じ比較を、廊下でも行います。施工前は第1章の写真です。

▲ フロアタイル。細長い板が奥へ向かって並び、目地の線が奥行きを強調する。


廊下CF

▲ クッションフロア。継ぎ目が少なく、床面がなめらかにつながって見える。

廊下は、どちらでも成立する場所です。水がかかることは基本的にありませんし、家具も置きません。予算を優先するならクッションフロアで十分です。

そのうえで、私たちがどちらかといえばフロアタイルをおすすめする理由は3つあります。

① 通行量が多く、いちばん摩耗する場所だから

廊下は家族全員が毎日、何十回と往復します。第1章の施工前写真で最も傷んでいたのが廊下だったのは偶然ではありません。硬いフロアタイルのほうが、次に傷むまでの時間が長くなります

② 居室と見え方がつながるから

廊下からドアを開けると、居室の床が見えます。ここで質感が違うと、床が切り替わった線がはっきり出てしまいます。居室にフロアタイルを使うなら、廊下も同じ素材で揃えるほうが自然です。

③ 一部だけ傷んでも、その1枚を替えられるから

物を落として傷が付きやすいのも廊下です。フロアタイルなら、傷んだ1枚だけを交換できます。クッションフロアは面で貼るため、部分補修をすると継ぎ目が目立ちます。

ただし例外:廊下の先に洗面室やトイレの入り口があり、そこから水が持ち出される動線がある場合は、廊下もクッションフロアで揃えたほうが安全なことがあります。間取りを見て判断します。

7. 結論:居室はフロアタイル、水まわりはクッションフロア

ここまでの内容を、場所別の結論としてまとめます。迷ったら、この表のとおりで問題ありません。

場所 おすすめ 理由 注意点
LDK・洋室・寝室フロアタイル家具の重みと椅子の擦れに強い。質感が本物に近く、面積が広いほど差が出る冬は冷たい。床暖房は対応品を
廊下フロアタイル
(どちらでも可)
通行量が最も多い。居室と質感を揃えられる。1枚単位で直せる予算優先ならクッションフロアでも十分
洗面室・脱衣室クッションフロア継ぎ目が少なく、下地に水分が回るリスクを抑えやすい洗濯機の脚跡は受け皿で対策
トイレクッションフロア継ぎ目が少なく、飛沫が下地に回りにくい。掃除も楽便器の脱着が必要な場合あり
キッチンクッションフロア油と水の跳ねを面で受け止める。柔らかく、立ち仕事の負担が小さいLDK一体なら床の切り替え位置を検討
玄関ホールフロアタイル砂やヒールで傷みやすい。石目調で土間と質感を揃えられる上がり框との納まりを確認

この使い分けは、一言でいえば「水が落ちる場所か、家具が乗る場所か」という優先順位の付け方です。水が落ちるならクッションフロア、家具や人の重みがかかるならフロアタイル。どちらも両方の場所で使える建材ですが、迷ったときはこの一本の線で判断できます。

現場から:実際のご依頼でいちばん多いのが、「居室と廊下はフロアタイル、洗面室とトイレはクッションフロア」という組み合わせです。マンション1戸をまとめて張り替えても、重ね張りなら十数万円から。壁紙の張り替えと同時に進めれば、住みながらでも数日で終わります。

8. 木目だけではない——モルタル調・石目調という選択

床材といえば木目、と考えられがちですが、フロアタイルの選択肢はそれだけではありません。近年増えているのがモルタル調石目調です。

モルタル調フロアタイル

▲ モルタル調。左官で仕上げたようなムラと細かな凹凸が再現されている。木目がない分、家具の色を選ばない。


木目調フロアタイル

▲ 石目調。大判のタイルを目地を取って貼ったもの。ホテルのエントランスのような硬質な印象になる。

柄のタイプ 与える印象 向いている場所 注意点
木目調あたたかい・なじみやすい居室全般・廊下建具の色と合わせすぎない
モルタル調静か・無機質・現代的LDK・ワークスペース冷たく見えやすい。木の家具と合わせる
石目調硬質・ホテルライク玄関ホール・LDK大判は割付の計算が要る
ヘリンボーン等クラシック・作り込んだ印象LDKの一部施工手間が増え、費用も上がる

色を選ぶときのコツ:床の色は建具(ドア・枠)の色を基準に決めてください。建具を替えない前提であれば、床だけを大きく変えると浮きます。上のLDKの例でグレージュを選んでいるのも、既存の建具の色と喧嘩しない中間色だからです。迷ったら、建具より少し明るいトーンが失敗しにくい選択です。

9. 「重ね張り」と「張り替え」、どちらを選ぶか

床の工事には2つの方法があります。ここは費用が大きく変わるところなので、必ず理解しておいてください。

比較項目 重ね張り(上張り) 張り替え
やること既存の床の上に、そのまま貼る既存の床を剥がしてから貼る
費用(6畳の目安)約4〜11万円約7〜16万円
工期半日〜1日1〜3日
廃材処分費ほぼなしかかる
下地の確認できないできる(傷みも直せる)
床の高さ2〜3mm上がる変わらない
向いているケース表面の傷み・見た目だけの問題きしみ・沈み・水濡れがある

フロアタイルとクッションフロアは薄いため、重ね張りに対応した商品を使い、既存床の状態に問題がなければ、重ね張りで対応できるケースが多いです。床が上がるのは2〜3mm程度なので、ドアの下端が擦ることも通常はありません。

ただし、重ね張りできる下地の条件は商品によって異なります。既存床のワックスの状態、不陸(凹凸)、クッション性のある床かどうかによっても可否が変わるため、最終的にはメーカーの施工要領と現地確認で判断します。

ただし、次のいずれかに当てはまる場合は、重ね張りをおすすめしません

・踏むと沈む・きしむ・ブヨブヨする箇所がある
・水漏れがあった、または長く水濡れしていた形跡がある
・既存の床が浮いている・めくれている(接着が効かず、後から浮きます)
・すでに一度、重ね張りをしている
・床の高さが上がると、建具や敷居との段差が問題になる

10. 費用と工期の目安

床材別・㎡単価(材料費+施工費)

クッションフロア
3,500〜5,000円
フロアタイル
5,000〜8,000円
フローリング
(重ね張り)
7,000〜11,000円
フローリング
(張り替え)
10,000〜15,000円

同じ面積なら、クッションフロアはフロアタイルのおよそ7割、無垢や防音フローリングと比べると3分の1程度の単価に収まります。

場所 面積の目安 クッションフロア フロアタイル 工期
トイレ約1.5㎡約3〜7万円約4〜8万円半日
洗面室約3㎡約2.5〜4万円約3.5〜5.5万円半日
廊下約4㎡約2.5〜4万円約3.5〜6万円半日
6畳の洋室約10㎡約4〜7万円約6〜11万円半日〜1日
8畳の洋室約13㎡約5〜9万円約8〜14万円1日
12畳のLDK約20㎡約8〜13万円約11〜20万円1〜2日

※重ね張りの場合の目安です。材料費・施工費のほか、養生・巾木・見切り材・諸経費を含みます。面積×単価の計算より高く見えるのは、小面積ほど最低施工料金の影響が大きくなるためです。トイレは便器の脱着が必要な場合、別途およそ2〜3万円かかります。既存床の撤去や下地補修が必要な場合も別途です。

まとめて依頼すると、確実に安くなります:職人の出張費・養生・最低施工料金は、1回の工事につき1回分です。「洗面室だけ」「トイレだけ」と別々に頼むと、そのたびに発生します。住戸全体をまとめて張り替えれば、1か所あたりの単価は大きく下がります。壁紙の張り替えを同時に行う場合も同様です。複数箇所をお考えなら、必ず一度にご相談ください。

11. 分譲マンションで必ず確認すること

ここは、知らずに工事を進めると最もトラブルになりやすいところです。不動産仲介の立場からも、必ずお伝えしています。

分譲マンションの管理規約には、床材の遮音等級についての定めがあるのが一般的です。多くの場合「LL-45」「L-45」といった等級が指定されており、これを満たさない床材への変更は承認されません。

重要:床材によっては、規約の遮音基準を満たせないことがあります

一般的なフロアタイルや住宅用のクッションフロアには、管理規約が求める遮音性能が設定されていない商品も多くあります。厚みが数ミリで、遮音のためのクッション層を持たないためです。

一方で、遮音性能を持たせたシート系床材や、遮音下地材と組み合わせる工法、既存の防音フローリングに上貼りできる専用商品も存在します。つまり「フロアタイルやクッションフロアは絶対に使えない」という話ではなく、採用する商品が規約の基準を満たすかどうかを、個別に確認するということです。

特に注意が必要なのが、既存の床が「直貼りの防音フローリング」である場合です。その上から一般的な床材を重ね張りすると、もともとの遮音性能が発揮されなくなる可能性があります。

確認その1|管理規約と使用細則

遮音等級の指定があるか、工事届の提出が必要か、作業可能な曜日・時間帯の指定があるか。着工前に必ず確認します。

確認その2|二重床か、直貼りか

床下に空間がある「二重床」か、コンクリートスラブに直接貼る「直貼り」かで、取れる工法が変わります。床を叩いたときの音や、既存フローリングの裏面の仕様から判断します。

確認その3|階下への配慮

規約上問題がなくても、床が硬くなれば音の伝わり方は変わります。特に小さなお子様がいるご家庭や、階下に生活時間帯の異なる方がお住まいの場合は、遮音性能を一段上げておくほうが安心です。

確認その4|遮音等級の「新旧表記」を取り違えない

管理規約にはLL-45のような旧表記で書かれていることが多い一方、現在の商品カタログにはΔLL(Ⅰ)-4のような新しい表記(ΔL等級)が併記されています。ここで間違えやすいのが、数値を読む向きが逆だという点です。

・旧表記のLL値(LL-45など)= 数値が小さいほど高性能
・新表記のΔL等級(ΔLL(Ⅰ)-4など)= 数値が大きいほど高性能

さらに、旧LL値は空間としての性能を推定した値、ΔL等級は床材そのものの性能値であり、単純に換算することはできません。業界団体も、当面はカタログに新旧を併記するとしています。採用予定の商品が規約に適合するかどうかは、必ず管理会社・管理組合に個別に確認してください。

現場から:私たちは不動産仲介も行っているため、管理規約の読み取りから工事届の作成まで、まとめてお手伝いできます。「規約に書いてあることの意味が分からない」という段階でご相談いただいて構いません。中古マンションのご購入をご検討中で、引き渡し後にリフォームを予定されている場合は、契約前に規約を確認しておくことをおすすめします。

12. よくある後悔・よくある質問とまとめ

① 水まわりのフロアタイルで、継ぎ目に入った水を放置してしまった

フロアタイル自体は水を弾くので、水まわりに使えないわけではありません。注意したいのは、継ぎ目に入った水をそのままにする使い方のほうです。洗濯機まわりや洗面台の足元に水が残りやすいご家庭では、時間をかけて下地に水分が回ることがあります。表面はきれいなまま進むので、気づくのは踏んで沈むようになってから。水まわりでフロアタイルを選ぶなら、こまめに拭く前提で。そこに自信がなければ、クッションフロアのほうが気楽です。

② 居室にクッションフロアを選んで、家具の跡が付いた

発泡層があるため、ベッドやソファ、本棚の脚が沈み、模様替えをしたときに跡が残ります。安く仕上げたい気持ちは分かりますが、居室の場合はフロアタイルとの差額が数万円です。長く住むなら、こちらを取ったほうが結果的に得になります。

③ 部屋ごとにバラバラの床材を選んで、切り替えが目立った

場所ごとに最適な床材が違うのは事実ですが、色調まで変える必要はありません。素材が変わっても色のトーンを揃えておけば、見切り材の位置で自然につながります。使い分けるときこそ、色は揃えてください。

④ 安いグレードを選んで、木目が「印刷」に見えた

同じフロアタイルでも、グレードによって表面の凹凸(エンボス)の作り込みが違います。上位グレードは木目の導管に合わせて凹凸が入っており、光を当てたときの見え方がまったく違う。㎡あたり1,000〜2,000円の差なので、6畳なら1〜2万円。ここは削らないほうがいい部分です。

⑤ マンションの管理規約を確認していなかった

工事後に指摘され、やり直しになった例があります。第11章のとおり、着工前の確認が必須です。

Q今あるフローリングの上から貼れますか?

A既存の床がしっかりしていれば可能です。ただし、めくれ・浮き・きしみ・沈みがある場合は、上から貼っても同じ症状が再発します。この判断は現地を見ないとできませんので、お見積り前に必ず拝見させていただきます。

Q重ね張りすると、ドアが開かなくなりませんか?

A上がるのは2〜3mm程度なので、多くの場合そのまま使えます。ただし、もともと床とドアの隙間が狭い場合や、敷居との段差が小さい場合は、建具の下端を削って調整します。この作業が必要かどうかは、事前の現地調査で判断してお見積りに入れます。

Q床暖房の上にも貼れますか?

A床暖房対応と明記された商品を選ぶ必要があります。対応品でないものを貼ると、熱で反りや隙間、変色が出ることがあります。フロアタイル・クッションフロアともに対応商品がありますので、床暖房のあるお部屋は必ず事前にお知らせください。

Qペットがいる場合は、どちらがよいですか?

A爪による傷を考えるとフロアタイル、粗相のことを考えるとクッションフロア、という悩ましい関係になります。判断の軸は「滑りにくさ」です。ツルツルした床は犬の足腰に負担がかかるため、どちらを選ぶ場合もペット対応・防滑仕様の商品からお選びください。

QDIYでもできますか?

AどちらもDIY自体は可能で、特にクッションフロアは比較的やさしい部類です。難しいのは型取りで、便器・洗面台・柱の角といった複雑な形に合わせて切り出す作業に技術が要ります。また、既存床が重ね張りに耐えるかどうかの判断は、DIYで最も失敗しやすい部分です。仕上がりを重視されるなら、施工をご検討ください。

Q売却前・賃貸募集前に張り替える価値はありますか?

A物件写真と内見時の印象は、確実に良くなります。床は面積が大きく、傷みが写真に写りやすい部分だからです。ただし、かけた費用がそのまま価格に上乗せされるわけではありません。費用対効果を事前に一緒に検証すること、そして好みの分かれない中間色を選ぶことをおすすめします。仲介と工事の両方を承っているため、この試算からご相談いただけます。

床材選びは、突き詰めると「水が落ちる場所か、家具が乗る場所か」という1つの問いに集約されます。水が落ちるならクッションフロア、重みと擦れがかかるならフロアタイル。廊下のようにどちらでもない場所は、通行量と居室とのつながりを見てフロアタイルを選ぶ——これが私たちの基本方針です。

そして忘れてはいけないのが、床は表面だけの問題ではないということ。踏んで沈む、きしむといった症状があるときは、上から貼っても解決しません。工事の前に、まず原因を確かめることが遠回りに見えて近道です。

「うちの床は、上から貼れる状態だろうか」「どこまでやるべきだろうか」と迷ったときは、ぜひ一度ご相談ください。床だけの部分工事から、内装まわりをまとめて行うリフォーム・リノベーションまで承ります。張り替えないほうがいい場合は、その理由も含めてお伝えします。

リフォーム・リノベーションについて、お気軽にご相談ください

床の張り替えはもちろん、内装まわり全体のリフォーム・リノベーションを承ります。既存床の状態確認から、床材のご提案、マンション管理規約の確認、お見積りまで一括で対応します。トイレ1か所だけの工事でも承ります。

参考・出典

▶ サンゲツ「フロアタイルとは?特長や種類、選び方」(水や油を弾く特長・部分貼り替え・水まわりの施工例) ▶ サンゲツ「クッションフロア 水まわりのお部屋から選ぶ」(水まわり向けの品揃え・遮音タイプの設定) ▶ 朝日ウッドテック フローリング総合研究所「挽き板と突き板の違い」(天然木層の厚み 0.3〜0.5mm/2〜3mm) ▶ 日本複合・防音床材工業会(JAFMA)「ΔL等級とは?」(新旧表記の違い・数値を読む向き・カタログ併記) ▶ くらしのマーケットマガジン「クッションフロアとフロアタイルの違い」(素材・厚み・耐水性・費用) ▶ RESTA「フローリング・クッションフロア・フロアタイルの違い」(層構造・厚み・耐傷性) ▶ リショップナビ「フローリング張り替え費用はいくら?」(畳数別・床材別の費用相場、重ね張りとの差) ▶ くらしのマーケットマガジン「フローリング張替え費用相場」(上張りと張替えの相場、素材別単価) ▶ マンション管理の教科書「管理規約で制限のあるフローリングの遮音等級・L値」 ▶ RESTA よくあるご質問「フロアタイルでL-45の遮音規定を満たせるか」

※本記事の費用・工期は上記出典および弊社が取り扱った工事をもとにした目安であり、部屋の形状・下地の状態・商品グレード・施工のしやすさにより変動します。◎○△×の評価および質感・印象に関する記述は、弊社の仲介およびリフォーム現場での感覚に基づく目安です。厚み・層構造・耐水性などの仕様は商品によって異なりますので、実際の採用にあたってはメーカーの仕様をご確認ください。掲載画像は、床材による見え方の違いを分かりやすくするためのイメージであり、実際の仕上がりは商品・照明・窓の向き・撮影条件により異なります。分譲マンションで工事を行う場合は、事前に管理規約および管理組合への届出の要否、遮音等級の規定をご確認ください。賃貸住宅の場合は、賃貸借契約の内容をご確認のうえ、必要に応じて貸主・管理会社の承諾を得てください。



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